BSDライセンス
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BSD License(ビーエスディー ライセンス)は、フリーソフトウェアで使われているライセンス体系のひとつ。カリフォルニア大学によって策定され、同大学のバークレー校内の研究グループ、Computer Systems Research Groupが開発したソフトウェア群であるBSDなどで採用されている。
目次
概要
「無保証」であることの明記と著作権およびライセンス条文自身の表示を再頒布の条件とするライセンス規定である。この条件さえ満たせば、BSDライセンスのソースコードを複製・改変して作成したオブジェクトコードをソースコードを公開せずに頒布できる。
著作権表示、ライセンス条文、無保証の旨の三点をドキュメント等に記載さえしておけば、BSDライセンスのソースコードを他のプログラムに組み込み、しかも組み込み後のソースコードを非公開にできるため、再配布時のライセンス条件を制限するGNU General Public License (GPL) に比べ、商用化及び標準規格の制定に利用しやすいライセンスである。
ライセンスの種類
BSDライセンスにはいくつか種類があり、ライセンス条文内の条項の数によって区分けされている。初期のBSDライセンスには、派生物の広告に初期開発者を表示すること(宣伝条項)が条件として盛り込まれており、今日では旧BSDライセンス (Original BSD License) あるいは四条項BSDライセンス (4-clause BSD license) と呼ばれる。ただし、旧BSDライセンスはGPLとの両立はできず、理由としてGPLが2次的な著作物のライセンスにGPLより厳しい制限(これを「さらなる制限」"further restrictions"と呼ぶ)をつけ加えることを禁止しており、BSDの宣伝条項はGPLにはない規定であり、「制限の追加」となるためである[1]。
この問題を解消するため、1999年7月22日に宣伝条項のないライセンスとなる修正BSDライセンス (New BSD License) またの名を三条項BSDライセンス (3-clause BSD license) が策定され、同時にそれまでのBSDライセンスは正式に廃止された[2]。さらに、FreeBSDおよびNetBSDオペレーティングシステムでは、書面上の許可なく開発者の名称を派生物の推奨や販売促進に使用しないという項目を削除した二条項BSDライセンス (2-clause BSD license) が採用され、OpenBSDで利用されているISCライセンスとの互換性がある。
条文
<year>は製作年、<copyright holder>と<owner>は著作権者の名前が入る。<organization>は団体名を入れるが、個人の場合はcopyright holderやownerと同義に扱える。
初期のBSDライセンス
旧BSDライセンス・四条項BSDライセンス
修正BSDライセンス・三条項BSDライセンス
二条項BSDライセンス
「BSDスタイルのライセンス」
BSDライセンスをベースに作成されたライセンスは非常に数が多く、これらの内容はBSDライセンスとほとんど同じである。こうしたライセンスをまとめて「BSDスタイルのライセンス」と呼ぶこともある。
BSDスタイルのライセンスには、GPLのようなコピーレフトなライセンスと異なり、二次的著作物の利用についてのライセンスを、原著作物のライセンスと同一にする必要がない。そのため、BSDスタイルのライセンスこそが真に「自由」なライセンスであるとする意見がある。また、このような性質がライセンスの普及促進に役立っていると論じることもできる。
多くのインターネットの機能や国際的な標準規格等のリファレンス実装がBSDスタイルのライセンスに従ったプログラムによって供給されているという事実は、そのライセンスの成功の証と見ることもできる。
「BSDスタイルのライセンス」の代表例
- Apache Software License (Apache HTTP Server,Tomcat,Struts等)
- Sendmail License (Sendmail)
- MIT/X License (XFree86,X.Org等)
- PHP License (PHP)
- Python License (Python)
- Zope Public License (Zope)
脚注
関連項目
外部リンク
- The BSD License - Open Source Initiative OSI
- BSDライセンス (オープンソースグループ・ジャパンによる邦訳)