ヤマツツジ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヤマツツジ(山躑躅、学名:Rhododendron kaempferi)はツツジ科ツツジ属の半落葉低木。
特徴
高さは1-5mになり、若い枝には淡褐色の伏した剛毛が密生する。葉は互生し、葉柄は長さ1-3mmになる。春葉と夏葉の別があり、春葉は春に出て秋に落葉し、夏葉は夏から秋に出て一部は越冬する。
春葉は長さ2-5cm、幅0.7-3cmになり、卵形、楕円形、長楕円形、卵状長楕円形など形状や大きさに変化が多く、先は短くとがり先端に腺状突起があり、基部は鋭形、葉の両面、特に裏面の脈上に長毛が生える。夏葉は春葉より小型で、長さ1-2cm、幅0.4-1cmになり、倒披針形、倒披針状長楕円形で、先は丸く先端に腺状突起があり、基部はくさび形、葉の両面に毛が生える。
花期は4-6月。枝先の1個の花芽に1-3個の花をつける。花柄は長さ3-4mmになり、花冠の筒はやや太く、色は朱色、まれに紅紫色、白色があり、径3-4cmの漏斗形で5中裂する。花冠の上側内面に濃色の斑点があり、内面に短毛が散生する。雄蘂は5本。花柱は長さ3-4cmになり無毛。果実は蒴果で長さ6-8mmの長卵形で、8-10月に熟し裂開する。
分布と生育環境
北海道南部、本州、四国、九州に分布し、低山地の疎林内、林縁、日当たりのよい尾根筋、草原などに生育する。日本の野生ツツジの代表種で、日本の野生ツツジでは分布域がもっとも広い。
ギャラリー
シノニム
- Rhododendron obtusum (Lindl.) Planch. var. kaempferi (Planch.) E.H.Wilson
- Rhododendron kaempferi Planch. f. latisepalum (Nakai) H.Hara
- Rhododendron kaempferi Planch. var. lucidusculum (Nakai) Sugim.
- Rhododendron scabrum G.Don var. kaempferi (Planch.) Nakai
下位分類
- ヤエザキヤマツツジ Rhododendron kaempferi Planch. f. komatsui (Nakai) H.Hara
- シキザキヤマツツジ Rhododendron kaempferi Planch. f. semperflorens H.Hara
- シロヤマツツジ Rhododendron kaempferi Planch. var. kaempferi f. album Nakai -花冠が白色で斑点が緑色の品種。
- オオシマツツジ Rhododendron kaempferi Planch. var. macrogemma Nakai -夏葉は光沢があり革質で冬も残る。花はやや肉質。伊豆七島、伊豆半島南部に分布する。
- ミカワツツジ Rhododendron kaempferi Planch. var. mikawanum (Makino) Makino -葉、花が小型で花の色に変化が多い。愛知県三河地方に分布する。
- サイカイツツジ Rhododendron kaempferi Planch. var. saikaiense (T.Yamaz.) T.Yamaz. -葉、花が小さい。長崎県の五島列島、鹿児島県の甑島に分布する。
- ヒメヤマツツジ Rhododendron kaempferi Planch. var. tubiflorum Komatsu -葉、花が小さく、花筒が長い。広島県、山口県に分布する。
- ケラマヤマツツジ Rhododendron kaempferi Planch. × R. scabrum G.Don –ヤマツツジとケラマツツジの交雑種。
参考文献
- 佐竹義輔他編『日本の野生植物 木本Ⅱ』(1989)平凡社
- 茂木透、高橋秀男他『樹に咲く花(合弁花・単子葉・裸子植物) 山溪ハンディ図鑑5』(2001)山と溪谷社
- 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)テンプレート:Asboxvi:Rhododendron obtusum