曲率
テンプレート:出典の明記 曲率(きょくりつ、英語:curvature)とは曲線や曲面の曲がり具合を表す量である。
例えば、半径 r の円周の曲率は 1/r であり、曲がり具合がきついほど曲率は大きくなる。この概念はより抽象的な図形である多様体においても用いられる。数学史上、曲率の研究がいつ始まったかは単純な問題ではないが、テンプレート:要出典。
曲線の曲率
定義
ある任意の曲線において、線上の点 P0 を基点とし、そこから曲線上の任意点 P(位置ベクトル rP で表されるとする)までの距離を s とする。(この場合のsは一般座標上の距離か曲線上の長さのいずれでもよい。)
このとき 点 Pの位置は、
- <math> \mathbf{r}_P = \mathbf{r}(s) </math>
というように、変数s の関数として表すことができる。(以下、特に断らない限り rP = r とする。)
このとき、点 P で接する方向の単位ベクトル(これを tP とする)は、
- <math> \mathbf{t}_P = \mathbf{t} (s) = \lim_{\Delta s \to 0} {\mathbf{r} (s + \Delta s) - \mathbf{r} (s) \over {\Delta s} } = {d \mathbf{r} \over {ds} }</math>
となる。(位置ベクトルの変位分 Δ r が十分小さい時、|Δ r| = Δ s だから単位ベクトルである。)
同様にして
- <math> \mathbf{r}_Q = \mathbf{r} (s + \Delta s) </math>
と表される点 Qを考えるとき、点 Q 上の単位接線ベクトルtQは、
- <math> \mathbf{t}_Q = \mathbf{t} (s + \Delta s) </math>
であり、二つの単位接線ベクトルtP 、tQのなす角度を Δθ とすると
- <math>{ \left| \mathbf{t}_Q - \mathbf{t}_P \right| \over 2}= \sin {\Delta\theta \over 2} </math> であり、Δθが十分小さい、すなわちΔsが十分小さいとき (点Pと点Qが十分接近しているとき)、
- <math> \Delta\theta = \sin\Delta\theta = \left| \mathbf{t}_Q - \mathbf{t}_P \right| </math> と見做せる。
従って接線傾斜Δθの変動率であるχを以下のように定義できる。
- <math> \chi(s) = { d \mathbf{\theta } \over {ds} } = \lim_{\Delta s \to 0} {\Delta \theta \over {\Delta s} } = \lim_{\Delta s \to 0} \left| {\mathbf{t} (s + \Delta s)-\mathbf{t} (s) \over {\Delta s} } \right | = \left | { d \mathbf{t} \over {ds} } \right | = \left | { d^2 \mathbf{r} \over {ds}^2 } \right | = {1 \over R(s)} </math>
となる。
一般に χを曲率、χの逆数であるR を曲率半径と言う。
また、特に曲線が高次のとき、Δs → 0 の極限で二つの接線によって決まる平面を、点 P における接触平面と言う。
性質
更に、t を s で微分すると、
- <math> { d \mathbf{t} \over {ds} } = { d^2 \mathbf{r} \over {ds^2} } = \mathbf{n} {d \theta \over {ds} } = {\mathbf{n} \over R} </math>
が得られる。ここで n が主法線方向の単位ベクトルであり、主法線と接線は直交している。これは d r/ds が単位ベクトルのため、
- <math> \left( {d \mathbf{r} \over {ds} } \right)^2 = \left | { d \mathbf{r} \over {ds} } \right |^2 = 1 </math>
となり、これを s について微分すると、
- <math> {d \over {ds} } \left( {d \mathbf{r} \over {ds} } \right)^2 = {d^2 \mathbf{r} \over {ds^2} } \cdot {d \mathbf{r} \over {ds} } + {d \mathbf{r} \over {ds} } \cdot {d^2 \mathbf{r} \over {ds^2} } = {\mathbf{n} \over R} \cdot \mathbf{t} + \mathbf{t} \cdot {\mathbf{n} \over R} = 0 </math>
となるためである(ベクトル同士の内積がゼロとなるので、当該ベクトル同士は直交している)。
ベクトル t と n の外積、
- <math> \mathbf{t} \times \mathbf{n} = \mathbf{b} </math>
で得られるベクトル b が陪法線方向の単位ベクトルとなる。陪法線は接触平面に対する法線となっている。