シミ目
シミ目(シミもく、総尾目、Thysanura)は、昆虫綱無翅類の1目。「シミ(衣魚、紙魚)」と総称される。人家に生息するものが本を食害すると思われていたため「紙魚」と書かれる。英語では「silverfish」という。
かつては、現在のコムシ目やイシノミ目を含むこともあったが、これらは現在ではシミ目より原始的な目として分けられている。
シミ目は最も原始的な特徴を持った昆虫類である。地球に存在する100万種ともいわれる全生物種の約6割を占める昆虫類のうち、無翅類はシミ目を含みごくわずかである。これは進化の過程で無翅類が短期間で翅を獲得したためと考えられている。特に形態比較からシミ目は淡水性の甲殻類の鰓脚類などから進化したのではとする考え方がある[1]。
目次
特徴
シミ目は昆虫としては原始的な無変態であり、卵から孵化した幼虫は成虫とほぼ同じ形で、蛹などの段階を経ずに、そのまま脱皮を繰り返し成虫となる。脱皮によって変化するのは大きさだけで、形態の変化はほとんど見られない。しかも、成虫になっても絶えず成長し続けるので、一生脱皮し続ける。
体はやや偏平で、細長い涙滴形をしている。頭には長い触角が伸びている。胸部から腹部にかけては、滑らかにつながっている。腹部には各体節に1対の腹毛がある。これは腹部体節の付属肢の痕跡と考えられており、この類の原始的特徴と見られる。腹部の末端には一対の尾毛と、一本の尾糸という細長い突起がある。体表面には鱗片が一面に並んでいる。この鱗粉は翅が進化する以前の形態をとどめていると言える(実際に、シミ目の昆虫は総て翅を有していない)。
動きが速く、くねるように走るため「魚」の字を充てられている。
7-8年生き、昆虫としては比較的寿命が長い。
屋内で紙や乾物を食うのが有名であるが、野外でも樹皮下などに生息するものや、アリの巣に入るものもいる。
人家に生息するものは、障子や本、和紙の表面を舐めるように食害する。ただし、書物の中を縦横に食い荒らす細長いトンネル状の穴はシバンムシによる食害である。
分類
シミを扱った文学作品
テンプレート:Sister 紙魚は夏の季語。