DXF
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
DXF (Drawing Exchange Format) は、CADソフトウェアで作成した図面のファイルフォーマットで、CAD図面の情報交換におけるデファクトスタンダード的な存在である。二次元および三次元の図形をベクトルデータとして格納する。
概要
米オートデスク社のCAD製品、AutoCADの異なるバージョン間のデータ互換を目的として策定されたが、内部の仕様が公開されているため、多くのCAD製品で扱われるようになった。プログラミングの技術があれば、DXF形式を取り扱うソフトウェアを独自に作成することも可能である。一方で仕様上、各製品毎のデータ構造の差異を吸収できないため、別のCADソフトウェアでは図面の完全な再現ができない事も多い。
大半の3DCGソフトウェアにおいてもポリゴン形状データの汎用フォーマットとしてサポートされているが、UVマッピングなどの質感情報が授受できない点から、最近はWavefront obj形式や3ds Max形式などが用いられる事が多い。
DXFにはアスキー形式(テキスト形式)とバイナリ形式とがある。バイナリ形式の方がよりデータ量を低減できるが、対応製品が少なく、ファイル形式としては普及していないのが現状である。アスキー形式のDXFでは、データをテキストとして格納するためデータ量が大きくなる傾向があるが、内容が冗長なため、高率のデータ圧縮が可能である。
構造
一般的なDXFは以下の構造を有する。
バージョン「R12」まで
- ヘッド部 (HEAD)
- AutoCADのシステム情報、図面範囲等の図面情報を定義。
- テーブル部 (TABLES)
- 線種、レイヤ、スタイルなどを定義。
- ブロック定義部 (BLOCKS)
- ブロック図形を定義。
- 要素定義部 (ENTITIES)
- 図面を構成する各図形要素を定義。
- ファイル終端 (END OF FILE)
- ファイルの終端。
バージョン「R13」以降
- ヘッダ部 (HEADER)
- AutoCADのシステム情報、図面範囲等の図面情報を定義。
- クラス部 (CLASSES)
- C++ライブラリのデータを定義。
- テーブル部 (TABLES)
- 線種、レイヤ、スタイルなどを定義。
- ブロック定義部 (BLOCKS)
- ブロック図形を定義。
- 要素定義部 (ENTITIES)
- 図面を構成する各図形要素を定義。
- 非図形要素定義部 (OBJECTS)
- GROUPとMLINEのデータを定義。
- ファイル終端 (END OF FILE)
- ファイルの終端。
DXF 形式を取り扱える主なソフトウェア
- Adobe Illustrator
- ADS-win
- ANDES-ProWin
- ANDES 水道Master
- ANDES 電設Win
- AutoCAD
- AutoCAD LT
- ArchiCAD
- Blender
- CAE2D
- CADAM Drafting
- CADWe'll CAPE
- CADWe'll Tfas
- CorelDRAW
- DWGdirect
- Inkscape
- IntelliCAD
- Jw cad
- Metasequoia
- MicroStation
- MUTOH M-Draf Suite
- MUTOH M-Draf Spirit
- MUTOH M-Draf LT
- MUTOH ReViPS
- NX
- Poser
- Shade
- STAR(T) Edition
- Strata Design 3D CX
- Strata Design 3D CXi7
- Strata Design 3D SE7
- Strata Design 3D SE
- VectorWorks
- 六角大王/六角大王Super
- 設計図面情報を含むデータは、大半の3DCGソフトウェアでの扱いは不可。
- 図脳RAPID
- POWERSP
外部リンク
- AutoCAD - DXF Reference(英語)
- ArchiCAD データ変換(日本語)