アフタヌーン・ティー
テンプレート:食事 アフタヌーン・ティー(Afternoon tea)はイギリス発祥の喫茶習慣。
紅茶と共に軽食や菓子を摂る習慣であるが、単に飲食を楽しむだけのものではなく社交の場として使われ、礼儀作法、室内装飾、家具調度、使用されている食器や飾られている花、会話内容など広範な分野のセンスや知識・教養が要求される(文化的・社会的な位置付けとしては日本の茶道に近い)。
由来
1840年頃に第7代ベッドフォード公爵フランシス・ラッセルの夫人、アンナ・マリア(en:Anna Russell, Duchess of Bedford)によって始められたとされる。イギリスにおいてこのような慣習が始まったのは女性向けの社交の場としてと、もうひとつ、日本においては一般的に夕食時間とされる時間帯(19~21時)は、観劇やオペラ鑑賞や夜の社交などにあてられ夕食を摂るのが21時以降になるため、事前の腹ごしらえとしての意味がある。
食事に準ずる、または食事を兼ねた喫茶習慣
アフタヌーン・ティーは食事に準ずる喫茶習慣でもある。ロー・ティー(Low tea)とも呼ばれ、客間や居間など低いテーブルのある空間で提供された[1]。現代では、ホテルやレストランで提供される形式も含め、アフタヌーン・ティーと呼ぶ。紅茶のほかに、キュウリのサンドイッチなどの軽食や、スコーン、ケーキ類といった菓子が供される。皿に盛った軽食・菓子が2~3段重ねのティースタンド(トレイの一種)に載せられる。ティースタンドはアフタヌーン・ティーにおける象徴的なアイテムであるが、本来は狭いテーブルや低いテーブル上を有効に活用するために使われる。このため、ビュッフェ方式などの広いテーブルで行なうアフタヌーン・ティーにティースタンドを使う事は、作法として避けられる。
アフタヌーン・ティーに類する習慣には、さらに遅い時間のハイ・ティー(High tea)がある。ハイ・ティーは本来食事としての意味合いが強く、一般的に夕方5時から6時の、上記由来欄に示されるような遅い時間の夕食の前に、食事とともに茶など飲み物が提供されたもの。
アフタヌーン・ティーが小さなラウンジ・テーブルや客間の低いテーブルで提供されるのに対し、ハイ・ティーは食事用の高いテーブルで供されることからその名が来ている。本来夕方の喫茶であると同時に、事実上の夕食でもあるため、紅茶や、サンドイッチなど簡素な軽食や菓子類のみならず、むしろ肉料理・魚料理の方が供される献立では、食事が主体である。このため、ミート・ティー(Meat tea)の別名もある。
イギリスの元植民地であり、広東系華人の多いシンガポールでは、ホテルで供されるハイ・ティーは、イギリス式に紅茶、スコーン、サンドイッチが供されるほか、シュウマイ・餃子など中華料理の点心も供され、イギリス式にアレンジされた飲茶(ヤムチャ)とも、中華風にアレンジされたハイ・ティーかアフタヌーン・ティーともいえる。
同じくイギリスの植民地であったアメリカでは、ハイ・ティーという言葉が非常に儀式化された(気取った)ティーパーティーを指す。これは、「high」の意味を「formal」の意味と誤解したことに由来する。内容も上述した「ハイ・ティー」よりも軽めの食事とデザートが供される。
なお、イングランド北部を含む一部の地域では夕食のことをティーと呼ぶ。これは過去にイングランドの上流、中流階級の使用人は昼食を主要な食事(dinner)とし、夕食(supper)はサンドイッチなど簡素な軽食、残り物の冷たい肉、サラダなどを紅茶(ティー)とともにとっていたことによる。 オーストラリアやニュージーランドにおいても同様の呼称が用いられるが、これはスコットランドから入ってきた人々の影響による。なお、ラテンアメリカ等におけるメリエンダ(午後の軽食)もしばしばアフタヌーン・ティーと同種のものとみなされる。
簡略化
正式なアフタヌーン・ティーを準備し行うことは労力を要するので、現代は簡略化して行われることがほとんどである。
その他のイギリスの喫茶習慣
- アーリーモーニングティー - 朝食前の寝覚めのお茶。
- イレブンシス(モーニングティー) - 日本で言えば「10時のおやつ」に相当する。午前11時ごろのお茶。
- アフターディナーティ - 文字通り、ディナーの後のお茶。
- クリームティー
脚注
- ↑ History of High Tea whatscookingamerica.net (英語)
"low tea" because it was usually taken in a sitting room or withdrawing room where low tables (like a coffee table) were placed