縛り (携帯電話)
縛り(しばり)とは、携帯電話・PHSなどで一定期間(例えば半年間など)の使用(事業者等とのサービス利用契約)を前提に、電話機の購入費用あるいはサービス利用料金の割引を行う制度の俗称。また、そのような制度を行う料金プランのことをさす。
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電話機の縛り
電話機の販売店は、事業者等から一定期間以上の利用契約があった場合に支払われるインセンティブ(販売奨励金、携帯電話等の利用料金からのバックマージン)を受け取る。販売店にとってはそれを前提にした電話機購入費用の値引きであるため、(その一定期間となるよりも以前の)中途解約に対して、販売店からの違約金を請求する場合があり、利用客としては一定期間縛られる事となる。
なお、事業者等とのサービス利用契約について、当該事業者等が中途解約を制限するのは、総務省の通達により禁止されている(ただし、次の「割引サービスの縛り」のような場合については除外される)。このため、本件のような縛りも違法で無効であるといえるが、インセンティブという制度をもっともらしくいう販売店の一方的な言い分による、販売店の圧倒的な優位性を示す電話機購入者がこうむる恒常的な不利益の状態そのものであるとの意見もある。
なお、同一事業者等のサービス利用を継続したまま、新たな電話機を購入してその電話機でそのサービス利用継続をするいわゆる「機種変更(機種変)」についてもインセンティブが関係してくる事がある。事業者等にもよるが、機種変更時には即時にインセンティブが支払われ、販売店からの縛りは無いことも多い。ただし、新規契約や直前の機種変更から一定期間以上の利用契約(各事業者とも1年であることが多い)が無いと、機種変更に対するインセンティブが事業者等から支払われないか、あるいは減額される事がほとんどのため、そのような利用期間が経過しないと、機種変更時の電話機購入価格が、ユーザからみて割高になる事になる。
なお2007年以降、一定期間以内に解約や機種変更を行うと、違約金や機種代金の残額を払うことになる制度も開始されている。この場合、利用者は新規契約もしくは機種変更から一定期間が経過するか、端末の分割金を払い終わるまで、縛られる事となる。
割引サービスの縛り
事業者とユーザとの間で、年単位等の期間でサービス利用契約を継続する事を条件に、サービス利用料を割引する制度(年間契約割引等)等があるが、これら等の制度に関連して、ユーザが期間内に中途解約した事によって、事業者から解約金(違約金)を請求するような場合。利用客としては一定期間縛られる事となる。
これに関しては、事業者との間で、サービス利用契約の開始または中途で明示して契約する性格のものであり、消費者契約法に反しない限りは合法であるという論が多い(「電話機の縛り」と混同する向きもあるが)。
しかし、2年契約が前提となっている、NTTドコモの『ひとりでも割50』や、auの『誰でも割』などの割引プランについて、2年未満で解約したり、2年以上であっても更新月以外に解約したりした場合に高額な解約金を支払う必要が生じることについて、消費者契約法に違反するとして、適格消費者団体・『京都消費者契約ネットワーク』が、NTTドコモとKDDIに対し、解約金を巡る全国初の消費者団体訴訟を京都地裁に起こしている[1]が、ソフトバンクモバイルに対する同種の訴訟含めいずれも原告敗訴となっている。
その他
最近では、オプションサービスの申し込みや、プロバイダーとの契約にあわせて、加入時の割引をする例も多い。これも事業者からインセンティブが支払われる点で「電話機の縛り」と同様ではあるが、中途解約の「縛り」は無いか、あっても問題になっていない場合も多い。
各事業者の主な「縛り」プラン
月額利用料が割り引かれるケースを記載。(「割引サービスの縛り」に該当する)
NTTドコモ
au(KDDI/沖縄セルラー電話)
ソフトバンクモバイル
ウィルコム
- 年間契約割引
- なお、新規契約時等に選択する事業者の料金プランやオプションサービス(特に上記の割引サービスも多い)によっても「電話機の縛り」に関連したインセンティブの金額が変更または0になる場合があり、よって電話機の初期購入費用に影響する場合もある。これに関してはインセンティブが、事業者と販売店との間の相対の特約であるため、事業者が「縛り」プランとして公表する性質のものでもなく、また一定のものでもない。
- 新ウィルコム定額プラン(2009年12月現在)
- 新定額プラン基本使用料2762円 定額プラン割引額-666円 ユニバーサルサービス料8円 合計請求額2104円
脚注
テンプレート:Keitai-stub- ↑ 提訴:携帯電話「解約金条項は違法」 消費者団体、ドコモとauを 毎日新聞 2010年6月17日