飛翔鮫
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『飛翔鮫』(ひしょうざめ、海外名は FLYING SHARK, SKY SHARK)は、1987年にアーケードに登場した縦スクロール・シューティングゲーム。販売はタイトー、製作は東亜プラン。
概要
複葉機の自機を操作し、敵飛行機や戦車等の攻撃を回避しつつ、それらをショットやボンバーで破壊しながらゲームを進めていく。被弾もしくは飛行機同士で衝突すると自機のストックを1機失い、全てなくなるとゲームオーバー。設定によってはコンティニューできる。
- 全5面構成で、5面クリア後は難易度の上がった2周目となり、以後自機がなくなるまで周回が上がりつづけるループゲームである。なお、2週以降からは1面がカットされ、2から5面のループとなる。
- 自機の武器はパワーアップアイテムを取るごとに発射弾数が放射状に広がっていくメインショット(最大6段階)と、ボタンを押すと爆発し、敵にダメージを与え敵弾を相殺する強力な爆弾の二種類で、スピードアップや武器チェンジは無い。
- パワーアップアイテムは、Sとかかれた黄色いパネルで、時折出現する赤色の飛行機編隊(弾を一切発射しない、他の編隊も同様)を全滅させることによって出現する。また黄色い編隊の場合ボーナスが発生し、白い編隊の場合1UPアイテムが出現する。
- 爆弾は発射したあとすぐには爆発せず、短い距離を前方に飛んでから、一定範囲に爆風を起こす。回数制でストックがなくなると発射できなくなる。ストックは、特定の地上物を破壊したときに出現する、赤いアイテムを取ることによって増加する。
- ステージが終わりに差し掛かると、ステージのボスともいえる大型の敵が出現する。その後、大型敵を倒したか倒さなかったかにかかわらず着陸上に到達し、ステージクリアとなる(但し、倒さずにクリアするのは至難の業)。この際にボムのストック数に応じてボーナスが加算される。
- 雑魚クラスの戦闘機を撃墜するとその撃墜した敵機と自機との距離関係でエフェクトが異なる。(遠距離だと地上に墜落、近距離だとその場で爆発)なお、このギミックは続編の『鮫!鮫!鮫!』にも継承されている。登場する兵器は自機の複葉機、敵機では自機と同じ複葉機や単葉機、戦車、艦船および船舶、砲台などで第二次世界大戦以前の旧式もしくはそれに準ずる物が大半を占めている。
- 雑魚クラスの地上物(戦車および船舶等)にショットを当てるとまず砲塔が破壊され、その本体にさらにショットを当てると撃破のギミックは『雷電』をはじめ後進の縦スクロールSTGにも流用されている。
- ステージは社員旅行で東南アジアへ行った影響から南国テイスト(余談だが翌年発売される縦スクロールバイクレース、ダッシュ野郎も本作と似たテイストである)。
- 余談だが、遠距離で撃墜した敵機が地上物の上に墜落すると、その地上物も破壊される。
アイテム
- (S):赤の飛行隊を全滅させることにより出現する。取ると自機が1段階パワーアップする。
- (B):ストックのボンバーが1つ増える。基本的に特定の地上物キャラを撃つことにより出現する。なお、2つ同時には登場しない。
- (1UP):白の飛行隊を全滅させることにより出現する。取ると1UP。但し1ゲームで最高2回しか出現しない。白の飛行隊が出現する箇所はランダムで早くても2面の最初、遅くても3周目くらいで2回出現してくれる。
ボーナス
- 黄色の飛行隊を全滅させることにより1000点獲得できる。
- 面クリア時に所持ボンバー数×3000点を獲得。スコア加算後ボンバーの所持数は3発にリセットされ次の面へと進む。
難易度
- 東亜プランのゲームの中ではスラップファイトと同じく、かなり低い。対地・対空兼用かつ射程制限のないショット等の極めてオーソドックスな作りで、テクニカルな要素が少ない。シューティングゲームが得意な人なら、気軽にちょっとやり込めば1周できなくともラスボスまで到達できるレベルで、前述の通り、クリアの度にボンバーが3発に支給される事と相まって初心者にも易しく、ゲームバランスも良好。このゲームは切り返し避け系シューティングゲームの元祖とされる。高速な敵弾を切り返して避けるには多少のコツが必要なため、遅めの自機の移動速度や大きめの当り判定には十分注意する必要がある。
- 2周、3周‥と当然のことながら周を重ねるごとに敵の放つ弾のスピードが速くなり、発射間隔も短くなる。しかしこれは主に地上物キャラが中心で、空中物キャラはさほど速くならない。しかしながら地上物攻撃の難易度は1000万点が到達されるであろう18周目まで上がってゆく。
音源、CD
- 東亜プランの作品としては、初めてFM音源を採用している。
- 1988年にサイトロン・レーベルからCD化され、GSM・TAITO2に収録されている。トラックは2番目。
前後の東亜プラン作品との関係
- これまでの東亜プランの作品(タイガーヘリ、スラップファイト)では自機のメインショットに射程が存在したが、今作からは廃止された。
- 東亜プラン縦STG初の左右スクロールである。基本の縦スクロールと同時に、自機の左右移動にあわせて左右にもゆっくりスクロールする。このためより広い(具体的には4/3倍)空間でのプレイが可能になり、敵を画面外に出して攻撃を封じる等の戦略性が増した。雷電や怒首領蜂ほか多くの現代STGにも採用されている。これは東亜プランの前身であるクラックスが1984年に開発したジャイロダインでも採用されており、その流れを受け継いだものである。なお、ジャイロダインの同年代の他社作品ではスターフォース、バルガス、エクイテス(いずれも1984年)でも採用されている。