ツユクサ
テンプレート:生物分類表 ツユクサ(露草、学名: テンプレート:Snamei)は、ツユクサ科ツユクサ属の一年生植物。畑の隅や道端で見かけることの多い雑草である。
朝咲いた花が昼しぼむことが朝露を連想させることから「露草」と名付けられたという説がある。英名の Dayflower も「その日のうちにしぼむ花」という意味を持つ。また「鴨跖草(つゆくさ、おうせきそう)」の字があてられることもある。ツユクサは古くは「つきくさ」と呼ばれており、上述した説以外に、この「つきくさ」が転じてツユクサになったという説もある。「つきくさ」は月草とも着草とも表され、元々は花弁の青い色が「着」きやすいことから「着き草」と呼ばれていたものと言われているが、『万葉集』などの和歌集では「月草」の表記が多い。この他、その特徴的な花の形から、蛍草(ほたるぐさ)や帽子花(ぼうしばな)、花の鮮やかな青色から青花(あおばな)などの別名がある。
形態・生態
高さは15~50cmで直立することはなく、茎は地面を這う。
6 - 9月にかけて1.5 - 2cmほどの青い花をつける。花弁は3枚あり、上部の2枚は特徴的で青く大きいが、下部の1枚は白くて小さく目立たない[1]。雌しべが1本、雄しべが6本で成り立っている。アサガオなどと同様、早朝に咲いた花は午後にはしぼんでしまう。
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白花
分布
自生地は日本全土を含む東アジアで、アメリカ東北部などに帰化している。
人間との関わり
花の青い色素はアントシアニン系の化合物で、着いても容易に退色するという性質を持つ。この性質を利用して、染め物の下絵を描くための絵具として用いられた。ただしツユクサの花は小さいため、この用途には栽培変種である大型のオオボウシバナ(アオバナ)が用いられた。オオボウシバナは観賞用としても栽培されることがある。
花の季節に全草を採って乾燥させたものは鴨跖草(おうせきそう)と呼ばれ、下痢止め、解熱などに用いる。
1996年(平成8年)3月28日発売の390円普通切手の意匠になった。
ツユクサと文学
『万葉集』には月草・鴨頭草(つきくさ)を詠ったものが9首存在し、古くから日本人に親しまれていた花の一つであると言える。朝咲いた花が昼しぼむことから、儚さの象徴として詠まれたものも多い。
- つき草のうつろいやすく思へかも我(あ)が思(も)ふ人の言(こと)も告げ来(こ)ぬ(巻4 583)
- 月草之 徒安久 念可母 我念人之 事毛告不来
- つき草に衣(ころも)ぞ染(し)むる君がためしみ色(或 まだらの)ごろもすらむと思(も)ひて(巻7 1255)
- 月草尓 衣曽染流 君之為 綵色衣 将摺跡念而
- つき草に衣(ころも)色どりすらめどもうつろふ色と言うが苦しさ(巻7 1339)
- 鴨頭草丹 服色取 摺目伴 移變色登 稱[2]之苦沙
- つき草に衣(ころも)はすらむ朝露にぬれての後はうつろひぬとも(巻7 1351)
- 月草尓 衣者将摺 朝露尓 所沾而後者 徒去友
- 朝露に咲きすさびたるつき草の日くたつ(或 日たくる)なへに消(け)ぬべく思ほゆ(巻10 2281)
- 朝露尓 咲酢左乾垂 鴨頭草之 日斜共 可消所念
- 朝(あした)咲き夕(ゆうべ)は消(け)ぬるつき草の消(け)ぬべき戀(こひ)も吾(あれ)はするかも(巻10 2291)
- 朝開 夕者消流 鴨頭草之 可消戀毛 吾者為鴨
- つき草の假(か)れる命にある人を(或 假なる命なる人を)いかに知りてか後もあはむといふ(或 あはむとふ)(巻11 2756)
- 月草之 借有命 在人乎 何知而鹿 後毛将相云
- うち日さす宮にはあれどつき草の移ろふ心わが思はなくに(巻12 3058)
- 内日刺 宮庭有跡 鴨頭草乃 移情 吾思名國
- 百(もも)に千(ち)に人はいふともつき草の移ろふこころ吾(われ)持ためやも(巻12 3059)
- 百尓千尓 人者雖言 月草之 移情 吾将持八方
また、俳句においては、露草、月草、蛍草などの名で、秋の季語とされる。
脚注
参考文献
関連項目
外部リンク
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- ↑ 「稱」は原文はにんべん。