香川県立農科大学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
テンプレート:大学 (廃止) 1955年に国立香川大学に編入され、農学部となった。
本項では、旧制香川県立農業専門学校などの前身諸校を含めて記述する。
概要
- 1903年 (明治36年) 創設の木田郡立乙種農学校を源流とする。
- 直接の前身校、旧制香川県立農業専門学校は、第二次世界大戦後に増設された公立の農業専門学校 (旧称 高等農林学校) の一つ。
- 学制改革で新制香川県立農科大学に昇格した後、国立移管され、香川大学農学部となった。
- 同窓会は 「池戸会」 (いけのべかい) と称し、旧制・新制合同の会である。
沿革
前史
- 1903年2月25日: 木田郡立乙種農学校設立認可 (文部省告示第37号)。
- 農業学校規程 (1899年) に基づく乙種農業学校。
- 本科 (修業年限3年)、別科 (同 6ヶ月)。本科の入学資格: 満12歳以上、4年制尋常小学校卒業程度。
- 1903年4月5日: 開校式・第1回入学式。13日、授業開始。
- 発足時は本科を甲学級 (高等小学校卒業者)、乙学級 (尋常小学校卒業者) に分けた。
- 1905年4月28日: 香川県木田郡立甲種農林学校に改組 (文部省告示第88号)。
- 本科 (修業年限3年)、予科 (同 2年) を設置。
- 本科の入学資格: 満14歳以上、4年制高等小学校卒業程度。予科は 2年制高等小学校卒業者対象。
- 1906年4月1日: 香川県に移管し、香川県立農林学校と改称 (3月12日文部省告示第45号)。
- 予科を廃止。本科 (3年制)・補習科 (1年制) を設置。
- 1909年4月: 校舎移転、新築落成式を挙行。同窓会発足。
- 1911年3月: 附属農業補習学校を設置 (1916年4月廃止)。
- 1912年1月: 養蚕別科を設置 (1年制)。
- 1915年3月: 校歌 『源平此に戦ひし』 制定 (壺井忠雄 作詞、永井一孝 閲、東儀鉄笛 作曲)。
- 1922年4月1日: 香川県立木田農林学校 と改称 (香川県令第16号)。
- 1922年4月13日: 養蚕別科を養蚕専修科と改称。
- 1923年2月: 校友会と同窓会が合併、「学友会」 発足。
- 1927年1月: 学友会に 「植民部」 設立。以後、植民講座を継続開催。
- 1927年4月: 植民科 (課外講義) を設置。
- 1931年3月: 研究科を設置。
- 1933年6月: 香川県植民講習所を附設 (修業年限6ヶ月、満17歳以上対象)。
- 1937年4月: 第二部産業組合科を設置 (修業年限1年、中学校卒業者対象)。
- 1940年2月: 同窓会独立再建、「池友会」 と称する (現 「池戸会」)。
- 1941年12月: 戦時措置による繰上卒業 (1945年まで)。
- 1943年3月: 本科・第二部を改組。
- 農業科第一本科 (新設): 修業年限4年、国民学校初等科卒業者対象。
- 農業科第二本科 (従来の本科から改称): 修業年限3年、国民学校高等科卒業者対象。
- 第二部産業組合科を産業組合専修科と改称、国民学校高等科卒業者対象に変更。
- 1944年4月: 養蚕専修科・産業組合専修科を廃止。
- 1946年4月: 同窓会総会、農業専門学校 (農専) 創設を提起 (後に農専設立期成同盟会結成)。
旧制香川県立農業専門学校時代
- 1947年3月31日: 専門学校令により香川県立農業専門学校設立認可。
- 本科 (修業年限3年) に農業科・農産製造科の 2科を設置。
- 母体の香川県立木田農林学校は1948年に新制香川県立木田農業高等学校となったが、1950年から生徒募集を停止し、1952年3月廃校。代わりに、1950年4月、香川県立木田高等学校 (現・香川県立高松東高等学校) に全日制農業科が設置された (1965年3月廃止)。
- 1947年9月10日: 香川県立農業専門学校第1回入学式。
- 1948年5月: 農専設立期成同盟会、「香川県立農科大学設立期成同盟会」 に移行。
- 1949年5月: 香川県議会、農科大学への昇格を可決。
- 1949年8月: 農科大学設置認可申請書を文部省に提出。
香川県立農科大学時代
- 1950年2月20日: 香川県立農科大学設置認可 (3月14日付文部省告示第7号)。
- 1950年4月: 香川県立農科大学開学。
- 農学部 (農学専攻、園芸学専攻、農産製造学専攻) を設置。
- 1951年3月: 旧制香川県立農業専門学校、閉校 (正式の廃止は1961年3月)。
- 1952年3月: 木田郡井戸村(現在のさぬき市昭和)字谷に附属傾斜地農業科学研究所を設置 (現 香川大学農学部附属農場)。
- 1953年6月: 国立移管推進委員会、香川大学学長に移管の申入れ。
- 国立移管を希望した理由は、国立大学に比べて研究費の面で不利だったことが大きいとされる。
- 1953年7月: 香川大学評議会、移管を承認。
- 1953年10月: 香川県議会、国立移管意見書案を可決。
- 1954年2月: 学科制に変更。
- 農学科 (第1部、第2部)、園芸学科、農芸化学科に改組。
- 1955年1月: 香川大学農学部設置認可申請書を文部省に提出。
- 1955年7月10日: 「国立学校設置法(昭和24年法律第150号)の一部を改正する法律」 により、香川大学農学部設置。
- 国立に移管。農学科甲 (農学)・農学科乙 (農業工学)・園芸学科・農芸化学科を設置。
- 1958年3月: 移管完了し、香川県立農科大学廃止。
歴代校長・学長
- 旧制木田郡立乙種農学校、木田郡立甲種農学校、香川県立農林学校、香川県立木田農林学校
- 校長: 山越金次郎 (1903年3月 - 1904年7月)
- 校長: 萱場三郎 (1904年7月 - 1906年10月)
- 校長: 吉村喜一郎 (1906年10月 - 1917年11月)
- 校長: 石川雄右衛門 (1917年11月 - 1921年4月)
- 校長事務取扱: 前川十郎 (1921年4月 - 1921年5月)
- 校長: 前川十郎 (1921年5月 - 1922年11月)
- 校長: 大塚静 (1922年11月 - 1946年4月)
- 校長: 藤本茂 (1946年4月 - 1948年6月)
- 校長: 黒上泰治 (1948年6月 - 1952年3月)
- 旧制香川県立農業専門学校
- 校長事務取扱: 藤本茂 (1947年3月 - 1948年3月)
- 校長: 黒上泰治 (1948年3月 - 1951年3月)
- 香川県立農科大学
- 学長: 黒上泰治
- 後の香川大学農学部 初代学部長
校地
源流の旧制木田郡立乙種農学校は、創立当初、香川県木田郡平井村(現 木田郡三木町)大字池戸(いけのべ) 1383番地の大宮八幡宮恵徳院の一角を使用した。旧制香川県立農林学校時代の 1909年4月、木田郡から提供された香川県木田郡平井村大字池戸字長屋2393番地の校地に移転した。同校地は、後身の旧制香川県立農業専門学校、香川県立農科大学、香川大学農学部が拡充しながら使用している(現 香川大学三木町農学部キャンパス)。なお最寄り駅であった高松琴平電気鉄道長尾線の田中道駅は1950年「農大前駅」と改称したが、同大学が香川大に併合されたことにより1958年農学部前駅と改称、現在に至っている。
関連項目
- 香川大学
- 旧制専門学校 - 高等農林学校
- 学制改革
- 三木茂 (植物学者) - 1915年入学。
関連書籍
- 作道好男・作道克彦(編) 『香川大学農学部八十年史』 教育文化出版教育科学研究所、1986年11月。
外部リンク
- 香川大学農学部 - 後身校
- 池戸会 - 同窓会
- 香川大学沿革 (pdf)