カンサス (バンド)
テンプレート:Infobox Musician カンサス(Kansas)は、アメリカの代表的なプログレッシブ・ロック・バンド。地名との差別化のため、カンザスではなくカンサスと呼ぶのが日本では一般的である。
日本ではあまり知名度はないが、イギリス主体のプログレッシヴ・ロックをアメリカ的解釈でアーシーかつポップに消化したサウンドで、本国やヨーロッパなどでは高い評価を得ている。アメリカのプログレ、ことにプログレッシヴ・ハードロックに分類されるバンドとしてはパイオニア的な存在である。
1980年1月、初来日公演。大阪、福岡、東京で6公演。招聘元は、ウドー音楽事務所。
目次
バイオグラフィー
1969年にフランク・ザッパに触発されて、前身である「ホワイト・クローヴァー・バンド」が結成される。しばらくはメンバーチェンジを繰り返しながら活動していたが、1972年ごろにフィル・イハートがイギリスに音楽留学へと行った際、全盛期のプログレッシブ・ロックを目の当たりにし衝撃を受ける。その後、1974年にメジャー・デビューを果たす。同年中に1stアルバム『Kansas』と2ndアルバム『Song for America』を発表。翌年には3枚目のアルバム『Masque(仮面劇)』を発表した。これら3枚はいずれも最終的にゴールド・ディスクを獲得している。
1976年には『Leftoverture(永遠の序曲)』を発表。「Carry On Wayward Son(伝承)」のシングル・ヒットも生まれ、アルバムは同年中に100万枚、1995年までに400万枚を売る大ヒットとなった。
1977年発表の『Point Of Know Return(暗黒への曳航)』からは「Dust In The Wind(すべては風の中に)」が大ヒットし、アルバムそのものも同年中に100万枚、1995年までに400万枚に到達している[1]。
また、ライブ活動も積極的に行っており、毎年のように100本以上のツアーをこなしている。1978年には1977〜78年の3本のツアーで収録した音源をもとに、LP2枚組のライブアルバム『Two for the show(偉大なる聴衆へ)』を発表。翌年に100万枚到達。
1979年には『Monolith(モノリスの謎)』、1980年には『Audio Visions』とコンスタントにアルバムを発表。しかし、ソロとして活動することを決意したスティーヴ・ウォルシュがバンドからの脱退を表明する。
バンドは新メンバーのオーディションを行い、新人のジョン・エレファンテがヴォーカル&ソングライターとして加入する。新生カンサスとして1982年にアルバム『Vinyl Confessions』を発表。先行シングル「Play The Game Tonight」が17位まで上がり、久々のヒットとなる。
1983年の『Drastic Measures』はよりポップでコンパクトにまとめられたアルバムだったが、売上の面では成功しなかった。バンドの象徴的存在だったヴァイオリンのロビー・スタインハートが脱退を表明。その後、バンドはベストアルバムを発売し解散する。
1986年にはスティーヴ・ウォルシュが中心となり、ギタリストにスティーヴ・モーズを迎えるなど大幅にメンバーを入れ替えて再結成され、アルバム『Power』を発表。以降は流動的なメンバー構成で活動を続けており、『Somewhere to Elsewhere』ではオリジナル・メンバー全員でのリユニオンも成し遂げている。
2008年には未発表音源を大幅に加えた発売30周年記念盤の『Two for the show』が発売された。
2009年にはオーケストラと共演したライヴDVD『There's Know Place Like Home』が発売された。旧メンバーのケリー・リヴグレンとスティーヴ・モーズもゲスト参加している。
現在もライブ活動を中心に現役で活動中である。
音楽性とその影響
曲作り・サウンドの傾向としてはロックンロール指向の強いスティーヴ・ウォルシュと、プログレッシブ・ロック指向が強いケリー・リヴグレンの2人が中心である。スティーヴとロビーのツイン・ヴォーカル、リチャードとケリーのツイン・ギター、ケリーとスティーヴのツイン・キーボード、そしてロビーのヴァイオリンを加えた斬新なメンバー構成で、デビュー当初から独自の音楽性を展開した。</br> プログレとしてはイエスやジェネシスといったシンフォニック・構築的なバンドの影響を受けており、それらの先逹との差別化として、ハードロック的でアグレッシヴなリズムセクションやバラエティに富んだヴォーカル、マルチなリード楽器による重層的なアンサンブルなどを武器とした。また当時世界的に隆盛していたハード・ロックを中心として、フォーク、ヘヴィ・ブルーズ、カントリー、ラテンなど、非常に雑多なアプローチを盛り込んだ、洗練されていながら泥臭いというアメリカン・ロックの両端が同居するサウンドも大きな特徴である。デビューが同年だったカナダのラッシュや、同国の後続であるドリーム・シアターやスポックス・ビアードのように、変則的なリズムを自然に聴かせるアレンジも先進的であった。
アメリカにおけるプログレッシブ・ロック、ことにブリティッシュ・プログレの模倣ではない音楽性を確立したパイオニアとして、スティクス、ジャーニー、ボストンらと「プログレ・ハード」のバンドとして並び称され、後世に与えた影響は少なくない。例えば「伝承」をカバーしているイングヴェイ・マルムスティーンは『Two for the show』を聴いて大きな衝撃を受けたといい、「それまでアメリカのバンドではスティクスをよく聴いていたんだけど、カンサスを知ってからは僕の中でスティクスはかなり小さな存在になってしまったよ」と述べている。
その他にもドリーム・シアターが「伝承」を、サラ・ブライトマン、スコーピオンズが「すべては風の中に」をカバーしている。
歴代メンバー
オリジナルメンバー
- スティーヴ・ウォルシュ Steve Walsh - Lead Vocals, Keyboards & Synthesizers ※1980年脱退、1986年復帰。
- ロビー・スタインハート Robby Steinhardt - Lead Vocals, Violin & Viola ※1983年脱退、1998年に復帰するが現在は再び脱退。
- ケリー・リヴグレン Kerry Livgren - Lead & Rhythm Guitars, Keyboards, Synthesizers ※1983年脱退、その後楽曲提供では参加。
- リチャード・ウィリアムス Richard Williams - Lead & Rhythm Guitars
- デイヴ・ホープ Dave Hope - Bass ※1983年脱退
- フィル・イハート Phil Ehart - Drums, Percussion 空軍所属の父の赴任に伴い日本での居住歴あり
途中加入のメンバー
- ジョン・エレファンテ John Elefante - Lead Vocals, Keyboards ※1982年参加、1984年脱退。
- スティーヴ・モーズ Steve Morse - Lead Guitars ※1985年参加、1991年脱退。現在はディープ・パープルに加入。
- ビリー・グリアー Billy Greer - Bass & Vocals ※1985年参加
- デヴィッド・ラグスデール David Ragsdale - Violins & Guitars ※1991年参加、1997年脱退、ロビー・スタインハート脱退後に復帰
- ウォーレン・ハム Warren Ham Keyboards, Flute, Alto and Soprano Saxophones, Harmonica & Vocals ※1982年参加、1984年脱退
- グレッグ・ロバート Greg Robert Keyboards & Vocals ※1991年参加、1997年脱退
ディスコグラフィー
アルバム
年 | 邦題 | 原題 | 最高位[2] | RIAA認定 |
---|---|---|---|---|
1974 | カンサス・ファースト・アルバム | Kansas | 174位 | 50万枚 |
1974 | ソング・フォー・アメリカ | Song For America | 57位 | 50万枚 |
1975 | 仮面劇 | Masque | 70位 | 50万枚 |
1976 | 永遠の序曲 | Leftoverture | 5位 | 400万枚 |
1977 | 暗黒への曳航 | Point Of Know Return | 4位 | 400万枚 |
1978 | 偉大なる聴衆へ | Two For The Show | 32位 | 100万枚 |
1979 | モノリスの謎 | Monolith | 10位 | 100万枚 |
1980 | オーディオ・ビジョンズ | Audio Visions | 26位 | 50万枚 |
1982 | ビニール・コンフェッション | Vinyl Confessions | 16位 | |
1983 | ドラスティック・メジャーズ | Drastic Measures | 41位 | |
1984 | ベスト・オブ・カンサス | The Best Of Kansas | 154位 | 400万枚 |
1986 | パワー | Power | 35位 | |
1988 | イン・ザ・スピリット・オブ・シングス | In The Spirit Of Things | 114位 | |
1992 | ライブ・アット・ザ・ウイスキー | Live At The Whisky | ||
1994 | 伝承 | The Kansas Boxed Set | ||
1995 | フリークス・オブ・ネイチャー | Freaks Of Nature | ||
1998 | オールウェイズ・ネバー・ザ・セイム | Always Never The Same | ||
1998 | キング・ビスケット・ライブ | King Biscuit Flower Hour Presents | ||
2000 | サムホエア・トゥ・エルスホエア | Somewhere To Elsewhere | ||
2002 | アルティメイト・カンサス | The Ultimate Kansas | ||
2002 | デヴァイス・ヴォイス・ドラム | Device, Voice, Drum | ||
2008 | プレイリスト:ヴェリー・ベスト・オブ・カンサス | Playlist: The Very Best of Kansas |
シングル
年 | 原題 | 最高位 |
---|---|---|
1974 | Can I Tell You | |
1975 | Bringing It Back | |
1975 | Song For America | |
1976 | It Takes A Woman's Love (To Make A Man) | |
1976 | Carry On Wayward Son | 11位 |
1977 | What's On My Mind | |
1977 | Point of Know Return | 28位 |
1978 | Dust in the Wind | 6位 |
1978 | Portrait (He Knew) | 64位 |
1979 | Lonely Wind | 60位 |
1979 | People Of The South Wind | 23位 |
1979 | Reason To Be | 52位 |
1980 | Hold On | 40位 |
1980 | Got To Rock On | 76位 |
1982 | Play The Game Tonight | 17位 |
1982 | Right Away | 73位 |
1982 | Chasing Shadows | |
1983 | Fight Fire With Fire | 58位 |
1983 | Everybody's My Friend | |
1984 | Perfect Lover | |
1986 | All I Wanted | 19位 |
1987 | Power | 84位 |
1987 | Can't Cry Anymore | |
1988 | Stand Beside Me | |
1995 | Desperate Times | |
1995 | Hope Once Again |
来日公演
- 1980年 Monolith・Tour(モノリス ツアー) 招聘元:ウドー音楽事務所
- 1月13日(日) 福岡・九電記念体育館
- 1月**日(*) 愛知・名古屋市公会堂
- 1月**日(*) 大阪・大阪フェステバルホール
- 1月16日(水) 東京・日本武道館
外部リンク
脚注
関連項目
- プログレッシブ・ロック
- アメリカン・プログレ・ハード
- ボストン
- アニミュージック - ライブDVD「Device voice drum」のパッケージとCGムービーを担当。
- SUPERNATURAL 挿入歌で使用