衛星
衛星(えいせい、Natural Satellite)は、惑星や準惑星・小惑星の周りを公転する天然の天体。ただし、惑星の環などを構成する氷や岩石などの小天体は、普通は衛星とは呼ばれない。
概説
人間が作った人工天体の場合には天然の衛星(自然衛星)と区別するために「人工衛星」(Artificial Satellite) と呼ぶが、これを単に「衛星」と呼ぶことも少なくない。この場合は必ずしも惑星のまわりを回るものばかりとは限らず、ペットボトルロケットで飛ばす缶サットのような模型も「衛星」と称されるほか、逆に惑星の重力圏を脱出して太陽を周回する惑星探査機も、広義には人工衛星に含まれる。
英語では、口語的に "moons" という言葉で、月にかぎらず、各惑星等の衛星全般を指すこともある。また、衛星の周りを公転する天体は、孫衛星というが、そのような天体は天然のものでは現在のところ発見されていない。
太陽系内の惑星のうち水星と金星以外の6個、準惑星のうち冥王星、エリス、ハウメアの3個は、それぞれ少なくとも1個の衛星を持つ。また、20世紀末以降の観測により衛星を持つ小惑星も100個以上が確認されている(2007年現在)。
従来、地球に対する月は、衛星としては不釣合いに大きく、二重惑星と見なす意見もあった。月の直径は地球の4分の1強であり、質量でも81分の1に及ぶためである。後者を見れば小さいように思えるが、地球-月の体系に次ぐものは海王星に対するトリトンの800分の1であり、他の惑星の衛星の場合ははるかに小さいことから、地球-月系の特異さがわかる。
1978年に発見された冥王星の衛星カロンは、更にこれを凌駕するものであった。当時は冥王星は惑星とされていたために、さらに特異な例とされていた。しかし、通常はこれらも衛星の範疇に含める慣例となっている(二重惑星の項を参照のこと)。
衛星の組成
太陽系内の衛星のうち、地球の月やイオは主に岩石で出来ている。その他の衛星は主に岩石と氷で出来ているが、エウロパなどのように岩石からなる核の周囲を厚い氷の層が覆っているものと、カリストなどのように分離しきらず岩石と氷が混ざった状態のものがあると考えられている。
多くの衛星はメタンなどの炭素化合物やアンモニアなどの窒素化合物を含んでいる。タイタンは主に窒素からなる濃い大気を持ち、地表には液体のメタンが存在する。
太陽系の惑星と準惑星の衛星
- 木星・土星の50km以下、天王星の100km以下は登録番号順
- ()付きは存在しない可能性があるもの
比喩表現
衛星の比喩として「衛星都市」、「衛星国家」などの表現も用いられる。
関連文献
- 『完全図解・宇宙手帳―世界の宇宙開発活動「全記録」』(ブルーバックス、2012年03月 ISBN 978-4062577625)- 衛星の直径や離心率、等級のデータが掲載されている。
関連項目
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