アメリカ合衆国上院
テンプレート:Infobox Legislature テンプレート:アメリカ合衆国の政治 アメリカ合衆国上院(アメリカがっしゅうこくじょういん、テンプレート:Lang-en)は、アメリカ合衆国議会を構成する二院のうち、上院にあたる議院である。
古代ローマの テンプレート:La(元老院)が語源である。テンプレート:En を直訳した場合は合衆国元老院となるが、日本語では通常上院[1]と記される。
語源
「上院 (テンプレート:En)」「下院 (テンプレート:En)」という言葉は、アメリカの首都がフィラデルフィアであった頃、議会が使用していた2階建ての公会堂(現在の独立記念館、当時の大きめな家屋と変わらないほどの小振りな建物)で、議員数の多い代議院 (テンプレート:En) がその1階部分 (テンプレート:En) を、少ない元老院 (テンプレート:En) が2階部分 (テンプレート:En) を使用したことからこう呼ばれ始めたといわれる。
歴史
アメリカ合衆国憲法の制定者達は二院制議会を創設した。二院の内一院は輿論に敏感な人民の院(下院)として、そしてもう一院は各州を代表する院(上院)として作られた。各州を代表する上院議員は1913年にアメリカ合衆国憲法修正第17条が追加されるまで、有権者による投票ではなく州議会によって選出されていた。
構成
上院議員 (テンプレート:En) の定数は各州あたり2名ずつの100名で、任期は6年間である。2年ごとに全上院議員の約3分の1ずつが改選される。上院議員は3組に分けられ、各州の上院議員2名は別の組に属する(それぞれの州で6年間のうち2回、1名の上院議員の改選があることになる)。2010年に選出され、2016年に改選される組(即ち6の倍数年に改選される議員)が34名の上院議員を擁し、他の2組は33名の上院議員が属している。
選挙制度は各州を選挙区とする単純小選挙区制。選挙権は18歳以上。被選挙権は30歳以上、9年以上合衆国市民であり、選挙時に選出州の住民であることが求められる。
辞任や死亡により議員の欠員が発生した際には、選出州において補欠選挙を行い、欠けた議員の残りの任期を務める議員を選出する。補欠選挙の開催時期は州に任せられており、多くの州において補欠選挙は2年毎の下院議員等の選挙と併せて行われる。また、補欠選挙までの期間に置かれる臨時の議員を指名する権限を、州議会が州政府に与えることができる。
憲法第5条により、上院における各州平等の投票権を改める憲法改正を行うためには全ての州の同意が必要とされる(他の条項の改正はテンプレート:分数の州の批准が要件)。また、州ではないワシントンD.C.は下院で本会議で議決権を持たない議員の選出と大統領選挙への参加が認められているものの、上院議員を選出することはできない
権限
条約の批准と指名人事について、大統領に「助言と同意」を与える権限は上院のみが行使しうる。弾劾裁判においては下院による訴追に対して上院による裁判と役割が分担される。予算案および関連法案については下院に発議権がある[2][3]。予算案を含むすべての法案が成立するためには上下両院での承認が必要であり、イギリスや日本の下院に付与されているような特定議院の優越はない。
- 大統領への助言と同意
- 大統領の権限のうち、下記のものは上院出席議員のテンプレート:分数の賛成による助言と同意 (テンプレート:Interlang) を要件とする。「助言」とはいうものの、実際には大統領による提案を受けてから、それぞれ担当の委員会に付託し、本会議の議決によって一括して「助言と同意」を与える形となる。
- 条約の批准:署名された条約の批准。批准に際して条文の解釈決議を行うことができ、また条約の条項を修正、若しくは批准に条件を付けることもできる。
- 大統領指名人事:大使・公使・領事、合衆国首席裁判官と陪席裁判官、連邦行政省庁の長官・副長官・次官等の官僚、軍の将官などの人物。人事案件が付託される委員会はそれぞれの担当により異なる。
- なお上院多数党と大統領の政党が違う場合でも、大統領は概ね自らの党の人物を政府高官に指名し、それに対して上院も党派を理由とする拒否は行っていない。
- 立法権
- 原則として上下両院の権限は平等である。また予算(アメリカでは法律として扱われる)についても発議権以外については下院と同等の権限を有する。
- その他の両院の権限が対等な事項
- 大統領による欠けた副大統領の後任指名は、憲法修正第25条の規定する上下両院のそれぞれ過半数による承認(confirmation)が要件であり、上院による助言と同意とは別のプロセスである。
- 憲法修正案の発議は、上下両院においてそれぞれ2/3多数での可決を経た両院合同決議によりなされる。
- 弾劾
- 大統領・副大統領その他の連邦公務員に対する弾劾裁判では、下院の単純過半数の賛成に基づく訴追を受けて上院が裁判し、上院出席議員の2/3多数の賛成により弾劾対象者を免職しうる。
- 副大統領選挙
- 大統領選挙の際、選挙人による副大統領選出選挙において、過半数を獲得した候補がいない場合は上位2名の候補の中から上院が副大統領を選出する。
役職
上院本会議のの議事運営は、議院規則と慣例を機械的に適用するか、全会一致の決議によりそれらのルールの適用を省略するかのいずれかにより行われるため、下院とは対極的に議事主宰者の裁量権は極めて小さい。円滑な議事進行のためには全会一致決議が欠かせないため、少数派議員の発言権が大きい。
- 上院議長 (テンプレート:En)
- 副大統領が兼任する “名目上の” 上院議長。したがって上院議長は上院議員ではないため、本会議の採決に加わることも、議事を進行することもなく、可否同数の場合のみ議長決裁票を投じる。ただし上下両院合同本会議が開かれるときは、下院本会議場で下院議長と共に共同議長を務める。
- 上院仮議長 (テンプレート:En)
- 副大統領に代わって議長職を司る “事実上の” 上院議長。副大統領、下院議長に次ぐ、大統領権限継承順位第3位の要職である。仮議長は上院議員の互選により選出されるが、当選回数が最も多い多数党の議員を選ぶことが慣例となっている。ただし、そうしたベテラン議員は重要な委員会の委員長となっているため多忙であり、また仮議長は実質的には栄誉職であり、自らの裁量で職権を行使する機会は少ないため、実際には仮議長に選ばれた者が本会議の議事を進行することはあまりない。
- 上院仮議長代行 (テンプレート:En)
- 上院本会議場の議長席で日常の議事進行を司る “実際の” 上院議長。多数党の上院議員の中から仮議長が指名するが、新人議員を交代で仮議長代行に充てることが慣例となっている。通常は多数党から指名されるが、伯仲状態の場合は両党議員が交替で指名を受けることもある。仮議長代行は、さらに自らの代理を務める議員を指名することもできる。
- 上院多数党院内総務/上院少数党院内総務 (テンプレート:En)
- それぞれの院内会派の議員総会で互選。名実ともにリーダーとして上院の運営の取りまとめに当たり、また対外的に上院を代表する。議場で複数の議員が同時に発言を求めた場合、上院本会議では多数党院内総務、少数党院内総務、多数党議事進行係、…の優先順位で発言権が与えられる。そのため、最優先権のある多数党院内総務が議事進行に大きな影響力を持つ。
- 上院多数党院内幹事/上院少数党院内幹事 (テンプレート:En)
- それぞれの院内会派の議員総会で互選。自会派の院内総務を補佐し、各議員に会派としての協調行動を促す。複数名の副幹事が幹事の補佐に当たる。
委員会
上院の審議は委員会を中心に行われる。委員会には、常設の常任委員会と、案件ごとに必要に応じて設けることが可能な特別委員会があり、各委員会の下には小委員会が設置されることもある。各委員会の委員は会期のはじめに上院の決議によって選任する。慣行では、多数党院内総務が提出する選任案を本会議で承認する形となる。本会議と異なり、委員長は自らの裁量によって委員会の議事運営を行うため、強い政治力を持つことになる。委員会は必要に応じて公聴会を開催し関係者を証人として召喚する権限を持つ。委員会は委員会付きの事務および政策調査スタッフを雇用する。スタッフの人選は、多数党に属する委員長と、少数党筆頭委員がそれぞれ独自に行う。
- 常任委員会 (テンプレート:En)
- 本会議から付託された議案や、委員から提出された議案を審議する。審議後は採決を行い、結果を本会議に報告する。また連邦機関の活動を監視する。
- 特別委員会
- 上院の決議によって設置される委員会で、特別委員会 (テンプレート:En)、特別調査委員会 (テンプレート:En)、常設特別調査委員会 (テンプレート:En) がある。委員数、権限等は各決議によって定められている。
- 上下両院合同委員会 (テンプレート:En)
- 上下両院の合同決議によって設置される委員会。上院議員と下院議員の委員数は同数で委員長職は上院議員と下院議員が交互に務める。委員数、権限等は各合同決議によって定められている。
議席
2013年1月3日から2015年1月3日まで
脚注
文献情報
- 「アメリカ連邦議会上院の権限および議事運営・立法補佐機構」(松橋和夫 国立国会図書館レファレンス2003.4)[1]
- 「アメリカ連邦議会上院における立法手続」(松橋和夫 国立国会図書館レファレンス2004.5)[2]