クロロキン

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クロロキン (chloroquine) は抗マラリア剤のひとつ。マラリアの治療もしくは予防のために用いられる。1934年ドイツで最初に合成された。

現在ではクロロキンに耐性を持つマラリア原虫が出現している。そのためクロロキン単独で用いることはあまり無く、他の薬剤との併用されることが多い。

ドイツでは合成に成功したものの毒性の強さから実用化を断念した。しかし1943年アメリカ合衆国で独自に開発し、抗マラリア薬として発売した。

M.D.アンダーソンがんセンターの研究グループによると、休眠状態のがん細胞をクロロキンでオートファジー(がん細胞の自食作用のスイッチ)を遮断したところ、癌細胞の再成長が阻害されたとの報告がある。

副作用

1959年にクロロキン網膜症という重篤な副作用が報告された。クロロキンの長期投与により眼底黄斑が障害され、網膜血管が細くなり視野が狭くなってしまう。クロロキン網膜症には治療法が無く、薬の服用を中止しても視覚障害が進行する。

日本でのクロロキン網膜症患者は1,000人以上に及んだ。アメリカでの報告や警告があったにも関わらず、厚生省(当時)が情報公開や製薬会社に対する指導など適切な対応をとらなかった為に被害を拡大するという他の薬害事件と同じような経過をたどった。また、日本では、1955年頃から使用され、マラリア以外にも、慢性腎炎や、癲癇などに効果があるとされた(実際はこれらに対し何ら効果はなかった)ことが、薬害患者の大量発生につながった。なお、全身性エリテマトーデス皮膚エリテマトーデス関節リウマチの治療薬として有効性と安全性が認められ、日本以外の世界各国では広く使用されている。


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