コロナウイルス
テンプレート:生物分類表 コロナウイルス(Coronavirus)は、一本鎖(+)RNAウイルスのニドウイルス目のコロナウイルス科のウイルスをさし、コロナウイルス亜科、トロウイルス亜科を含む。
エンベロープ表面に存在する突起によって太陽のコロナのような外観を持つことからこの名が付いた。
ウイルスの増殖は細胞質内で行われ、小胞体やゴルジ装置から出芽する。
コロナウイルスの中にはエンベロープにヘマグルチニンエステラーゼを有し、赤血球凝集性を示す種が存在する。
SARSコロナウイルスは既知のコロナウイルスと大きく異なった塩基配列を持つことが示された[1]。
コロナウイルス属のゲノムはRNAウイルス中最大(約30kb)である。
分類
- コロナウイルス亜科(Subfamily: Coronavirinae)
- アルファコロナウイルス属
- アルファコロナウイルス1(Alphacoronavirus 1)
- テンプレート:仮リンク
- テンプレート:仮リンク(Human coronavirus NL63)
- ミニオプトラスコウモリコロナウイルス1(Miniopterus bat coronavirus 1)
- ミニオプトラスコウモリコロナウイルスHKU8(Miniopterus bat coronavirus HKU8)
- ブタ流行性下痢ウイルス(Porcine epidemic diarrhea virus)
- Rhinolophus bat coronavirus HKU2
- Scotophilus bat coronavirus 512
- ベータコロナウイルス属
- ベータコロナウイルス1(Betacoronavirus 1)
- マウスコロナウイルス
- テンプレート:仮リンク
- SARSコロナウイルス
- テンプレート:仮リンク(Rousettus bat coronavirus HKU9)
- テンプレート:仮リンク(Tylonycteris bat coronavirus HKU4)
- テンプレート:仮リンク
- MERSコロナウイルス
- デルタコロナウイルス属
- ヒヨドリコロナウイルスHKU11(Bulbul coronavirus HKU11)
- ムニアコロナウイルスHKU13(Munia coronavirus HKU13)
- ツグミコロナウイルスHKU12(Thrush coronavirus HKU12)
- ガンマコロナウイルス属
- 鳥コロナウイルス(Avian coronavirus)
- シロイルカコロナウイルスSW1 (Beluga whale coronavirus SW1)
- アルファコロナウイルス属
- トロウイルス亜科(Subfamily: Torovirinae)
新型コロナウイルス
中東呼吸器症候群 (MERS:マーズ)コロナウイルス(2013年5月に「MERSコロナウイルス[1]」という名前に決まった。「SARI」も使われている。英語ではNovel Coronavirus, SARS-like virus, NCoV, HCoV-EMC[2]などと表現されている)は2012年9月[3] - 2013年5月現在流行中で、5月14日現在、38人感染確認、20人死亡、死亡率53%[4][5][6]。サウジアラビアで発生したと言われる。感染源[7]、感染方法は全くわかっておらず[8]、薬・治療方法は全くない[9]。イギリス4人・ドイツ2人、フランス2人の中東からの輸入例がある[10]。報道によれば、家族内感染3人(ヒト-ヒト感染の疑い)と、状態良好で入院後2時間で死亡した11歳男児がいる[11]WHOのフクダ事務局長補は、複数の国でまとまった感染例(クラスター)があるのでヒト-ヒト感染の可能性が高まっていると述べている(これ以上どういう風に広がるかについては全く分かっていない)[12]。また肺炎だけではなく脳炎、腎炎も発症したと言われる[13][14][15][16]。
2013年5月15日、WHOは、患者が入院したサウジアラビアの病院の2人(看護婦と医療関係者)への「ヒトヒト感染」が初めて確認されたと発表した[17][18][19]。これで、感染者40人、死者20人、死亡率50%になった[20][21][22]。5月21日、チュニジア政府は、66歳のチュニジア人がMERS-CoVで死亡し、2人の子どももMERS-CoVに感染していたと発表した(父と姉妹一人が、1週間前まで5週間のあいだサウジアラビア(メッカなど)とカタールに旅行していたという)。これで感染者44人、死者22人になる。
参考文献
- 原澤亮 「動物ウイルスの新しい分類(2005)」 『獣医畜産新報』 58号 921-931頁 2005年 ISSN 0447-0192
- 見上彪監修 『獣医感染症カラーアトラス』 文永堂出版 2006年 ISBN 4830032030
関連項目
- 牛コロナウイルス病
- 唾液腺涙腺炎
- 伝染性気管支炎
- 猫伝染性腹膜炎
- 豚伝染性胃腸炎
- 豚流行性下痢
- マウス肝炎
- 重症急性呼吸器症候群(SARS。2002 - 2003年流行、全世界で中国を中心として約8,000人が感染し、774人が死亡した(死亡率約10%)[23]。中国広東省(珠江デルタ地帯付近)が発生地とされる)
脚注・引用
- ↑ Middle East Respiratory Syndrome Coronavirus"(MERS-CoV)
- ↑ Human Coronavirus-Erasmus Medical Center
発見したザキ博士が送った試料オランダのエラスムス医療センターの遺伝子解析で新型コロナウイルスであると判明したため。 - ↑ ザキ博士本人による全世界初の公表から始まった。
"Novel coronavirus - Saudi Arabia: human isolate" ProMED-mail,2012-09-20 15:51:26 - ↑ "Novel coronavirus infection - update" May 6,2013,Global Alert and Response(GAR),WHO
- ↑ "Novel coronavirus - Eastern Mediterranean(18): Saudi Arabia" ProMED-mail 2013-05-05 18:49:21
2つめの保健副大臣からの直接投稿 - ↑ "Novel coronavirus - Eastern Mediterranean(21): Saudi Arabia" ProMED-mail 2013-05-09 10:10:04
- ↑ コウモリ起源ではあるが、中間宿主の存在が必要である。
- ↑ WHO Press Statement Related to the Novel Coronavirus Situation WHO,May 12,2013
- ↑ 人工呼吸器と補液が治療のほとんどである。ワクチン開発は相当困難であるという報道がある。
- ↑ 本当に中東地域で感染したのかどうかは感染方法が全く不明なので、断言できるわけではない。ただ全員が、中東地域居住か直前に中東地域に滞在していたというかなり強い状況証拠がある。
- ↑ きわめて急速な病状の悪化だが、インフルエンザでは適切な投薬がない場合にこのような症例になることがある。またSARSでは午前中は元気だったのに、午後に重体になっている例が多い(以上の理由で「急性」と名前がついている)。
- ↑ フクダ事務局長補は、5月中旬に直接サウジで現地調査をしている。
- ↑ 関西福祉大学の勝田吉彰教授は指定感染症の指定を急ぐべきであると述べている。
- ↑ 新型コロナウィルス世界的流行の恐れ 死亡率高く、治療薬もない危険な病気 J-CASTニュース、2013年5月10日
- ↑ 「新型コロナウイルスNCoVはヒトヒト感染?子供の急速経過(脳炎?)」 新型インフルエンザ・ウォッチング日記 2013-05-06 13:12:55
- ↑ 5月8日、フランスで1名、ドバイから帰国、滞在地不明。
"Deadly SARS-related coronavirus case found in France for first time"AP,Tronto Star,May 08 2013 - ↑ "Novel coronavirus infection - update" 15 May 2013 ,Global Alert and Response(GAR)
- ↑ また合計で関係者21人(死者9人)が医療機関関係者の感染者となる。
- ↑ ヒト-ヒト感染は、イギリスで父子感染例がある。
- ↑ まだ公式発表はないが、パンデミック・フェーズ3に相当する。また複数の国家にまたがる疑惑例があるので、フェーズ4に相当する可能性があるが、どこの国も旅行制限を出していない。新型インフルエンザの時に、パンデミック・フェーズにより対策を区別したことがあったが、フェーズの定義と実際の被害がかけ離れたために、WHOのチャン事務局長は「穏やかなパンデミック(mild pandemic)」という言葉を作り、パニックを鎮めたという由来がある。
- ↑ 中東・欧州「新型コロナウイルス」ヒト・ヒト感染で拡大!日本防げるか? J-CAST 2013/5/14 15:19
- ↑ 新型コロナウィルス世界的流行の恐れ 死亡率高く、治療薬もない危険な病気 J-CAST 2013/5/10 18:04
- ↑ 当初中国当局により大規模な隠蔽工作が長期にわたって行われ、また検出が技術的に困難だったので、実際はこの数字よりも多いと考えられている。