トレミーの定理
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トレミーの定理(とれみーのていり)とは円に内接する四角形 ABCD において、辺の長さに関する等式
- <math>AC\cdot BD = AD\cdot BC + AB\cdot DC</math>
が成り立つという幾何学の定理。トレミーとは古代ギリシアの天文学者クラウディオス・プトレマイオスのことであり、それゆえ本定理はプトレマイオスの定理とも呼ばれる。
証明
計算の便宜をはかり、a = AD, b = AB, c = BC, d = DC とおくことにする。また、∠A = ∠DAB, ∠B = ∠ABC, ∠C = ∠BCD, ∠D = ∠CDA のこととする。
余弦定理および内接四角形の性質より、
- <math>BD^2 = a^2 + b^2 -2ab \cos A</math>、
- <math>BD^2 = c^2 + d^2 -2cd \cos C = c^2 + d^2 +2cd \cos A</math>
が成り立つ。ここから cos A を消去して、
- <math>(ab + cd)BD^2 = (ad + bc)(ac + bd)</math>
を得る。また AC について同様にして
- <math>(ad + bc)AC^2 = (ab + cd)(ac + bd)</math>
となるから、2 式を掛けて
- <math>(ab + cd)(bc + ad)AC^2\cdot BD^2 = (ac + bd)^2(ad + bc)(ab + cd)</math>
を得る。これを整理すれば、
- <math>AC \cdot BD = ac + bd</math>
となる。すなわち、
- <math>AC\cdot BD = AD\cdot BC + AB\cdot DC</math>
が示された。