ナメコ

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100g中の食物繊維[1]
項目 分量
炭水化物 5.2 g
食物繊維総量 3.3 g
水溶性食物繊維 1.0 g
不溶性食物繊維 2.3 g

ナメコ(滑子)は、モエギタケ科スギタケ属キノコの一種。日本台湾などに分布する。学名は日本語の「なめこ」に由来する Pholiota nameko (T.Ito) S.Ito & Imai が一般的に用いられているが、最近になってPholiota microspora (Berk.) Sacc. と同一種であり、後者を採用すべきとする報告もなされている[2]

特徴

秋、(冷夏の年は梅雨ごろにも発生)ブナナラなどの枯れ木や切り株などに群生する。湿時はおびただしいゼラチン質の粘性物質のムチンが分泌しており、ナメタケ[3]ヌメリタケと呼ぶ地域もある。茶褐色のと白色又は茶色のゼラチン質で茶色のひだをもつ。天然のものと人工栽培のものがある。近年は広く人工栽培が行われ、栽培の方法も主に原木栽培菌床栽培の二通りの方法があり、一般に市場に流通しているのは菌床栽培品である。多くのメーカーから種菌が販売されており、害菌に対する抵抗力が比較的強く、家庭栽培も容易に行える。

食用

食用で味噌汁そばの具、おひたし炒め物をはじめとして、料理に多用される。傘の開ききっていない小さなものはツルツルとした喉越しが楽しめる。傘の開いた大きなものは直火焼きなどで香りとシャキシャキとした歯ごたえが楽しめる。ぬめりが乾いた状態では、天然のエノキタケに似る。 日本では主に100g程度に小分けされたものが流通している(#参考画像参照)。

ナメコ類似の食用キノコは、ヌメリスギタケ Pholiota adiposa )、ヌメリスギタケモドキ Pholiota aurivella )、チャナメツムタケ Pholiota lubrica )、シロナメツムタケ Pholiota lenta )がある[4]

栽培

広葉樹が使用され針葉樹は使用されない。現在では、流通しているものはほとんどが菌床栽培品である。2010年(平成22年)に日本では27,261トン、101億円が生産された[5]

原木栽培

原木栽培では「短木」「普通長木」「伐根」法で栽培され、種菌の接種は「駒木」「ヌカ床」により行う。原木栽培の場合、林間の「通風があり」「湿度が幾分多め」「水はけの良い」「比較的明るい場所」が適する。一般に5月頃種菌接種をし、接種後2夏を過ぎた秋~冬に発生を始め、原木の樹種により3~7年間収穫される。

菌床栽培

かつては、平箱で種菌接種後、自然状態と変わらない環境下での野外栽培も行われていた。現在では栽培周期を短くするため空調管理された室内で「平箱」「ブロック」「ビン」で栽培される。効率化と栽培周期を短くするため、ビン栽培が主流となりつつある。菌糸体が培地内に蔓延するとpHは酸性側に傾くため、培養中にpHを測定することで培地熟度の判定が出来る。

菌床培地は広葉樹のオガクズに粉糠やふすまを混ぜた物が使用される。北海道立林産試験場の研究では、「乾燥オカラを混合した培地で生産した場合、増収と生育日数の短縮効果が得られた」としている[6]

栽培特性[4]
  • 菌糸体の生育温度は、5℃前後から32℃程度、最適温度は25~26℃、好適温度は18~28℃。子実体の発生温度は5~22℃、栽培上の最適温度は12~17℃。
  • 管理された環境での栽培周期は70~120日程度。
  • 湿度は、菌糸体蔓延中、60~70%、子実体発生後、90~95%
  • 子実体発生の光量は、50~500lx

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類似の毒キノコ

参考画像

脚注

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  1. 五訂増補日本食品標準成分表
  2. Neda H.(2008) Correct name for "nameko" Mycoscience 49:88-91
  3. ただし、エノキタケの菌床栽培品にぬめりを効かせてビン詰めにしたものも「なめたけ」と呼ばれる。
  4. 4.0 4.1 キノコの栽培方法 -ナメコ-特許庁
  5. 林野庁「平成22年の主要な特用林産物の生産動向」、2011年。2013年1月閲覧。
  6. ナメコ栽培における乾燥オカラの利用林産試験場報 第18巻(2004年)1号

関連項目

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外部リンク