シティー・マネージャー制
シティー・マネージャー制(-せい、the Council-manager government)は、地方行政システムの、大きく分けて2つある方式のうちの一つで、アメリカ合衆国などの国で採用されている。もう一方の地方行政システムは市町村長である。
概説
市長を行政の主体とする市長制と違い、市議会がシティー・マネージャー(以下、マネージャー)を任命し行政を任せることから、日本ではシティー・マネージャー制、あるいは市支配人制(ししはいにんせい)などと称される。
シティー・マネージャー制のもとでは、市議会は政策の決定、条例の制定、予算の認定、マネージャーの任命を行う。この制度のもとでは、市長(あるいはそれに相当する責任者)は非常に儀礼的な仕事や市議会の議長的な行為を行うことがおおい。
一方で、市議会は責任を持って政治運営にあたることができ、市議会の採択した政策に通じたシティー・マネージャーを雇う。マネージャーはたいてい市議会の思いのままに行動することになるが、これはマネージャーになるときに結ばれた契約に義務と責任について定められているからである。
職務内容
以下は雇われたマネージャーの典型的な責任と役割である。
- 市役所にある部署の日常の運営を管理する
- 市役所の部署の部長の監視する
- 市議会で採択されたオプションを元に予算案を作成する
- 市議会の要求したトピックにたいして調査・提案を行う
- 市民や市民グループに会見し市民の要求への理解を深める
- 市の労働者の見本になるように、エグゼクティブなリーダーシップを発揮する
- 市の行政組織をどうすれば最大限に生かせるかを理解し運営に当たる
市議会には逆らえず、かつ地方の市行政法にのもとになり立っているという性質から、マネージャーはいとも簡単に雇われ、いとも簡単に捨てられる存在であるといえる。市役所の最高責任者という立場もあるため、マネージャーは市政にも通じていないといけない。
日本における導入の可能性
大日本帝国憲法時代の町村制における町村長は名誉職で、町村議会によって選任され議会議長を兼任しており、シティー・マネージャーと似ていた。日本国憲法第93条では首長を直接選挙で選ぶこととなっているので、現代の日本におけるシティー・マネージャー制の導入は難しいとされている。例えば、埼玉県志木市は構造改革特区構想として議員のなかからシティーマネジャーを選出する制度の導入を求めたが、憲法に抵触する恐れがあるとして実施は見送られた[1]。ただしシティー・マネージャー制を導入しているアメリカの自治体でも直接選挙で市長を選出している例があるので日本でも導入は可能とする意見もある[2]。