AMG

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ファイル:Mercedes-Benz W212 E 63 AMG AME.jpg
メルセデス・ベンツ E63 AMG

AMG(エイ・エム・ジー[1])はメルセデス・ベンツチューニング部門であり、メルセデス・ベンツの上級高性能モデルやスポーティーなパーツに冠されるブランドでもある。近年は大排気量のマッスルカー的なモデルが多くなっている。本社工場はドイツのアファルターバッハ(Affalterbach)にある。

概要

1967年レース用自動車エンジンの設計・試行会社として創業。創立者のハンス・ヴェルナー・アウフレヒト(Hans Werner Aufrecht)、エンジニアのエバハルト・メルヒャー(Erhard Melcher)、アウフレヒトの故郷であるグロース・アスパッハ(Großaspach)の頭文字を取ってAMGとした。

その後ブラバスロリンザーなどと同様に、アフターマーケットにおいて主にメルセデス・ベンツの乗用車のチューニングを手掛けるようになった。1980年代半ばからは公式にメルセデス・ベンツへのパーツ供給が始まり、1993年には初の共同開発車C36を発売、1999年にはメルセデス・ベンツの一部門となった。現在はBMWのMモデルアウディのS(RS)シリーズ同様、高性能エンジンを搭載したモデルを担当している他、スポーティーな付加価値の付いたパーツに冠されるブランドとなっている。

AMGモデルの開発は、メルセデス側が新車開発する初期の段階でAMG側に車両情報を送るところからスタートする。そのためメルセデスの新車公開とほぼ同時にAMGモデルを公開することができる。 最近ではAMGモデル以外にも通常モデルのオプションとして、AMGのアルミホイールやエアロパーツが販売されている。 また、メルセデス・ベンツにも「AMGスポーツパッケージ」、「AMGライン」と呼ばれるオプションがあり、AMGモデルを購入しなくとも、それに準じたスポーティーなエクステリアに仕上げることができるようになっている。

1980年代後半には三菱自動車ギャランデボネアのチューニング(ギャランAMG、デボネアAMG)を担当したことがある。

独立企業時代からモータースポーツに関わっており、現在はドイツツーリングカー選手権(DTM)での活躍がみられる。1996年からは、F1セーフティーカーおよびメディカルカーを担当している。

当時AMGの輸入元だったAMGジャパン(ヤナセの子会社)が取り扱っていた頃は、モデル名の前にAMGの名前が入っていた(例;AMG C63)が、2000年10月にダイムラー・クライスラー日本(当時)に輸入権を譲渡されて以降は、現在の表示(例 - C63 AMG)に順次移行していった。

AMGは創業以来から長らく、FRの車両のみにAMG仕様を発表し、SUV以外での4WDのAMG仕様と、FFのBクラスとAクラスにはAMG仕様は用意されてなかった。2013年にEクラスがマイナーチェンジしたことに伴い、初めてセダン/ステーションワゴン タイプで4WDのAMG仕様である、E63 AMG 4MATICを発表した。また近年、AクラスにもFFベースの4WD仕様であるA45 AMG 4MATICが発表され、さらに、旗艦モデルSクラスにも、S63AMG 4MATICが追加発表された。

通常モデルとの違い

かつてのAMGモデルは、ボディ同色のフロントグリルやホイール、エアロパーツなど、威圧感が全面に出るスタイリングが特徴だったが、メルセデスの傘下に入ってからは落ち着いたスタイリングとなっている。外観上の違いは、各モデル専用のアルミホイールやエアロパーツが装着され、リアエンド右上にAMGのエンブレムが付くほか、リアエンド左上には数字2桁のエンブレムが付く(C55、S65など)。モデル名に関しては、1990年代前半まではベース車両のグレードの後ろに、実排気量やAMGにおけるグレードを併記するという方法が取られていた(例 400E S3、300E 3.2 SR、S500C-6.0など)が、1993年にメルセデス・ベンツ本社との共同開発車、C36が発売されて以降は、前述の数字2桁の表記方法に順次移行し、具体的なベースグレードの概念は現在はなくなっている。ただし、W202C280 AMGR170SLK230 AMGは例外的に3桁の表示を採用しているが、これは、これらのモデルのエンジンに、AMGの手が加えられていないことによるものである。

また、AMGモデルが持つ高いブランドイメージからか、ノーマル車の外観をAMG仕様に仕立てた後にAMGのエンブレムに付け替える衒示行為(E350→E63など)が日本においてまま見られる。このような行為は一般にエンブレム・チューンと呼ばれている。この場合、リアウインドウ左下、若しくは後部サイドウインドウに張られる正規のAMGモデルであることを示す銀色のステッカー(複製防止のため、再使用不可のステッカーとなっている)が貼られていないので、注意深く観察すれば外観から判別できる。

さらには、エクステリアはノーマルのままAMGのエンブレムのみ付け足すという、半ば強引とも取れる例も見られる。この場合はメルセデスオーナーはもとより、ある程度車に詳しい人が見ればAMGモデルでは無いのは一目瞭然であるのは言うまでも無い。 しかしながら、奥様向けの雑誌であるVERYなどのコラムでこれらの行為が堂々と紹介されており、エンブレムチューン済のメルセデスがかなりの台数存在するのが実情であり、実体である。

専用パーツとして強化ブレーキシステムやAMGスポーツサスペンション、チューンされたエンジン、4本マフラー、内装等が搭載される。加えて、一部の日本販売モデルにはAMGモデルをさらにチューンした「パフォーマンスパッケージ」が用意されている。

なお、2006年よりAMGの各モデルをさらに強化した特別なモデルをブラックシリーズとして限定販売している。

内装やシートにも通常モデルと比べて高級な素材を使用することが多く、質感も向上している。AMGのロゴが入ったスピードメーターは300km/h以上刻まれているが、実際には一般の欧州車同様250km/hでスピードリミッターがかかる。ドイツ本国では有償オプション扱いでリミッターを外すことも可能だが、その場合は使用するタイヤを始めとして、コンディションを厳格に維持することが求められる。日本においては、モデルによって追加オプションで最高速度の引き上げが可能となっている。

日本における現行車種

現在日本で販売されている車種は下の通りである。欧州にはこれ以外のバージョンやディーゼルエンジン搭載のモデルも存在する。現在では、主力は「63系」のエンジンであり、AMGモデルのほとんどを占めている。 基本的に同じ「系」に属す車種には同じエンジンが搭載されているが、過給器の有無や出力の違いがある。

日本国内においては、左ハンドル仕様のみとした設定が長らく続けられてきており、現在もE63ステーションワゴン・CLS63(4MATIC車のみ)・CLS63 シューティングブレーク・G65・G63・GL63・S65・CL63・CL65・SL65・SL63は左ハンドル仕様のみであるが、最近ではC63セダン・C63クーペ・CLS63・E63セダン・S63では左右の選択が可能になり、逆にA45・CLA45・C63ステーションワゴン・ML63では右ハンドル仕様のみにされたりと、ラインアップの構成に変化が生じている。

車種 排気量・エンジン エンジン型式 最高出力 現行ベース車両
65系(受注生産)
S65 AMG ロング 6.0L ツインターボV型12気筒SOHC M275 629ps/102.0kg·m Sクラス W221型
CL65 AMG CLクラス C216型
G65 AMG ロング M279 612ps/102.0kg·m Gクラス W463型
SL65 AMG 629ps/102.0kg·m SLクラス R231型
63系
C63 AMG</br>C63 AMG ステーションワゴン</br>C63 AMG クーペ 6.2L V型8気筒DOHC M156 457(487)ps/61.2(61.2)kg·m Cクラス W204型
SLS AMG 6.2L V型8気筒DOHC M159 571ps/66.3kg·m ベース車両は存在せず
CLS63 AMG
CLS63 シューティングブレーク
5.5L ツインターボ V型8気筒DOHC M157 524(557)ps/71.3(81.6)kg·m CLSクラス C218型
CLSシューティングブレイク X218型
E63 AMG</br>E63 AMG ステーションワゴン 524(557)ps/71.4(81.6)kg·m Eクラス W212型
SL63 AMG 537ps/81.6kg·m SLクラス R231型
S63 AMG ロング 544(571)ps/81.6(91.8)kg·m Sクラス W221型
CL63 AMG CLクラス C216型
ML63 AMG 524(557)ps/71.4(77.5)kg·m Mクラス W166型
G63 AMG ロング 544ps/77.5kg·m Gクラス W463型
55系
SLRマクラーレン(生産終了) 5.5L ツインスーパーチャージャーV型8気筒SOHC M155 626ps/79.5kg·m ベース車両は存在せず
45系
A45 AMG 1.9L 直噴ターボ直列4気筒4マチック M133 360ps/45.9kgm Aクラス W176型 
CLA 45 AMG CLAクラス C117型
GLA 45 AMG GLAクラス X156型
括弧内はパフォーマンスパッケージ装備時

脚注

  1. 日本ではしばしば「アーマーゲー」と誤読されるが、メーカーでは英語読みを指定しており、もしドイツ語読みするとしても「アーエムゲー」である。日本で誤読されるようになった諸説のひとつが、漫画の「シャコタン☆ブギ」の中で、ブリスターワイドボディを装備したAMG560SEC6.0-4Vが登場し、この漫画の登場人物が「AMG(アーマーゲー)」のセリフを語ったものが広まったとするもの。

関連項目

外部リンク

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