飲料水
飲料水(いんりょうすい)は、上水道水、井戸水など人の飲用に供する水。その他、食料品としての飲料水(清涼飲料水)がある。
飲用可能な水
人間が飲用可能な水は、余分な成分があまり入っておらず、有害な微生物の含まれないものである。北海道を除く日本に於いては、多くの河川の中流以上であれば、その水が飲用可能であり、昔から飲み水に困ることはなかった(現在ではむしろ環境汚染(水質汚濁など)のために飲めない場合がある)が、世界的に見れば珍しい方に属する。それ以前に、河川すらない地域も世界には多い。
まず、海水は飲めない。塩分などが多過ぎるからである。同様に、内陸でも塩分などの多い水は飲めない。火山地帯などでも、特殊な成分を含んで飲めない水がある。
また、病原微生物を含む水は飲めない。飲むと腹痛を起こしたり、下痢になったり、もっと恐ろしい病気になったりする可能性があるからである。この点に関しては、個人の体質や耐性も関係する。現地の人間は無事でも、旅行者には危険な場合もあり得る。しかし多くの地域では生水は危険である。
熱帯地方では河川の水が危険である場所が多く、むしろ野外から得られる水より、ココヤシの果実の中の水など、植物体内の水を利用する例が多々ある。植物体内であれば、ほぼ無菌に近いからである。ウツボカズラの捕食袋の水も飲用にされる(ただし、袋が開く前に限る)。
赤痢やコレラなど、病原体で汚染された飲み水から感染し、大流行する病気も数多くある。そのため、安全な飲み水の確保は、古くより、ある程度文化の進んだ地域では重要な課題であった。
世界的には、日本よりはるかに乾燥した地域が多く、そういった地域では、まず水そのものを得る方法を考案しなければならない。井戸はその代表的な技術である。
日本の上水道はそのまま飲める水を提供するものである。
水質基準
- 飲用を目的として給水する水道水については水道法で51項目の水道水質基準が定められており、水道事業者はこの基準に適合した水を供給しなければならない。各水道事業者は、それぞれ水道水質検査計画を定め、定期的な検査を実施している。
- 給水事業ではない(例えば個人所有の井戸水等)の水質基準については、法的に定められていない。一般的な水質の目安として、約10項目(大腸菌、一般細菌、硝酸態及び亜硝酸態窒素、塩化物イオン、有機物等(全有機炭素)、pH値、臭気、色度、濁度、味:これらを総称して「簡易飲適」と言われる)及び残留塩素についてを検査・確認することが多い。飲用を目的とする場合には、出来るだけ水道水質基準の全項目の検査を実施した方がよい。不適合である場合には、滅菌装置や濾過装置の設置などによる浄化対策を講じた後、再検査を行う必要がある。検査は、保健所や環境計量証明事業所などで実施している。
飲料水の味
水にもうまい、まずいがある。それは4つの要素で決定される。
- 水温--------体温より20~25℃低いと美味に感ずる。
- 含有成分---(1)適度なミネラル分(1リットル中100mg程度)、(2)適度な硬度、(3)炭酸ガスと酸素量
- 気象的条件
- 生理的条件
飲料水の種類
供給(販売)者
供給者は、地域住民の共同体から公的機関、公共企業体、民間事業者まで多種多様。戦争や大規模災害時には、地方自治体、国家レベルのほか国際的なNGOや国連難民高等弁務官事務所などが直接供給、または供給手段を提供することがある[1]。
出典
- ↑ UNHCRの難民援助活動(国連難民高等弁務官事務所公式ホームページ)