エンデューロレース
エンデューロレースとは、オートバイなどで行われるレースの種類である。本来の姿としては、公道を走行出来る保安部品が付いた車両によるオリエンテーリングとラリーが合わさったものといえる。
概要
エンデューロレースは、主催者が設定した一周数十km以上ある未知のコース(数カ所のチェックポイントが設定される)を指示標識に基づいて走る。車両が故障した場合、車両の整備もライダー自身が行う。順位を争うよりも完走を目的にすることから、完走者全員がメダルの対象となり、その中から規定の割合により、金、銀、銅メダルが授与されるという形が本来の姿である。海外で最も有名なレースが「I.S.D.E.」(International Six Days Enduro)であり、ロード、オフロード、トライアル等の総合的競技といったところから、2輪のオリンピックと称される場合もある。
また、「I.S.D.E.」とは別に世界各国で開催されるエンデューロ世界選手権(2日間)がある。
日本では開催場所を用意出来ないなどの理由から、耐久モトクロス的なレースにもエンデューロという名称を使用している。
日本での本格的なヨーロピアンスタイルのエンデューロレースは、1984年に苫小牧市ウトナイ湖周辺で開催された「インターナショナル2ディズエンデューロ(ITDE)」を嚆矢とする。この競技会はその後「日高2ディズエンデューロ」と改称され、主催者も変わり途中休止した年もあるが現在も継続している。
日本で行われるエンデューロレースと本場ヨーロッパのエンデューロレースとの大きな違いは走行距離にある。ヨーロッパでは一日に250kmから300kmを走破させるが、日本では日照時間や土地的要因などの理由により、100kmから150kmと設定されることが多く、走行距離が大幅に短い。したがって、日本におけるエンデューロレースは技術的(走行、車両整備)・体力的な差により完走者を振り分けることが難しく、極端に難易度の高いコース設定になることもある。また、もともとは使用されるマシンの耐久性をも試す競技であったが、日本においては十分な耐久性を持たないマシンでも走れてしまうことから、マシンの全体レベルの向上に資することは出来なかった。
しかし、世界的に環境問題が重視される中、現在ではヨーロッパにおいても競技距離は短くなり、テスト区間もモトクロス的になり、走行場面も一般市街地が増えてきたのも事実である。
エンデューロマシン
エンデューロレース用のオートバイは、前項で述べたとおりさまざまな環境を走破し、かつ昼夜を問わず走行する場合も多いことから、外観はモトクロスタイプのオートバイに前照灯やブレーキ灯などの保安部品を取り付けたような形である。また、レース内容によっては公道走行に際して必要となるナンバープレートの取得を前提とするため、方向指示器などのレース開催地域での道路交通関連法規に準じた装備を備える。
また、耐久レースとしての側面から燃料タンクは大きめに作られており、車体には航続距離を伸ばすための補強などが加えられる。ただし、公道走行はレース自体の主体とはなりえないことから、舗装された道路での長時間高速走行はあまり考慮されない。このためエンデューロマシンを舗装道路で高速走行にて運用すると、オフロードタイプのタイヤが早く傷む傾向は否定できない。
本格的なエンデューロ競技用オートバイは国産の国内販売車は少なく、日本車の逆輸入車または外国製マシンが主流となっている。外国製マシンではKTM(オーストリア)、ハスクバーナ(スウェーデン→イタリア)が歴史が古くポピュラーであったが、現在はそれらに加えてtm(イタリア)、ベータ(イタリア)、ファンティック(イタリア)、VOR(イタリア)、フサベル(スウェーデン)、BMW(ドイツ)が有名。またスペイン製のガスガス、ポルトガル製のAJP、ドイツ製のZP、イタリア製のマラグーティ等もある。
スノーモービルによるエンデューロ
スノーモービルレースにおいても、エンデューロレースと呼称されるものがある。全日本スノーモビル選手権の競技種目として開催される。
自転車によるエンデューロ
自転車競技においても、エンデューロレース(エンデューロ)と呼称されるものがあり人気がある。 ツインリンクもてぎや鈴鹿サーキット、あるいは公園内のコーナーが多いサーキット形状のコースなどを使用して周回を行い、2時間、3時間、10時間などと走り続ける形式が一般的である。 その他のレースとして、茨城県かすみがうら市で開催している「かすみがうらエンデューロ」のように、一般公道を完全閉鎖して、5時間(2時間)の耐久レースとして決められたコースを団体のチームや個人が周回するレースもある。 また、一般的には周回数が多い順に表彰する「競争」レースである事が多く、そのため、スタート直後からさながらロードレースのように集団を形成したり、アタックを掛けたりなど対人戦をする事も珍しくなく、事実上の耐久レース(エンデュランスレース)である事も多い。