シラン (化合物)

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シラン(silane, 水素化ケイ素)とはケイ素水素化物化学式 SiH4分子量 32.12 の無機化合物である。特異な臭気を有する無色の気体であり、液化ガスとして入手が可能である。

ケイ素数2、3の高級水素化物はそれぞれジシラントリシランと呼ばれ、それと区別するために SiH4 はモノシランとも呼ばれる。

空気中の酸素によりすみやかに酸化されて二酸化ケイ素に分解し、シランの濃度が高ければ着火源がなくても自発的に発火燃焼する。

シラン誘導体におけるケイ素の分子軌道は sp3 混成軌道で、水素原子がケイ素を中心とした正四面体の各頂点に位置している。アルカン同様に極性が小さく、ヘキサンエーテルなどの有機溶媒によく溶ける。アルコール類とはゆっくりと反応する。もっとも単純な気体状のケイ素化合物であり、半導体製造に用いられる特殊材料ガスの代表である。

ポリシラン

一般式 SinH2n+2 (n > 2) の化合物の総称。ケイ素数が規定できるものはオリゴシランと呼ばれることもある。性質はケイ素を炭素に置換したアルカンとはかなり異なり、低い最低遷移エネルギーを持つなどの興味深い性質を示す。一般にはケイ素−ケイ素結合を構築する反応としてはハロシランのアルカリ金属によるウルツ型カップリングのみが採用されるため、アルカンに比べると化合物の多彩さに欠く。

母体の水素置換体は空気中の酸素により爆発的に酸化され、自発的な燃焼を伴うので取り扱いが困難であることから、ケイ素上にアルキルもしくはアリール基を有する誘導体の研究が多い。 特殊高圧ガスである。

有機シラン

現在までに多くのシラン誘導体が合成されている。メチル化物であるテトラメチルシランは、核磁気共鳴分光法におけるプロトン、炭素13、およびケイ素29の核種の標準物質として用いられる。有機化学ではそれらの一般式が RR1R2R3Si(各置換基は H または有機基)と表される誘導体の総称を指してシランと呼ぶことが多い。詳細は項目: 有機ケイ素化合物 を参照のこと。

関連項目

外部リンク

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