ビフェニル
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ビフェニル (biphenyl) は、有機化合物の一種で、ベンゼンが2つ単結合でつながった構造を持つ芳香族炭化水素である。常温では白色結晶の固体である。
コールタール中に存在し、ベンゼンを赤熱した環に通じると生成する。
固体のビフェニルは二つのベンゼン環は同一平面上にあるが、溶液または気相では約45°ねじれていることが知られている。
1937年頃からイスラエルで使用され,防ばい効果が認められて欧米でも使用されるようになったのを受けて、わが国でも柑橘類の防かび剤(食品添加物扱い)として用いられているが、最近では耐性菌が見られるようになり、あまり使用されていない。
作用機序
ビフェニルは脂質過酸化抑制殺菌・殺カビ剤で、Fungicide Resistance Action Committee(FRAC) コード14に該当する。真菌における膜合成に作用する脂質過酸化を阻害すると提案されている。エトリジアゾールなどのこのクラスの構成要素はまた、呼吸およびメラニン生合成などの他の生物学的プロセスにも作用し得る。
誘導体・関連物質
- ジフェニルエーテルとの混合物は、高沸点溶媒として用いられるダウサムA。
- アミノ基が2つ結合したものはベンジジンで、顔料の製造原料に用いられたが、発癌性が明らかになったため製造が禁止されている。
- ベンゼン環の水素をカルボキシ基(-COOH)に換えたものがフェルビナク。非ステロイド性抗炎症薬として用いられている。
- ベンゼン環の複数の水素が塩素に置き換わったものがポリ塩化ビフェニル (Polychlorinated Biphenyl、PCB) で、かつては絶縁体として多量に生産されたが、毒性が強く1974年に製造が禁止になった。(詳細は、ポリ塩化ビフェニルの項目を参照の事)。
- ベンゼン環の一方が水素化によりシクロヘキサン環となったものはシクロヘキシルベンゼンで、そのフッ化物はリチウムイオン二次電池の過充電防止剤として利用される。
関連項目
参考文献
- 「ビフェニル」『岩波理化学辞典』第5版 CD-ROM版、岩波書店、1998年。
- 殺菌・殺カビ性ピラゾール