ふたなり
テンプレート:性的 テンプレート:複数の問題 ふたなり(二成、双成、二形)とは、一つのものが二つの形状を持つことをいい、特に一人で男性と女性の性器を兼ね備えた、いわゆる両性具有を指す。はにわり(半月)ともいう。現代では主に創作物における概念として使用される。
概要
古来の日本では、半陰陽という二極に分類できない第三の性という概念で使用されてきた。ただし、平安時代後期に書かれた病草紙には「二形」という題で男性の占い師が半陰陽だったという話が描かれている。半陰陽の形態としてのそれは両方の性器を持った存在を表すものであり、狭義には卵巣を持ち、外性器が男性形である女性半陰陽を指すことが多い。
「ふたなり」と「在原業平」を合わせた「ふたなりひら」という言葉もあり、半陰陽の意味のほかに女性のように美しい男性のことを指す場合がある。
なお、1357年ごろのテンプレート:仮リンクの著書「東方旅行記」には、エチオピアの一本足族、耳長族などと一緒に「ふたなり族」も登場する。[1]
現実世界のふたなり
先天的なものに半陰陽がある。ただし、それぞれの性器の発達が中途半端なことも多く、本人の性的志向もさまざまで、創作物の作った行き過ぎたイメージとは一致しない。
ニューハーフと呼ばれる職業トランスジェンターの人々は、顧客の需要や性別適合手術の大変さから男根を残したまま女装や女体化を行う場合が多い。一般の女性ではなく、ニューハーフとの交際を望んだり、専門風俗店に訪れる顧客は男根と女性化した体を組み合わせを望む場合が多いのである。また、性別適合手術は戸籍変更が可能などのメリットがあるものの、手術の費用やリスクがある上に、術後のメンテナンスを日常的に行い、人工膣の癒着や雑菌繁殖を防ぐ必要があり、負担が大きい。そのため、あえて性別適合手術を行わない者も多い。ましてや男根と(人工)膣を両方備える狭義のふたなりは、まず居ないといって良い。なお、相手の男性器を受け入れる行為は口や肛門でも可能である。
アダルトビデオに出演するふたなり女優は、ニューハーフや特殊メイクによるフェイクが多いと思われる。近年のアダルトビデオでは「ふたなりモノ」は定番のシチュエーションのひとつとなっており「レズモノ」の一種と見なせる。ふたなり専門のAV女優が演じるというより、人気AV女優がさまざまなシチュエーションをこなしていくなかで普通に「ふたなりモノ」に出演していることから、樹脂製男性器を装着するベルト状の下着(いわゆるペニパン)を使用している事例が多い。アダルトビデオでは性器にモザイクがかけられるので、樹脂製男性器も肌色をしていればあまり違和感がない。作品によっては(擬似的に)射精する描写もあることから、それなりにこだわった装具が使われている。
創作物におけるふたなり
現代日本では、おもに性的な対象として半陰陽者を扱った成人向け漫画やアダルトゲーム・アダルトビデオで見られる。半陰陽や両性具有といった言葉の婉曲表現として「ふたなり」という表現が使用されることが多く、登場人物の特性としてもジャンルそのものとしても用いられる。ふたなり描写を多数描く漫画家・イラストレーターがいるなど、一部では萌えの属性やフェティシズムともみなされている。一方、官能小説でふたなり描写を前面に押し出した作品は極めて少ないが、結城映一作『淫妖伝』や山藍紫姫子作『アレキサンドライト』などがある。
漫画やゲームの世界では、両方の性器が正常に機能する、完全な両性具有として描かれることが多い。また、その性器の配置に関しては作家によって差異はあるものの、男性もしくは女性のどちらとも言えない形にすることが多い。ただし、外見・性格は女性であることが殆どである。さらに体質として、絶倫、巨根(極端なケースではオートフェラチオなどができるほどの大きさの場合も)、まれに性器自体が柔軟、性器が複数ある(複根)、精液の量が異様に多いというケースもある。
睾丸がある場合とない場合の両方あるなど、成人向けのメディアでは医学的な半陰陽と思われる表現はほぼ皆無である。また、呪術や人体改造、生物の寄生などで陰核が男性器へと変化するケースも見られる。まれに肉体改造などで陰核を肥大化させたものや、特異体質で陰核自体が特殊で細く長く柔らかいものを男性器として扱い挿入するケースもある。先天的にせよ後天的にせよ、キャラクターがこのような身体的特徴を持つにいたった経緯が作中で全く説明されない場合も多い。日常ではありえない不条理なシチュエーションのひとつとして、唐突に描かれることも多い。
ふたなりとは異なる概念だが、ボーイズラブでは「受け」側の男性の肛門が半ば女性器のような配置や機能を有する(通称「やおい穴」)描写もあり、これはこのジャンル特有の奇異たる描写とされている。
成年コミック業界においては、レズビアン物+αの要素、あるいはシーメールの円滑表現という魅力から、一定の読者ニーズが存在する。代表的な作品として「ふたなりっ娘の世界」(茜新社)や「ふたなりエクセレント!」(一水社)等のアンソロジー単行本が発売されている。
ただし、「『男の子の方』をメインにするなら『女性』でもある意味がなくなり、『女の子の方』をメインにするなら『男性』でもある意味がなくなる」という問題点があり、ストーリーやシチュエーションの展開が難しい題材である。
なお、漫画『ゴルゴ13』の初期作『バラと狼の倒錯』の標的にもふたなりの人物が登場する。その人物は完全な両性具有で、ふたなりがゆえの境遇から、依頼を受けるきっかけの犯行に至ったと描かれた。仕事を終えた後、標的の境遇を聞いたゴルゴは表情を変えていた。
脚注
関連項目
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