数学的構造
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数学における構造(こうぞう、mathematical structure)とは、ブルバキによって全数学を統一的に少数の概念によって記述するために導入された概念である。集合に、あるいは圏の対象に構造を決めることで、その構造に対する準同型が構造を保つ写像として定義される。数学の扱う対象は、基本的には全て構造として表すことができる。
定義
- 集合論的な定義(ブルバキ「集合論」4章による)
構造種とは以下の四つからなる。
- 主基集合──順序ならば、順序の定義される集合。位相ならば、位相の定義される集合。複数あってもよい
- 副基集合──なくてもよい。ベクトル空間ならば、ある体。複素多様体ならば、複素数体
- 代表的特性記述──「主基集合と副基集合から、直積とべき集合をとることを繰り返して得られる集合(階梯と呼ばれる)にある集合(構造と呼ばれる)が含まれる」ということを表す論理式。複数あってもよい。
- 公理──構造が満たす論理式。ただし移行可能であるという条件が付く。この条件は、準同型などを定義する際に必要になる?
例
位相空間の構造種は、主基集合が位相の定義される集合( X とする)で、副基集合はなし。代表的特性記述は O∈P(P(X)) で( O は普通にいう開集合系)、公理は「{},X∈O 、かつ、A,B∈O ならば A∩B∈O 、かつ、Oλ∈O をみたす任意の {Oλ}λ∈Λ に対して ∪Oλ∈O 」である。
構造の例
例えば、実数は上の三つの構造をすべて持っている。すなわち、実数は全順序集合であり、体であり、また距離空間である。