交響曲第7番 (シベリウス)
テンプレート:Portal クラシック音楽 シベリウスの交響曲第7番作品105は、1924年に完成された。作曲開始は、交響曲第6番とほぼ同じ頃(1910年代)とされている。 1924年3月25日、ストックホルムの楽友協会コンサートで、作曲者自身の指揮で初演された。
初演時は『交響的幻想曲』と名付けられており、交響曲として番号が与えられたのは翌年の出版時である。
概要
楽器構成
フルート2(2本ともにピッコロ持ち替え)、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット3、トロンボーン3、ティンパニ1式、弦楽五部
曲の構成
交響曲とは銘打ってはいるものの、単一楽章のため、速度標語を以下に記す。
Adagio(序奏) - Vivacissimo - Adagio - Allegro molto moderato - Allegro moderato - Presto - Adagio - Largamente molto - Affettuoso
交響曲としては珍しい単一楽章の構成を取る。これは、最初から意図して交響曲として作曲されなかったことによるが、
- 全体を一つの拡大されたソナタ形式とみなすことも可能である。
- 交響詩のような明確な標題を持たない
ことにより、交響曲としての分類が自然である。
曲想
ティンパニのト音に続いて地の底から湧き上がるような弦の音階によってゆったりと音楽が開始する。しばらく厳かな楽想が続いた後、最初の盛り上がりとして第1主題ともいうべきトロンボーンの旋律が朗々と響き渡る。このトロンボーンの旋律は、中間部ではやや形を崩した形で現れ、終結部でもういちどほぼそのままの姿で再現される。
これに寄り添う旋律として、フルートによる上昇下降を繰り返す萌芽的なパッセージがあり、これは終結部においてもっとも長い完成された形で現れてくる。
間にはスケルツォ的な快活でリズミカルな部分を挟むが、この曲の神髄は、有機的に融合した交響曲の各要素を、凝縮された音の中で表現しきったことにある。
演奏時間は、平均的には22分程度。
演奏例
録音されたもっとも古い演奏は、1933年のクーセヴィツキー指揮BBC交響楽団によるものである。
永らく、ジョン・バルビローリ指揮ハレ管弦楽団(1966年)、コリン・デイヴィス指揮ボストン交響楽団(1975年)、パーヴォ・ベルグルンド指揮ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団(1984年)などの録音が親しまれてきたが、近年、パーヴォ・ベルグルンド指揮ヨーロッパ室内管弦楽団(1995年)、オスモ・ヴァンスカ指揮ラハティ交響楽団(1997年)などの精緻、あるいは自然な演奏が現れ、様々な演奏スタイルの録音を楽しむことができるようになっている。日本での演奏例でも、渡邉暁雄指揮ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団の福岡サンパレスでのライヴ録音(1982年)がある。
ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルハーモニー交響楽団(1965年)による演奏は、トロンボーンの主題が異様なまでの迫力があることで知られている。