アメリカン・ヒーロー
『UFO時代のときめき飛行 アメリカン・ヒーロー』(The Greatest American Hero) は、1981年から1983年まで3シーズン、パイロット版+全42話が制作されたアメリカの特撮コメディテレビドラマ。日本では日本テレビ系「水曜ロードショー」で1982年8月25日『全米熱狂〝アメリカン・ヒーロー〟痛快初登場 ワンダーフライト 飛べ!スーパーマンを超えて…』の邦題でパイロット版放映。翌週、8月29日、日曜夜10時30分枠から『UFO時代のときめき飛行 アメリカン・ヒーロー』の邦題でTVシリーズ(日本語吹き替え版)が放送された。(関東では途中から土曜の昼間に不定期放送となる。)
人気はあったもののほとんど再放送されていない作品であったが、2004年8月にDVD-BOXがリリースされた。2006年7月10日より、AXNにて再放送されていた。2009年には、Gyaoで期限付きで、字幕版のパイロット版+42話が無料配信された。(DVD特典の「アメリカン・ヒロイン」は配信なし)
ストーリー
主人公ラルフ・ヒンクリーは平凡な高校教師であるが、妻とは離婚訴訟中で、一人息子の親権を争っている。そんなある日。その場に居合わせたFBI捜査官のビル・マックスウェルと共に、突然UFOと遭遇し、胸に漢字の「中」に似たマークのついた赤いスーパースーツを与えられ、世の中の正義を守るために悪と戦えと告げられる。
混乱したラルフはスーツの取扱説明書を無くしてしまい(UFOと遭遇した場所から立ち去るときに落とす)、手探りでスーパーマン稼業をはじめることとなってしまった。そんな彼の秘密を共有し、助けるのは美人教師の恋人パムと、ビルのふたり。
スーパースーツの能力
上記の様に、取扱説明書を無くしてしまった為、このスーパースーツがどのような能力を持っているのか分からなかったが、ストーリーが進むにつれ、少しずつ能力が判明していった。 能力を上手く使えるかは別として…
- 飛行
- 空を飛ぶ事が出来る力。最初はどうしたら飛ぶのか分からなかったが、偶然出会った子供から、アニメを元にしたアドバイスをされ、飛べるようになった(三歩助走をつける)。ただし、飛び方は自己流なのでバランスが悪く、飛んでいる間の姿勢や高度なども不安定である。
- 勿論、着地はいつも失敗。
- 目的地まで一度で飛べるとは限らない。
- 怪力
- 最初から判明していた能力。乗用車を片手で軽々持ち上げる。
- ただし、OPにもあるが壁に体当たりしても半壊させるにとどまり、自分もダメージを受ける等散々な事も。
- 高速移動
- 常人を遥かに超えるスピードで移動する能力。作中では走っていると言うより、歩いているように移動する。
- 透視
- 物体を透かして見る能力。
- サイコメトリー
- 対象とする人物の持ち物から、残留思念を読み取る。
- 透明化
- 体を透明にする事が出来る能力。ただし、自分の意思に反して突然解除される事がある。
- 耐弾性
- スーツを着用している間、弾丸を弾き飛ばす程の強固な防御力を得る。
- 発火
- 物を燃やすことが出来る。但し、狙った対象とは別のもの。
- 縮小
- 本人と手荷物を1cmくらいのサイズに縮小できる。なお、縮小状態から戻る際に手放していた手荷物は、元のサイズには戻らない。このために再びもらった取扱説明書をまた無くしてしまう。
これらのスーツの能力は、スーツの上から衣服を着用していると発現出来ない。その為、派手な色も手伝って使用時は時と場所を選ぶ。
登場人物
- ラルフ・ヒンクリー
- 演:ウィリアム・カット、吹替:富山敬
- 熱血だが平凡な高校教師。バツいち子持ち、養育権について係争中の主人公。少年時代はテレビ西部劇『ローン・レンジャー』の大ファンで、主演のクレイトン・ムーアを敬愛していた。
- パム・デビッドソン
- 演:コニー・セレッカ、吹替:戸田恵子
- 美人弁護士。ラルフの恋人。のちにラルフと結婚し「パム・ヒンクリー」となる。
- ビル・マックスウェル
- 演:ロバート・カルプ、吹替:小林修
- FBI捜査官。ドッグフードをおやつ代わりに食べる。
- ロンダ・ブレーク
- 演:フェイ・グラント、吹替:土井美加
- ラルフの教え子
- トニー・ビリカーナ
- 演:マイケル・パレ、吹替:井上和彦
- ラルフの教え子
- パコ・ロドリゲス
- 演:ドン・セルバンテス、吹替:塩屋翼(第17話~)
スタッフ
- 監督:アーノルド・レイヴェン、アイヴァン・ディクソン、ロッド・ホルコム
- 製作総指揮・企画:スティーヴン・J・キャネル
- 音楽:マイク・ポスト、ピート・カーペンター
主題歌
- ジョーイ・スキャベリー(Joey Scarbury) Theme From "The Greatest American Hero" (Believe it or Not)
- Billboard Hot 100の1981年8月15日付シングルチャートで第2位まで上昇、キャッシュボックスでは第1位を記録し、日本でも7インチシングルが発売された。
- 当初の邦題は「グレイテスト・アメリカン・ヒーローのテーマ」、日本でのテレビ放送時に再発されたシングルではTVドラマの邦題に合わせて「アメリカン☆ヒーローのテーマ」に改題された。
放送リスト
SPパイロット版(邦題:ワンダーフライト)(UFOにスーパースーツを貰う話)
- 「強烈殺人カーVSずっこけUFOマン」
- 「もう大変!!消えたジェット戦闘機とボク自身」
- 「落ちこぼれ高校生のスパイ大作戦」
- 「熱中先生!潜水艦に激突」
- 「僕はいつの日もTVヒーローに夢中」
- 「つっぱりトニー君の放火そう動」
- 「泣くなよ!FBI!!君は無冠の英雄」
- 「強投ヒンクリー!!快速300Km火消し投手」
- 「翔べラルフ破滅の黄昏へ!気分はもう核戦争」
- 「50年前空駆けたもう一つの赤いスーツ」
- 「国境の町を襲う大暴れ山猫爆走集団」
- 「僕とパムと毒ガス男 恋のロックのリズムで」
- 「熱中先生 妖館で4次元怪獣と遭遇」
- 「落盤!!血を待つ罠!失われた金鉱の悲劇」
- 「戦争の犬たち!舞い降りた細菌戦特攻隊」
- 「激突!核ジャック列車作戦」
- 「フシギ、未来が見える!?撃墜されたマル秘試験機」
- 「熱中先生VS催眠術軍団!地獄へのシナリオ」
- 「サーカスの人気者!風切って人間大砲ラルフ」
- 「宇宙ギャング 電気怪獣の猛襲」
- 「炎暑バージン諸島!美女に迫る密林の斬首刑」
- 「熱帯 魔の三角海域 ビキニ少女を襲う恐竜!!」
- 「ラルフのスキー天国」
- 「熱中先生VS出戻り殺人鬼!!」
- 「少女誘拐25万ドル事件」
- 「走れ怪傑UFOマン」
- 「キャプテンベリーバスター&熱中先生」
- 「ハワイから来た花婿」
- 「老兵マックスウェル 命をかけた恋」
- 「使用説明書!! ETからラルフの手へ」
- 「ラルフ突進!逆転の怪力タッチダウン」
- 「恐怖の脱出劇!炎に包まれた魔術師の謎」
- 「親友ビル死す!?異常な生物学者たちの島」
- 「ラルフ結婚す!!(前編)」
- 「ラルフ結婚す!!(後編)」
- 「デスペラードと荒野の馬泥棒」
- 「大統領選へ!人気キャスター野望の結末」
- 「衛星追跡作戦!天才少年のウォー・ゲーム」
- 「逃げる赤鬼!王子アハの迷路」
- 「リトル東京上空の30秒」
- 「絶叫ロッカー空中爆破!!」
- 「老兵ビル 青春の命燃やした独立戦争」
- SPパイロット版(1982年8月25日『ワンダーフライト 飛べ!スーパーマンを超えて…』)と34話+35話(1983年8月24日『アメリカン・ヒーロー スペシャル'83 ラルフ結婚す!!』)の初回放送は、各々水曜ロードショー枠で放送。
裏話
- スーパースーツの「中」の字は何の意味か話題になることがあるが、アメリカ人の理解できない漢字(中国文字)で不可思議なイメージを与えたかっただけで、何の字でも良かったとの事である。なお、この漢字の「中」のように見える字は、プロデューサーのスティーヴン・J・キャネルがデスクで使っていた四角いハサミをモチーフにしたものとも言われている。
- 続編として1986年に「アメリカン・ヒロイン」(The Greatest American Heroine)が企画された。 しかし諸事情によりTVシリーズ化出来ず、パイロット版が1本作られたのみでお蔵入りとなった。 日本ではDVD特典として視聴可能である。