怪獣マリンコング
テンプレート:基礎情報 テレビ番組 『怪獣マリンコング』(かいじゅうマリンコング)は昭和35年(1960年)4月3日から9月25日まで毎週日曜日の9時30分~10時00分にフジテレビ系で全26話が放送された、ニッサンプロダクション製作の特撮テレビ番組。第14話以降はタイトルが「マリンコングの大逆襲」に改題された。古谷製菓の一社提供。
マリンコングは作品内の怪獣の名称。
ストーリー
- 第1部「怪獣マリンコング」(第1話~第13話)
- 太平洋を航行中の大型旅客船梅田丸が突如海中から出現した謎の怪獣に襲撃され沈没。怪獣マリンコングは平塚海岸に現れて大暴れし、猛威を振るう。この怪獣マリンコングは当初、恐竜の生き残りと推測されたが、物理学の権威、矢田博士の電波研究所は異常電波を捉えていた。矢田博士は梅田丸沈没時と江の島襲撃の夜と、異常電波が同一のものとつきとめ、人間が遠隔操作する巨大な電子ロボットと推測、捜査陣に協力する。マリンコングを操っていたのは国際的陰謀団「Z団」だった。マリンコングの正体を知られまいとするZ団は、博士や息子の和夫少年の命を狙う。そしてついに矢田博士が発明した「X電波」によって、マリンコングは破壊されるのだった[1]。
- 第2部「マリンコングの大逆襲」(第14話~第26話)
- 日本征服の野望をあくまで燃やすZ団が、さらに強力なマリンコングを造って破壊行為を行なう。そこに謎の正義の女性戦士「くれない天使」が登場して活劇が展開される[1]。物語は、マリンコングがアルファ光線により破壊され[1]、Z団首領のお菊は自決する[1]。
解説
日本を征服しようとする悪の組織「Z団」と、それを阻止しようとする主人公の和夫少年たちの物語。怪獣を主役とした、日本初のテレビ番組である[2]テンプレート:Refnest。放送まもなく視聴率27パーセントの高視聴率を獲得し、東京のみの放送から全国26局での放送に拡大された[3]。
本作の前年の昭和34年に、ニッサンプロはTBSテレビで「ヒトデが巨大な怪獣になる」という『大海獣ゲボラ』というテレビ特撮ドラマを企画[4]。新東宝の小川欽也監督のもとで特撮パイロットフィルムが6話製作された[1]が、結局この企画は没となったテンプレート:Refnest。翌年昭和35年に、再びニッサンプロは『怪獣マリンコング』の企画を小川監督のもとに持ち込んだが、小川監督は「ゲボラの貸しも返してもらってないから」と断ったという。結局ニッサンプロで本作は製作された[5]。
怪獣マリンコング
マリンコングは Z団が破壊行為のために用いるロボット怪獣である。ゴジラのような恐竜型をしている。口から火炎を吐くことができる。初代は煙幕を使って姿をくらます。
初代の操縦機は動かせなかったが、二代目の操縦機はアタッシェケースに入るほど小型化されている。
名称は「海から現れたキングコング」を意図している[3]。
- 造形
- マリンコングのぬいぐるみは人形劇団プークによって製作された[4]。当初頭のみが使われ、シルエットを多用して撮影された。頭部のみの造形物には火を吐く仕掛けが仕込まれている[3]。実物大の手足も作られ、効果をあげた[3]。低予算であったため毎回は登場しなかったテンプレート:Sfn。
- 初代マリンコングは丸い大きな目玉をした可愛らしい印象の造形だが、当時の視聴者である子供たちはとても怖がったという[6][2]。二代目のマリンコングは目つきや鼻先の角などが鋭く修正されている。
スタッフ
- 指揮:福沢重治
- 制作:大橋正次
- 原作:越田委寿美
- 脚本:越田委寿美、北村小松、柳川創造
- 撮影:中田洋
- 照明:山県邦夫
- 美術:劇団プーク
- 特撮:高橋春光
- 録音:山王スタジオ
- 助監督:百瀬千又
- 製作主任:崎野四郎
キャスト
主人公である和夫少年は、第2部の終了近くになって、説明なく姿を消す。Z団の首領は、手下たちから「お菊様」と呼ばれる美人の女ボスである。「くれない天使」は主人公たちに力を貸す謎の仮面ヒロインで、「変身ヒロイン」の草分け的なキャラクターである[7]。
- 矢田和夫:太田博之
- 矢田博士:林寛
- 松岡童太郎:芝田新
- 野々村:三原悠子
- 岩田記者:小田弘二
- 丸さん:花咲一平
- 矢田ひとみ:菊地洋子
- 河村女史: 七浦弘子
- 高宮比佐子、くれない天使:筑波久子
- Z団首領・お菊:北条ユキ
- 支那服の女:前田通子
- 自由映画プロ
- サン・プロ
- 東宝児童劇団
- 劇団ちゃいむ
- 解説:三戸部義輝
放送リスト
- 第1部「怪獣マリンコング」:1960年4月3日 - 6月26日、全13回(第1回~第13回)
- 第2部「マリンコングの大逆襲」:1960年7月3日 - 9月25日、全13回(第14回~第26回)
- 謎の怪獣
- 危うし!和夫少年
- 怪ボートの男
- X電波の秘密
- 追跡
- 敵か味方か
- あばかれた正体
- 敵基地発見
- 作戦敵中
- 奴を逃がすな
- 危機迫る
- 本拠地潜入
- 世紀の爆発
- マリンコングの大逆襲(1)
- マリンコングの大逆襲(2)
- マリンコングの大逆襲(3)
- マリンコングの大逆襲(4)[8]
- マリンコングの大逆襲(5)
- マリンコングの大逆襲(6)
- マリンコングの大逆襲(7)
- マリンコングの大逆襲(8)
- マリンコングの大逆襲(9)
- マリンコングの大逆襲(10)
- マリンコングの大逆襲(11)
- マリンコングの大逆襲(12)
- マリンコングの大逆襲(13)
漫画化連載
- 『怪獣マリンコング』
ビデオソフト
1984年に雑誌「宇宙船」誌上でトランスグローバル社より、第1部の第1話「謎の怪獣」・第2話「危うし!和夫少年」・第13話「世紀の爆発」を収録したビデオ「怪獣マリンコング 特別限定版」の広告が行われ、通信販売された(VHS版とベータ版がある)。
あまり多くの数が出回らず現在は入手が非常に困難であり、かつ本作はこれ以外に一切メディア化されたことがないため、ビデオはかなり高額で取引されている。
その後、同社からはニッサンプロの後継会社・NMCプロ製作の特撮作品「魔神バンダー」のビデオ販売のアナウンスもされたが、結局実現しなかった。
脚注
- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 『宇宙船』 VOL.10、朝日ソノラマ、1982年、19頁。
- ↑ 2.0 2.1 テンプレート:Harvnb
- ↑ 3.0 3.1 3.2 3.3 テンプレート:Harvnb
- ↑ 4.0 4.1 引用エラー: 無効な
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タグです。 「60.E5.B9.B4.E4.BB.A3
」という名前の引用句に対するテキストが指定されていません - ↑ 『幻の怪談映画を追って』(山田誠二、洋泉社)
- ↑ 『全怪獣怪人大百科』(昭和53年度版、ケイブンシャ)
- ↑ 『宇宙船』VOL.10、20頁。
- ↑ 『宇宙船』VOL.10に本話のフィルムストーリーが再録されており、サブタイトルは「正義の味方くれない天使」と紹介されている。
参考文献
関連項目
- 『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(週刊少年ジャンプ連載)
- 主人公の両津勘吉がテレビのクイズ企画に参加するという話の中に、本作に関する問題が出題されるくだりがある。「『怪獣マリンコング』の最終回のラストシーンで流れたBGMは?」という出題者の問いに、他の解答者が『ワルキューレの騎行!』と回答したのに対し、両津が「ばか!『ツァラトゥストラはかく語りき』だ!」と突っ込んでいる。