シフゾウ
シフゾウ(四不像、Elaphurus davidianus)は、哺乳綱ウシ目(偶蹄目)シカ科シフゾウ属に分類されるシカ。本種のみでシフゾウ属を構成する。
分布
形態
体長183-216センチメートル[2]。尾長22-35.5センチメートル[2]。肩高122-137センチメートル[2]。体重オス214キログラム、メス159キログラム[2]。頭部は細長い[2]。尾は長く[3]、先端の体毛は房状に伸長する[2]。頸部の体毛は伸長し、鬣状になる[2]。
耳介は小型[2]。眼は大型[2]。吻端に裸出する板状の皮膚(鼻鏡)は大型で、アルファベットの「V」字状[2]。四肢は長く、蹄も大型[2]。眼下部には臭腺(眼下腺)が発達する[2]。
夏季は毛衣が赤褐色で[3]、暗色の縞模様が入る[1]。冬季は毛衣が灰色や灰白色[1][3]。
生態
低地にある湿原に生息していたと推定されている[2][3]。雌雄別々に群れを形成し生活する[2]。
繁殖形態は胎生。繁殖期になるとオスは多数のメスと群れ(ハレム)を形成する[2]。妊娠期間は288日[2]。1回に1-2頭の幼獣を産む[2]。生後2年3か月で性成熟する[2]。
人間との関係
角がシカ、頸部がラクダ、蹄がウシ、尾がロバに似ているが、そのどれでもないと考えられたことが名前(四不像)の由来という説がある[2][3]。また、頭は馬、蹄は牛、体はロバ、角は鹿にそれぞれ似るが、そのいずれでもないことが由来との説もある[4]。
1865年以前に南苑(皇帝の狩猟用施設)の個体を除いて絶滅した[2][3]。1894年に洪水で南苑が破壊されたことにより、南苑の残存個体も飢餓や義和団の乱で狩猟されたと考えられている[2][3]。野生個体の絶滅以前にイギリス、ドイツ、フランスへ数頭ずつが輸出された[3]。現存する最大の個体群はイギリスのベッドフォード公爵がウォーバンに狩猟用に集めた個体群で、ヨーロッパの動物園でもそれらの個体を元に飼育下繁殖が進められた[2][3]。1985年から飼育下繁殖させた個体を再導入する試みが進められている[2][3]。北京周辺での1990年における個体数は100頭、1998年における個体数は180頭と推定されている[2]。上海北部にある大豊保護区での1993年における個体数は122頭、1999年における個体数は354頭と推定されている[2]。
参考文献
関連項目
外部リンク
テンプレート:Animal-stub- ↑ 1.0 1.1 1.2 今泉吉典監修 D.W.マクドナルド編 『動物大百科4 大型草食獣』、平凡社、1986年、85頁。
- ↑ 2.00 2.01 2.02 2.03 2.04 2.05 2.06 2.07 2.08 2.09 2.10 2.11 2.12 2.13 2.14 2.15 2.16 2.17 2.18 2.19 2.20 2.21 2.22 2.23 2.24 2.25 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ1 ユーラシア、北アメリカ』、講談社、2000年、34-35、151-152頁。
- ↑ 3.00 3.01 3.02 3.03 3.04 3.05 3.06 3.07 3.08 3.09 3.10 3.11 『絶滅危惧動物百科6 サイ(スマトラサイ)―セジマミソサザイ』 財団法人自然環境研究センター監訳、朝倉書店、2008年、44-45頁。
- ↑ 広辞苑