祁門
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祁門(きーむん)は安徽省祁門県附近でつくられる紅茶。日本では「キーマン」「キームン」「キーモン」などとよばれる。
発酵度が強く、キームン香と呼ばれるローズティのような甘い香りが特徴。キームン紅茶の標準を作り出しているのが1800年代から運営される祁門紅茶場。この工場の周辺にも生産会社はあるが、最高級の品質は祁門紅茶場で生産される。尚、祁門紅茶場のお茶は1.特貢、 2.貢茶、3.礼茶、4.特茗、 5.特級、6.一級、7.二級、8.三級の8つのグレードにより構成される。1と2のお茶は非常に高価ゆえに政府高官や国賓へのギフト用に使われることが多く、日本国内に流通するグレードとしては一般に4.特茗以下のグレードが多い。品質が上がるほど、味の濃度が増し、香りの余韻も強くなる。
福建省の「正山小種」(ラプサンスーチョン)を真似て作られたのが本紅茶の発祥と考えられている。1915年にパナマで開催された世界食品展で金賞を受賞ののち「世界の三大紅茶」(ダージリン・ウバ・祁門紅茶)と称されるようになるが、同時に複雑な製法を簡略化させた香りの悪い粗悪紅茶も増えてしまった。祁門のことをスモーキーフレーバーなどと形容されてしまうことが多いのは、この粗悪品の流通の弊害である。尚、近年では安価なキームン紅茶は福建省武夷山の正山小種(ラプサンスーチョン)としても多く用いられており、それがキームン紅茶として流通した場合、非常に煙り臭い。