キング (チェス)
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テンプレート:チェスの駒 キング (King、♔♚) はチェスの駒の一種。王を表し、十字架と王冠(crown)の形をしている。
チェスの最終的な目的は、相手のキングを取れることが確定する状態に追い詰めること(チェックメイト)である。
初期配置
初期配置のキング
基本的な駒の動き
- 縦・横・斜めのすべての方向に、1マスだけ移動できる。
- 味方の駒のいるマスには移動できない(これは全ての駒に共通する)。
- 敵の駒が利いているマスにも移動できない。
- 移動できるマスに敵の駒がある場合、その駒を取ってそのマスに移動する事ができる。
例外的な駒の動き
キャスリングとは、キングとルークを一手で同時に動かす手を指す。キャスリングは各プレイヤーに、一回のゲーム中に一度だけ与えられた権利である。非常に便利な反面、この手は守らなければならない条件(制約)も多い。
- キングサイド・キャスリング
- ショート・キャスリング(short castling)とも呼ばれている。
- 何もつけず単に「キャスリング」という場合は、通常こちらを指す。
- 記号: 0-0(ゼロ-ゼロ)
またはO-O(オウ-オウ)[1]
- 記号: 0-0(ゼロ-ゼロ)
- クイーンサイド・キャスリング
- ロング・キャスリング(long castling)とも呼ばれている。
- 記号: 0-0-0(ゼロ-ゼロ-ゼロ)
またはO-O-O(オウ-オウ-オウ)
- 記号: 0-0-0(ゼロ-ゼロ-ゼロ)
キングの価値
チェスにおいてキングは、他のいかなる駒よりも常に価値が高い。
キング | クイーン | ルーク | ビショップ | ナイト | ポーン | |
---|---|---|---|---|---|---|
駒の価値 | ∞(無限大) | 9 | 5 | 3 | 3 | 1 |
- 通常駒の価値は局面によって変動するが、キングは唯一の例外となっている。戦力においてどれほど有利であっても、自分のキングを相手にチェックメイトされたらゲームは負けとなる。
- 仮にキングが取られてもよい駒ならば、その価値と強さは「4」くらいになるといわれている[2]。
チェックとチェックメイト
- チェック
- キング以外の駒を、敵のキングに利かせる手を「チェック」と呼んでいる。
- 記号は「+」となる。
- チェックをされた側は、キングを取られないように必ず対処しなければならない。(キングが自殺することは禁じられている)
- 敵からのチェックの対処(解消方法)は、次の3つのいずれかになる。
- 攻撃を受けている自分のキングを、敵の駒が利いていない場所に逃がす。
- 味方の駒で防御する。
- 現在チェックしている駒を取る。
- チェックメイト
- さまざまな「チェック」の中で、絶対に逃れる事ができない形がある。それを「チェックメイト」(または「メイト」)と呼んでいる。
- 記号は「#」となる。
- チェックメイトされた時点で、対局は終了となる。実際にキングを取る行為までは行わない。
- チェックメイトの形は多種多様で、複雑な物も数多く存在する。
- 味方の駒だけではなく、敵の駒もチェックメイトの形に関係することも多い。例えば、右図のチェックメイトの例2の場合、もしa7に味方のビショップがなければそこに逃げることができる(このビショップをどこに動かしてもチェックを防ぐことはできない)。このように、味方の駒がキングの逃げ道を塞いでしまうこともある。
チェックメイトとステイルメイト
- チェスのルールでは、キングが自殺するような手は禁止されている。そのためキングは、敵の駒が利いているマスに移動する事ができない。
- チェックでない手で、敵のキングを自殺せざるを得ない状況に追い込むことはルール上可能であるが、ステイルメイトが成立してしまい、たとえどんなに戦力差が開いていても引き分けになる。
攻撃されている側から考えたチェックメイト
- 自分の手番である。
- 現在チェックされている。
- 合法手がない。つまり、反則にならずに次に動かせる駒が一つもない。
ステイルメイトの例
攻撃されている側から考えたステイルメイト
- 自分の手番である。
- 現在チェックされていない。
- 合法手がない。つまり、反則にならずに次に動かせる駒が一つもない。