京野菜
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京野菜(きょうやさい)は、京都の伝統料理に使われる野菜。聖護院かぶ・堀川ごぼう・賀茂なすなど(大辞林)。
目次
概要
古代から文化の中心として栄えていた京都は、地理的に海から遠いことから鮮魚の入手が難しく、また多くの寺社による精進料理が発達したため、独特な土着の野菜品種が育成され発展した。しかし戦後普及した西洋野菜にくらべ栽培や収穫に手間がかかることから農家が敬遠し、ついには一部品種は絶滅した。京都府はその状況を危惧し、1987年に「京の伝統野菜」の指定制度を設け、明治以前から京都府内で生産されていた34品種を「京の伝統野菜」として選定し、保存育成を図ることとした。その後も数品種が追加選定され、現在は41品目を認定している。
京野菜は、生産性や広域流通の便を考慮した現代市場向け商品としての品種改良をされていないため、外見では変わった形のものが多いが、栄養面ではかえって優れたものも多い。現在では、地産地消の観点から国内のフランス料理やイタリア料理が食材に導入する試みもある。
他にこのような郷土色の濃い野菜品種群には、大阪のなにわ野菜、奈良の大和野菜、石川の加賀野菜などがあり、各地で保存伝承の試みが行なわれている。
「京の伝統野菜」の認定基準
- 京都に都が置かれていた明治維新以前からの生産されていた歴史を有する野菜の品目。
- 京都市域のみならず、京都府内全域で生産されている野菜の品目。
- 筍を含む。
- キノコ類、シダ類(ぜんまい、わらび等)を除く。
- 種の保存の為にのみ栽培されている野菜の品目。又は、栽培されていないものの種が保存されている野菜の品目。及び絶滅した野菜の品目を含む。
品種(現存種)
大根
- 辛味大根
- 青味大根
- 時無大根
- 桃山大根
- 茎大根
- 佐波賀大根
- 聖護院大根
蕪
- 松ケ崎浮菜蕪
- 佐波賀蕪
- 舞鶴蕪
- 聖護院蕪
- 大内蕪
漬菜
- 鶯菜
- 酸茎菜
- 水菜
- 壬生菜
- 畑菜
茄子
- もぎ茄子
- 賀茂茄子
- 京山科茄子
唐辛子
- 伏見唐辛子
- 田中唐辛子
- 山科唐辛子
南瓜
根菜
- 海老芋
- 堀川牛蒡
- 慈姑
- 慈姑参照のこと。
その他
- 桂瓜
- 桂瓜は、白瓜の一種であり、主に奈良漬けなどに用いられてきたが、現在はほとんど生産されていない希少種である。
- 柊野ささげ
- 柊野ささげ参照のこと。
- 京独活
- 京茗荷
- 九条葱
- 九条ねぎ参照のこと。
- 京芹
- 京筍(タケノコ:タケノコは一般種だが特別選定)
- 蓴菜
- 蓴菜参照のこと。
絶滅した京の伝統野菜
大根
- 郡大根
蕪
- 東寺蕪
その他
- 聖護院胡瓜
京の伝統野菜に準じる野菜
唐辛子
ブランド京野菜
平成元年より、京都府、流通団体、農協等が中心になり設定した京都府の農産物の認定制度。京野菜と多く重複するが、「丹後梨」「丹波黒大豆」「丹波栗」等、野菜でないもの、丹波・丹後地方の特産物なども含む。 テンプレート:Main
京野菜の日
- 地元京都では、毎月15日を京野菜の日と定め、京都府内外の人々に京野菜に親しんでもらうよう努めている。
参考資料
関連項目
外部リンク
- 京の伝統野菜のページ(文字コード: Shift-JIS @ archive.org)