カヤホガ川
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カヤホガ川(Cuyahoga river)は、アメリカ合衆国オハイオ州北西部を流れエリー湖に注ぐ河川である。河口にはクリーブランドがある。ジアーガ郡・ポーテージ郡・サミット郡・カヤホガ郡を流域とする。
語源は原住民の言葉の「曲がりくねった」に由来する。蛇行が顕著で、直線距離30km流れるのに160kmを費やす。高低差はあまりなく、歴史的には、カヌーでの往来があった。
20世紀初頭には、川に沿ってオハイオーエリー運河が設けられ、地域の発展に貢献した。
環境
下流部は流れが穏やかなこともあり船舶の航行が可能であるため沿川には多くの工業が発達した。廃棄物を産生する施設は「産業発展」の象徴とされ、その陰で1868年から1969年にかけ幾度と無く火災が発生している。川の水が燃えるはずが無く、工場からの排出された廃油などが何かのきっかけで発火したものである。歴史的にはかなりの経済的、人的損失をだしているが、政治的には1969年の火災が重要である。この際にはタイム誌の「ここで溺れることはない、融けてなくなってしまう」の見出しとともに表紙を飾り窮した連邦政府は、その後に日本の環境省に相当する政府機関であるアメリカ合衆国環境保護庁(EPA)を設立し、全くかえりみられなかった環境保全に向かわせることとなった。当時の規制は、「船舶の通航の妨げになる障害物」についてのみであったことから、水質は想像を絶するものであり、流域ではヒルなど最も汚染に抵抗性のある生物すら棲息が確認されなかった。その後は水質の回復を見るものの、現在でも生息する魚類などには異常が続き、汚染のため食用には適さないとの勧告が続いている。