グラム・シュミットの正規直交化法
グラム・シュミットの正規直交化法(グラム・シュミットのせいきちょっこうかほう、テンプレート:Lang-en-short)とは、内積を持つベクトル空間(計量ベクトル空間)に、ある線型独立なベクトルの組が与えられたとき、そこから正規直交系(それぞれのベクトルのノルムが 1 で、どの二つも互いに直交しているようなベクトルの組)を作り出すアルゴリズムのことである。シュミットの直交化(ちょっこうか、orthogonalization)ともいう。正規化する(ノルムを 1 にする)工程を省略すると、必ずしも正規でない直交系を得ることができる。
定義
計量ベクトル空間を V で表し、ベクトル v, w の内積を (v,w) と表すことにする。与えられたベクトルの線型独立系を {v0, v1, v2, ..., vn}とする。 まず、ベクトル v0 を選びだしてそのノルムで割る。すなわち、w0 = (v0, v0)-1/2v0 とする。以下、
- <math>
\begin{matrix} w'_1= &v_1-(w_0,v_1)w_0, &w_1=(w'_1,w'_1)^{-\frac{1}{2}}w'_1,\\ w'_2= &v_2-(w_0,v_2)w_0-(w_1,v_2)w_1, &w_2=(w'_2,w'_2)^{-\frac{1}{2}}w'_2,\\ \quad\ \vdots & &\vdots \qquad\ \qquad\ \\ w'_n= &v_n-\displaystyle\sum_{i=0}^{n-1}(w_i,v_n)w_i, &w_n=(w'_n,w'_n)^{-\frac{1}{2}}w'_n \end{matrix} </math>
によって順に新しいベクトルを作っていくと、{w0, w1, w2, ..., wn} は新しい線型独立系になる。構成から、正規であり、互いに直交していることは容易に分かる。