ライトペン
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ライトペン (light pen) とは、ブラウン管と組み合わせて利用する、コンピュータに位置を伝える為の装置(ポインティングデバイス)である。 ペンの形をした受光装置をブラウン管に接触させ、その位置が光るタイミングを拾い、画面上の位置を認識する。 基本原理はライトガンと同じである。
- 最初のライトペンはWhirlwindで開発され、SAGEで使用された[1]。SAGEのものは銃のような形状をしている。
- 1956年に稼働開始した、Whirlwindをトランジスタ化したTX-0でも、ライトペンが使用された[2]。
- 1956年、ダグ・T・ロスがブラウン管モニターを指でなぞって図形を入力するプログラムを開発[3]。
- 1960年代、のちにコンピュータグラフィックスの父と呼ばれるアイバン・サザランドが、ライトペンを入力デバイスとした対話型図形処理システム「Sketchpad」を開発した。スケッチパッドはその後「CADAM」へ進化することとなる。
タッチパネルなどと異なりモニタの表面に加工をする必要がないため、導入が比較的容易であるが、原理上、走査のない液晶ディスプレイでは基本的には使えない(いくつかの方式が開発されてはいる)。
かつては「クイズダービー」やフジテレビ系「平成教育委員会」などのクイズ番組で回答者が答えを記入する装置にも用いられている他、スポーツ中継・ニュース番組でも試合の流れや選手の動きなどを解説する際に使用されていたが、現在は、液晶ディスプレイ一体型ペンタブレットに取って代わられた。
1980年ごろに当時の8ビットパーソナルコンピュータの周辺機器としても発売されたが、当時はグラフィカルユーザインターフェースも存在せず、画面を指し示すという需要が小さかった。また分解能も低く、文字単位(横軸方向に80桁程度。原理上、高精細度で横位置を検出するには、非常に高精度の割込みタイミング検出か、何らかの表示上の工夫が必要である)程度でしか位置を取得することができなかった。そのため一部業務用途に利用されるにとどまり、一般には普及しなかった。
直接的な操作であることから、ライトペンかペンタブレットが、コンピュータが一般に普及した際には使われることになるのではないかという予測もあったが(たとえばTRONキーボードの80年代のデザインではペンタブレットが組込まれている)、実際に使われるようになったのはマウスであった。