薄膜

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

薄膜(はくまく)とは薄いのこと。分野によって定義が異なる。

  1. 表面物理学での薄膜(Thin film)は、試料基板上に蒸着スパッタリング等の手法を使って作られる、数~数十層からなる原子層のこと。
  2. ソフトマターでの薄膜は、両親媒性分子を参照。

以下の項目は1の薄膜についての記述となっている。

製造方法

薄膜は、PVD(Physical Vapor Deposition:物理気相成長法:スパッタリング、蒸着など)、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長法)とエピタキシャル成長を利用したエピタキシーなどがある。1番目と2番目は主に光学薄膜の製造に利用され、3番目は主に半導体薄膜に利用されている。

薄膜の分類

薄膜は膜の厚みによって分類され以下のようになる。

  • 膜の厚みが数10μmならば厚膜
  • 膜の厚みが数μmならば薄膜
  • 膜の厚みが数nm以下ならば超薄膜

また、薄膜の持つ特性からコールドミラーコート、バンドパスフィルター、反射防止コートなど様々な種類に分類されている。

薄膜の測定

薄膜の厚みは2種類測定される。1つ目は物理膜厚と呼ばれる単なる薄膜の厚みであり、これは水晶振動子と呼ばれる電圧をかけると振動して周波数を発生させる機器を用いる。2つ目は光学膜厚と呼ばれるもので膜の厚みに膜の持つ屈折率をかけることで得られるものである。実際には、光学膜厚は計算ではなく、光学モニターによって測定されている。

薄膜の評価

薄膜を評価する方法は多数存在し、電子線を用いる方法(LEED、SEMTEMなど)、イオンを用いる方法(ISS、SIMSなど)、X線回折を用いるものや応力検査などがある。

関連項目

外部リンク