サクラ (おとり)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
サクラとは、公演主催者や販売店に雇われて客の中に紛れ込み、特定の場面や公演全体を盛り上げたり、商品の売れ行きが良い雰囲気を作り出したりする者を指す隠語。当て字で偽客とも書く。
語義の由来
本来は江戸時代に芝居小屋で歌舞伎をタダ見させてもらうかわりに、芝居の見せ場で役者に掛声を掛けたりしてその場を盛り上げること、またはそれを行う者のことをサクラといった。桜の花見はそもそもタダ見であること、そしてその場限りの盛り上がりを桜がパッと咲いてサッと散ることにかけたものだという。これが明治時代に入ると、露天商や的屋などの売り子とつるんで客の中に入り込み、冷やかしたり、率先して商品を買ったり、わざと高値で買ったりするような仕込み客のことも隠語でサクラと呼ぶようになった。サクラを「偽客」と書くようになったのはこの露天商などが用いた当て字が一般に広まったものである。
今日では、マーケットリサーチや世論調査などにおいても、良好な調査結果をもたらすために主催者側によって動員されたりあらかじめモニターや調査対象者の中に送り込まれた回し者のことを、サクラと呼ぶこともある。
具体例
行列商法において行列を恣意的に生成する手段としてサクラが動員されたり、消費者生成メディアにおけるステルスマーケティングの一例としてサイトへのサクラを用いた書き込みが行われたりしている[1]。
- 新発売キャンペーンの一環としてのサクラ
- クォーターパウンダー販売開始時に日本マクドナルドの大阪市心斎橋にある店舗に3000人近くの行列ができたが、そのほとんどが短期アルバイトによる水増しでだったという疑いがある(「日本におけるクォーターパウンダー」を参照)。
- 出会い系サイトの女性利用客を装ったサクラ
- タウンミーティングにおけるサクラ[2]
- 小泉内閣が行ったタウンミーティングでは、一部の市民活動家や市民団体など都合の悪い人物を抽選で落とし、県・市職員を大量動員したり、謝礼を払って賛成派を参加させた疑いがある(「タウンミーティング 小泉内閣の国民対話」を参照)。
法的評価
サクラを使い、顧客に価値判断を誤らせて商品を販売すると、詐欺罪が成立するというのが確立した判例である[3]。