シマノ
株式会社シマノ(テンプレート:Lang-en-short )は、大阪府堺市堺区に本社を置くアウトドアスポーツ用品会社。自転車部品と釣具の製造をその主要な事業とし、自転車パーツメーカーとしては世界最大である。
かつてはゴルフ用品やスノーボードのビンディング・ブーツも製造販売していたが、ゴルフは2005年、スノーボードも2009年3月31日をもって終了した。
取扱品目の性格上、従業員の自転車通勤も積極的に奨励している。
目次
沿革
- 1921年 - 島野庄三郎により島野鉄工所として創業。
- 1940年 - 株式会社となる。
- 1951年 - 商号を島野工業株式会社に変更。
- 1965年 - アメリカ合衆国に事務所を構えた。
- 1970年 - 釣具事業部発足。
- 1972年 - 大阪証券取引所2部上場。
- 1973年 - 東京証券取引所・大阪証券取引所1部上場。
- 1991年 - 商号を株式会社シマノに改称。
- 1997年 - スノーボード用品を扱うアクションスポーツ事業部発足。
- 1999年 - ゴルフ事業部発足。
- 2005年 - ゴルフ用品事業から撤退。
- 2009年 - 3月末でスノーボード用品事業から撤退。ヨネックスに事業譲渡。
生産拠点
日本国内
直営
- 下関工場(山口県下関市)
子会社・関連会社
- シマノ熊本株式会社(熊本県山鹿市)
- 釣り竿の生産
- 島野足立株式会社
海外
- G.LOOMIS, INC. (アメリカ)
- G.loomisブランドの釣り竿の製造・販売。
- INNOVATIVE TEXTILES, INC.(アメリカ)
- Power Proブランドの釣り糸の製造・販売。
- SHIMANO (SINGAPORE) PTE. LTD.(シンガポール)
- SHIMANO COMPONENTS (MALAYSIA) SDN. BHD.(マレーシア)
- SHIMANO (Mersing) SDN. BHD.
- FBM
- SHIMANO (MALAYSIA) SDN. BHD.(マレーシア)
- 釣り用リール等の製造。
- P.T. SHIMANO BATAM(インドネシア)
- 釣り竿等の製造。
- MSC PTE. LTD.
- Arex Precision Manufacturing (Malaysia) Sdn. Bhd.
- Peninsula Precision Stamping (Malaysia) Sdn. Bhd.
- SHIMANO (CAMBODIA) CO., LTD.(カンボジア)
- SHIMANO (LIANYUNGANG) INDUSTRIAL CO., LTD.(中国)
- SHIMANO (KUNSHAN) BICYCLE COMPONENTS CO.,LTD.(中国)
- 自転車用品の製造・販売。
- SHIMANO (KUNSHAN) FISHING TACKLE CO., LTD. (中国)
- 釣り竿等の製造。
- SHIMANO (TIANJIN) BICYCLE COMPONENTS CO., LTD.(中国)
- 自転車用品の製造・販売。
- Shimano Czech Republic s.r.o(チェコ)
- 製造・販売
販売拠点
日本国内
直営
- 釣具営業所
- 北海道営業所(北海道札幌市)
- 仙台営業所(宮城県仙台市)
- 埼玉営業所(埼玉県上尾市)
- 東京営業所(東京都大田区)
- 名古屋営業所(愛知県名古屋市)
- 大阪営業所(大阪府堺市)
- 中国営業所(岡山県岡山市)
- 四国営業所(香川県観音寺市)
- 九州営業所(佐賀県鳥栖市)
- アミニティ・ゴルフショップ アイフィー(大阪府大阪市)
- ライフ・クリエーション・スペース OVE(東京都港区、大阪府大阪市)
子会社・関連会社
- シマノセールス株式会社(大阪府堺市)
- 公益財団法人シマノ・サイクル開発センター/自転車博物館(大阪府堺市)
海外
- SHIMANO AMERICAN CORPORATION (アメリカ)
- DASHAMERICA, INC.(PEARL IZUMI USA) (アメリカ)
- PEARL IZUMI GmbH(ドイツ)
- SHIMANO CANADA LTD. (カナダ)
- SHIMANO EUROPE HOLDINGS B.V.(オランダ)
- SHIMANO EUROPE FISHING HOLDING B.V.(オランダ)
- SHIMANO EUROPE BIKE HOLDING B.V.(オランダ)
- SHIMANO BENELUX B.V.(オランダ)
- SHIMANO EUROPE B.V. (オランダ)
- SHIMANO EUROPE RETAIL DIVISION B.V. (オランダ)
- Bikefitting HOLDINGS B.V.
- Bikefitting.com B.V.(オランダ)
- SHIMANO GERMANY FISHING GMBH. (ドイツ)
- SHIMANO FRANCE COMPOSANTS CYCLES S.A.S. (フランス)
- SHIMANO ITALY FISHING S.R.L.(イタリア)
- SHIMANO BELGIUM N.V.(ベルギー)
- SHIMANO NORDIC CYCLE AB(スウェーデン)
- SHIMANO NORDIC CYCLE OY(フィンランド)
- SHIMANO NORDIC CYCLE AS(ノルウェー)
- SHIMANO NORDIC DENMARK APS(デンマーク)
- SHIMANO POLSKA BICYCLE PARTS SP. Z O.O. (ポーランド)
- SHIMANO (SHANGHAI) SALES CORPORATION (旧SHIMANO (SHANGHAI) BICYCLE COMPONENTS CO.,LTD.) (中国)
- SHIMANO TAIWAN CO.,LTD. (台湾)
- SHIMANO LATIN AMERICA REPRESENTACAO COMERCIAL LTDA. (ブラジル)
- SHIMANO OCEANIA LTD.(オーストラリア)
- SHIMANO AUSTRALIA CYCLING PTY. LTD. (旧SHIMANO AUSTRALIA PTY. LTD.)(オーストラリア) [1]
- SHIMANO AUSTRALIA FISHING PTY. LTD. (旧DUNPHY SPORTS/FISHING IMPORTS PTY. LTD.)(オーストラリア) [1]
- Shimano Italia S.p.A in liquidazione
- SHIMANO OCEANIA HOLDINGS PTY. LTD. (旧DUNPHY HOLDINGS PTY. LTD.)(オーストラリア)[1]
かつて存在していた事業所・子会社・関連会社
- SHIMANO U.K. LTD. (イギリス)(2012年に売却)[1]
その他子会社・関連会社
自転車部品
1921年、わずか1台の工作機械で後輪用1枚ギアの製造からスタートした。実用車からスポーツサイクルまでの主要な構成部品を数多く生産し、世界最大の自転車パーツメーカーであり、日本国内においても2013年現在は自転車業界唯一の東証一部上場企業である。
1973年にリリースしたDURA-ACE(デュラエース)は、変速機やブレーキ、ハブ、チェーンホイール等をセットにして販売し、コンポーネントという概念を作り上げた。パーツをコンポーネントで統一すれば互換性の点で悩むこともなく、デザイン的にもスッキリするのですんなり受け入れられ、他社も追従することとなった。ただ、変速機やブレーキ等の専業メーカーはシマノに市場を奪われ、ライバル関係にあったサンツアー(マエダ工業)、スギノテクノ(現スギノエンジニアリング)などは次第に苦戦することになる。ちなみに、変速機のメーカーだったマエダ工業はチェーンホイールをスギノテクノ、ブレーキを吉貝機械金属(現ヨシガイ)、ハブを三信技研に作らせ、サンツアーブランドでコンポーネントを展開させシマノに対抗する。
今でこそ世界最大の自転車パーツメーカーではあるが、1981年に投入したAXシリーズはシマノの屋台骨を揺るがす事態を引き起こした。AXシリーズはエアロダイナミクスを大胆に取り入れ、世界にセンセーションを巻き起こしたのだが、強度不足による破損、整備性や互換性の問題、実感できないエアロ効果等、完成度の低さから失敗作との烙印を押された。しかし、この手痛い失敗を教訓とし、シマノは製品化前にプロによる実戦テストを念入りに行うようになり、高い信頼性を誇る製品を生み出す体質へと変貌させた。
1984年に変速レバーにラチェットを設けることで変速を容易かつ正確にしたシマノインデックスシステム(SIS)が大ヒット。また、チェーンホイールやスプロケットに加工を施し変速を迅速にするハイパーグライドシステムを開発、さらに変速レバーとブレーキレバーを一体化したデュアルコントロールレバーでハンドルから手を離さずに変速できるシマノトータルインテグレーション(STI)を登場させ、他社に決定的な差をつけた。サンツアーはブレーキレバー付近に取り付ける手元シフトレバー「コマンドシフター」をシマノに先駆けリリースしていたが操作性でSTIに劣っており、「エルゴパワー」で追従した伊カンパニョーロ以外のライバルは事実上消滅。その後2000年代に入りSRAMの参入はあったものの、かつてに比べライバルの数は大きく減少している。
初期のマウンテンバイク市場にも積極的に商品を投入し、最上位グレードXTRを筆頭に市場をほぼ独占した時期もあった。ロード用で培った技術をMTBにも応用し高い人気を誇っている。近年MTB向けにもロードバイクのSTIを模して、ブレーキレバー自体を操作することで変速できるタイプのデュアルコントロールレバーを投入したが、ロード用ほどには普及していない。
他にも強力な制動力を持つVブレーキをはじめ、独自の機構、規格の部品を多数開発している。また2009年モデルからロードバイク用の電動コンポーネント(パワーシフター)を発売することを発表した。他にもホイールや競輪などのトラック競技車用のパーツ、ビンディングシューズやボトルなどの関連用品も販売しているが、フレームは製造していない。
長所
- 故障が少なく、操作が楽で日本国内では補修部品が細かい単位で入手できる。
- 性能・品質に対して価格が抑えられており、なおかつ性能は高いレベルにある。
- モデルチェンジ後も旧来のパーツ使用者のための製品を製造し続けており、新しい製品に買い換えずに長年使用することが出来る。
- SISやSTI、Di2等、革新的な機能を積極的に開発。
短所
- 製品ラインナップが豊富であるが、世代間の互換性をさほど重視していない。そのため一つのシステムで世代ごとに違った規格が数多く存在し、パーツ交換の際に使用できないことも多い(例えばデュラエースは7900シリーズと7800シリーズで、同じ変速段数にもかかわらず多くの部品で互換性がない)。
- 7800系デュラエースからデザインが個性的になり、デザイン面で受け入れがたいという声が多い。
- 補修部品はネジ一本に至るまでスモールパーツ単位での発注が可能であり、部品に割り振られたパーツナンバーさえ分かれば発注により一般ユーザーにも入手が可能であるが、その数は膨大な数に上り、欠品や生産中止、繁忙期などの入手時間の遅れがある。
コンポーネント
ロードバイク向けコンポーネント グレード 型番 備考 変速数(リア) DURA-ACE 9000 11速 9070 Di2 ULTEGRA 6800 6770 Di2 10速 105 5800 11速 5700 10速 Tiagra 4600 10速 SORA 3500 9速 Claris 2400 2300の後継モデル 8速 Tourney A070 A070 A050の後継モデル 7速
トラックレーサー向けコンポーネント グレード 型番 備考 変速数(リア) Dura-Ace TRACK 7700、7600 トラックレーサー向けコンポーネント 1速
マウンテンバイク向けコンポーネント グレード 型番 備考 変速数(リア) XTR M980 クロスカントリー用バイクの最上位モデル 10速 Deore XT M780 MTB向け T780 トレッキングバイク向け SAINT M810 ダウンヒル、フリーライドバイク用の最上位モデル 9速 SLX M660 Deore LXから分化、事実上HONEの後継 Deore LX T660 クロスバイク向けのコンポーネント Deore M590 Dyna-Sys10スピード 10速 スタンダード9スピード 9速 Alivio M430 M410 8速 Acera M390 9速 M360 8速 Altus M310 Tourney TX、TY、TZ、M130 7速 TZ 6速
BMX向けコンポーネント グレード 型番 備考 DXR MX BMXレーシングコンポーネント
スポーツ用自転車部品の互換性
変速機
2010年現在ロードレーサー用、マウンテンバイク用ともにリアディレイラー10速仕様、9速仕様、8速仕様、7速仕様がある。変速段数が異なる製品間、ロードレーサー用とマウンテンバイク用間の公式な互換性は一部[2]を除きほぼ存在しない。
社外品としてSRAMのチェーンおよびカセットスプロケットは互換性がある。チェーンリングについてはFSAやスギノテクノが互換品を販売している。
チェーン
シマノのチェーンには後ろギアの変速数や規格に応じた様々な種類が存在する。マウンテンバイク用の7速/8速はIG/UG/HGチェーン、ロードレーサー用の8速はHGチェーンである。9速用のチェーンはスーパーナローHG。10速用のチェーンはロードレーサー用がスーパーナロー10速用HG、マウンテンバイク用はHG-Xチェーンとまた異なっている。コネクトピンは異なるものがあるので注意が必要である。
制動装置
シマノが販売している制動装置のうち、スポーツ自転車に用いられるのはキャリパーブレーキ、Vブレーキ、カンチレバーブレーキ、ディスクブレーキの4種類である。ロードレーサーにはキャリパーブレーキが、ツーリング車やシクロクロス車、古いマウンテンバイクにはカンチレバーブレーキが、近年のマウンテンバイクやクロスバイクにはVブレーキもしくはディスクブレーキが主に用いられる。
注意しなければならないのは、ブレーキとブレーキレバーには推奨される組み合わせと推奨外の組み合わせが存在するという点である。具体的に言うと、ロードレーサー用のブレーキレバーではキャリパーブレーキとカンチレバーブレーキ、以外は推奨されていない。またVブレーキにはVブレーキ専用あるいはVブレーキとカンチブレーキの切り替えが可能なマウンテンバイク用ブレーキレバーがある。これは相互のブレーキのロープ引き量の違いがあるためである。ただしマウンテンバイク用のディスクブレーキ(機械式)をロードバイクのデュアルコントロールレバーで引くセッティングの例もある[3]。ディスクブレーキにはワイヤー式と油圧式があり、これらの間に互換性はない。
ワイヤー類
ワイヤー類にはシフトケーブルとブレーキケーブルが存在する。これらのケーブルは更にインナーケーブルとアウターケーブルに分けられる。
シフトケーブルはロードレーサー用とマウンテンバイク用でインナー、アウターとも共通である。ブレーキケーブルはアウターケーブルについてはロードレーサー用とマウンテンバイク用は共通であるが、インナーケーブルはロードレーサー用とマウンテンバイク用で異なっており、互換性はない。(ケーブル先端の「タイコ」の形状の違いによる) グレードによって、鉄製、ステンレス製、ステンレス製かつコーティングが施されたものがある。
釣り具
テンプレート:節スタブ 1970年2月釣具業界に参入し、主にリールの製造を開始した。1973年にはアメリカ合衆国アラバマ州に本拠地を置くLew'sと共同開発した世界初の非円形ベイトキャスティングリールSpeed Spool BB-1を発売。(日本国内では1977年にBM-1として発売。)1995年には関連会社であった日本フィッシングタックル株式会社 (NFT) を本社に吸収合併(2000年までNFTブランドの製品の販売を継続。)、1997年には米Gルーミスを買収、2007年にはフィンランドのラパラVMCと共同出資でRapala Shimano East Europe Oyを設立[4]、2009年に米イノベーティブテキスタイルの買収、2010年にジャッカルと提携を行なうなど、現在では総合釣具メーカーとして世界的に展開している。
特徴として、耐久性が高いことが上げられる。他社に比べ強度基準が非常に高い中で製造されており、リールやロッドの軽量化が進む中、耐久性ありきの軽量化がモットーであり、たとえ5g軽くできても著しく耐久性が落ちてしまうなら軽量化しないというのがシマノの方針である。
この耐久性の高さが長期使用においてもユーザーの満足感を生み、北米やオーストラリアでは高く評価され高いシェアを獲得している。
自転車事業も手がけるシマノの強みとしてカーボンやアルミの加工技術に優れており、コールド・フォージングのリールシートや、カーボン素材CI4をリールの一部やリールシートに採用するなど他業種を手がけるシマノならではのアプローチがなされている。
製品にはライフサイクルがあり、スピニングリールは、基本的に3年でモデルチェンジされるようになっており、ベイトリールやロッドに関しては同様に3年程度でモデルチェンジもしくは追加モデルという形でリリースされる。ルアーや浮き、釣り糸などの用品に関しては、人気になることが少なくすぐに廃盤になることが多い。
過去の提供番組
- 釣り・ロマンを求めて - テレビ東京系の釣り番組。筆頭スポンサー。
- 踊る!さんま御殿 - 日本テレビ系列。複数社提供の1社。
脚注
- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 [1]
- ↑ DURA-ACEの7700系の9速シフターで7400番台の後ろ変速機を使い8段ギアをインデックスに沿って変速出来る等の過渡期の規格がいくつか存在する。
- ↑ リカンベント写真館(OPTIMA)
- ↑ http://www.shimano.com/publish/content/global_corp/ja/jp/index/financial_top/business_report.download.-mainParsys-0013-downloadFile.html/kabunushi_Vol.20.pdf