ティル・ナ・ノーグ
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ティル・ナ・ノーグ(Tír na nÓg)とは、トゥアハ・デ・ダナーンがアイルランドの祖と云われるミレー(マイリージャとも)族との戦いに敗れた後に、移住したとされる土地の名。幾つかある楽園の一つで、ティル・ナ・ノーグとは「常若(とこわか)の国」と呼ばれる。語り継がれている多くの話によれば、このティル・ナ・ノーグは妖精たちの好みの棲み家であり、三通りの島々、すなわち、生き物の住む島、勝利者たちの島、そして水底の島と言われている。
土の下だけでなく海のかなたにも常若の国を作って楽しく暮らしているともいわれているが、この他郷は「楽しき都(マグ・メル)」、「喜びヶ原(メグ・メル)」とか「至福の島(イ・ラプセル)」とか呼ばれ、西の方角にあるとされている。また、海のかなたや地下にある楽園、常若の国には、いつも「りんご」の木がたわわに実をつけ、生きている「豚」と、食べるばかりに料理されていて、いくら食べてもなくならない「豚」があり、飲んでも尽きることのない「エール」、この三つがあることになっている。
常若の国の伝説
- オドノフー伝説
- ラー湖
- ハイ・ブラゼル―至福の島
- 幻影の島
出典
- 『ケルト幻想物語』ウィリアム・バトラー・イェイツ編、井村君江訳,(筑摩書房)
- 『ケルトの神話 世界の神話9』井村君江著,(筑摩書房)