コージー・ミステリ

コージー・ミステリ（cozy mystery）は推理小説のジャンルの1つ。

概要

イギリスで第二次世界大戦時に発祥した小説形式で、当時アメリカで流行していたハードボイルド形式の小説の反義語として用いられた。

ハードボイルドのニヒルでクールなイメージに対し、「地域社会が親密である」「居心地が良い」といった意味を持つ「コージー(cozy)」を使用し、日常的な場面でのミステリーであることを示す。

特徴としては

• 探偵役が警察官、私立探偵などの職業的捜査官ではなく素人であること
• 容疑者が極めて狭い範囲のコミュニティに属している
• 暴力表現を極力排除していること

などがあげられる。

代表的な作品としてはアガサ・クリスティのミス・マープルシリーズなど。

現代におけるコージー・ミステリ

時代が下がった現代においては女性を読者対象としたコメディタッチの推理小説を主にコージー・ミステリと呼称する。大抵の場合、主人公の恋愛などのロマンス要素も含んでいる。

最も多いパターンとしてはアメリカやカナダなどにある住人同士がほぼ全員顔見知りであるような田舎町を舞台とし、主人公の探偵役となるのはその町に住む女性である、という物があげられる。 主人公は癖のある周りの人々に振り回されつつ事件を解決するというのがパターンである。

上記のパターン以外にもニューヨークやハリウッドなどの大都会を舞台にし、キャリア・ウーマンが探偵役として活躍するというタイプも存在する。

コージー・ミステリは欧米で発展したものであるため日本ではほとんど作例が無く、これに近いものは「日常の謎」系統の作品となる。

主な作品

小説

Ａ

• エイヴリー・エイムズ（Avery Aames）
  • 『チーズ専門店シリーズ』(コージーブックス)
• ドナ・アンドリューズ（Donna Andrews）
  • 『メグ・ラングスローシリーズ』（ハヤカワ文庫）
• ナンシー・アサートン（Nancy Atherton）
  • 『優しい幽霊シリーズ』（ランダムハウス講談社文庫）

Ｂ

• ローナ・バレット（Lorna Barrett）
  • 『本屋だらけの町シリーズ（創元推理文庫）
• M・C・ビートン（M. C. Beaton）
  • 『英国小さな村の謎シリーズ』(コージーブックス)
• ジェシカ・ベック（Jessica Beck）
  • 『ドーナツ事件簿シリーズ 』(コージーブックス)
• C・C・ベニスン（C. C. Benison）
  • 『女王陛下のメイド探偵ジェインシリーズ』（ハヤカワ文庫）
• ジェイニー・ボライソー（Janie Bolitho）
  • 『コーンウォール・ミステリシリーズ』（創元推理文庫）
• リース・ボウエン（Rhys Bowen）
  • 『英国王妃の事件ファイルシリーズ』(コージーブックス)
• リリアン・J・ブラウン（Lilian Jackson Braun）
  • 『シャム猫ココシリーズ』（ハヤカワ文庫）
• リタ・メイ・ブラウン（Rita Mae Brown）
  • 『トラ猫ミセス・マーフィシリーズ』（ハヤカワ文庫）

Ｃ

• アリサ・クレイグ（Alisa Craig）（シャーロット・マクラウド）
  • 『ジェネット&マドックシリーズ』（創元推理文庫）
  • ディタニー・ヘンビットシリーズ（創元推理文庫）
• クレオ・コイル（Cleo Coyle）
  • 『コクと深みの名推理シリーズ』（ランダムハウス講談社文庫）
• ジル・チャーチル（Jill Churchill）
  • 『主婦探偵ジェーンシリーズ』（創元推理文庫）
  • 『グレイス&フェイヴァーシリーズ』（創元推理文庫）
• ローラ・チャイルズ（Laura Childs）
  • 『お茶と探偵シリーズ』（ランダムハウス講談社文庫）(コージーブックス)

Ｄ

• クリスタ・デイヴィス（Krista Davis）
  • 『家事アドバイザーの事件簿シリーズ』（創元推理文庫）
• ダイアン・デヴィッドソン（Diane Mott Davidson）
  • 『クッキング・ママシリーズ』（集英社文庫）
• キャロル・ネルソン・ダグラス（Carole Nelson Douglas）
  • 『黒猫探偵シリーズ』（ランダムハウス講談社文庫）
• ローラ・ダラム（Laura Durham）
  • 『ウェディング・プランナーシリーズ』（ランダムハウス講談社文庫）

Ｅ

• ジャネット・イヴァノヴィッチ（Janet Evanovich）
  • 『ステファニー・プラム・シリーズ』（扶桑社ミステリー）（集英社文庫）

Ｆ

• ジェリリン・ファーマー（Jerrilyn Farmer）
  • 『ケータリング探偵マデリン・ビーンシリーズ』（ハヤカワ文庫）
• L・T・フォークス（L.T.Fawkes）
  • 『ピザマンの事件簿シリーズ』（ヴィレッジブックス）
• シャロン・フィファー（Sharon Fiffer】
  • 『アンティーク雑貨探偵シリーズ 』(コージーブックス)
• ジョアン・フルーク（Joanne Fluke）
  • 『お菓子探偵ハンナ・スウェンソンシリーズ』（ヴィレッジブックス）

Ｈ

• キャロリン・G・ハート（Carolyn G. Hart）
  • 『ミステリー専門店主アニーシリーズ』（ハヤカワ文庫）

Ｊ

• リンダ・O・ジョンストン（Linda O. Johnston）
  • 『ペット探偵シリーズ』（ランダムハウス講談社文庫）

Ｋ

• アリス・キンバリー（Alice Kimberly）（クレオ・コイル）
  • 『ミステリ書店シリーズ』（ランダムハウス講談社文庫）
• ピーター・キング（Peter King）
  • 『グルメ探偵シリーズ』（ハヤカワ文庫）
  • 『辻馬車探偵ネッドシリーズ』（創元推理文庫）
• ケイト・キングズバリー（Kate Kingsbury）

ペニーフット・ホテルシリーズ』（創元推理文庫）

Ｌ

• ジョン・J・ラム（John J. Lamb）
  • 『テディベア愛好家・おしどり探偵シリーズ』（創元推理文庫）
• ヴァージニア・ローウェル（Virginia Lowell）
  • 『クッキーと名推理シリーズ』(コージーブックス)

Ｍ

• カレン・マキナニー（Karen MacInerney）
  • 『B&Bシリーズ』（ランダムハウス講談社文庫）
• シャーロット・マクラウド（Charlotte MacLeod）
  • 『シャンディ教授シリーズ』（創元推理文庫）
  • 『セーラ・ケリングシリーズ』（創元推理文庫）
• レスリー・メイヤー（Leslie Meier）
  • 『ルーシー・ストーンシリーズ』（創元推理文庫）

Ｐ

• キャサリン・ホール・ペイジ（Katherine Hall Page）
  • 『フェイス・フェアチャイルドシリーズ』（扶桑社ミステリー）
• ナンシー・ピカード（Nancy Pickard）
  • 『市民財団所長ジェニー・ケインシリーズ』（ハヤカワ文庫）

Ｒ

• ハンナ・リード（Hannah Reed）
  • 『ハチミツ探偵シリーズ』(コージーブックス)
• ギリアン・ロバーツ（Gillian Roberts）
  • 『英語教師アマンダ・ペッパーシリーズ』（ハヤカワ文庫）

Ｓ

• イアン・サンソム（Ian Sansom）
  • 『移動図書館貸出記録シリーズ』（創元推理文庫）
• コリン・ホルト・ソーヤー（Corinne Holt Sawyer）
  • 『海の上のカムデンシリーズ』（創元推理文庫）
• フランク・シェッツィング（Frank Schatzing）
  • 『グルメ警視キュッパー』（ランダムハウス講談社文庫）
• アレグザンダー・マコール・スミス（Alexander McCall Smith）
  • 『ミス・ラモツエの事件簿シリーズ』（ヴィレッジブックス）
  • 『日曜哲学クラブシリーズ』（創元推理文庫）
• J・B・スタンリー（J.B.Stanley）
  • 『ダイエット・クラブシリーズ』（ランダムハウス講談社文庫）
• リアン・スウィーニー（Leann Sweeney）
  • 『猫トラブルシリーズ』（イソラ文庫）

Ｖ

• エレイン・ヴィエッツ（Elaine Viets）
  • 『ヘレンの崖っぷち転職記シリーズ』（創元推理文庫）

Ｗ

• リヴィア・J・ウォッシュバーン（Livia J. Washburn）
  • 『お料理名人の事件簿シリーズ』（ランダムハウス講談社文庫）

TVドラマ

• 「ジェシカおばさんの事件簿」シリーズ
• 「ミセス・コロンボ」シリーズ

関連項目

• コージーブックス

外部リンク

• コージーブックス オフィシャルHP
• twitter