わら半紙
テンプレート:出典の明記 わら半紙(わらばんし、藁半紙)とは稲藁や麦藁を原料とする半紙である。
明治期からは藁を原料とするパルプから製造された洋紙をさす言葉となり、藁を原料としなくなった現在は中質紙や、さらにその下級紙である更紙(ざらし)、あるいは再生紙をさす言葉として慣例的に使われることがある。また、わら半紙の厚手の物を黄ボール(黄板)と言う。
本項では主に明治期以降にわら半紙と呼ばれているものについて記載する。
特徴
細かく切った稲藁や麦藁を薬品で煮溶かしてパルプにするため品質が安定せず、藁の形状が残ったままの製品をよく見かけることがあった。このため表裏に差があり、表は比較的平滑であるが裏はザラザラしてペン先や鉛筆の先が引っ掛りやすく、表面の強度も弱かったこともあり消しゴムで消すと破れることもあった。
現代のわら半紙(中質紙)は、上質紙と比べ白色度に劣り、リグニンを除去していないため比較的短期間で黄色く変色する。このため一般に長期間の保存には適さない。また、シャープペンシルなどの筆記具を用いると破れやすいという欠点をもつ。この他、学校などの教育現場でよく使われる簡易印刷機(輪転機)等ではインクの乗りが良いものの、通常の印刷機ではインクがにじみやすい、紙詰まりを起こしやすいといった欠点も持つ。
用途
かつては、安価であることから、昭和50年代終盤まで、官公庁や教育現場で児童生徒に配布するプリントなどに多用された。また、学校では謄写版(ガリ版)を用いた印刷が一般的でテストや文集、学級新聞などにも使用された。
しかしながら印刷機器としてコピー機やリソグラフが使われるようになるとインクやトナーの定着が悪く紙詰まりを起こすわら半紙は次第に教育現場から姿を消していった。ただし、現在でも特に教育現場などで使われる用紙のことを原料や紙質にかかわらず、慣例的にわら半紙と呼ぶことがある。
入手方法
現在、藁を原料とする商業的なわら半紙は無くなった。藁は収穫する時期が1年に一度であり、原料として保存するためには大容量の倉庫を必要とするため、経営的観点から通年入手可能な木材に変わっていった経緯がある。
藁を原料としないわら半紙は学校への納入を行っている文房具店や多くの種類の紙を扱っている包装用品店などで入手することが可能であるが、上質紙が主流となった現在、わら半紙の取扱量は減っており、ホームセンター等での入手はほぼ不可能となっている。
個人で購入する場合、上質紙よりも割高になることが多い。かつてはわら半紙のほうが安かったが1990年代後半頃から価格が逆転しており、近年再生上質紙も流通するようになったことから、保存性の面からもわら半紙を選ぶ利点はなくなりつつある。
和紙としてのわら半紙
冒頭に記述している通り、わら半紙とは元は半紙(和紙)の一種であり、現在でも書道用品として稲藁を原料とした半紙は製造されている。稲藁を原料としたものは吸水性が良く墨のつきも良い為、好んで使われることもある。