ユーザー車検
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ユーザー車検(ユーザーしゃけん)とは、ユーザー自らが運輸支局等に車両を持ち込んで継続検査(=車検)を受けること。かつての継続検査は、自動車ディーラーや修理工場に任せ、高額の費用を支払うことが一般的であった。しかし、1990年頃から費用の低減を謳うユーザー車検のガイドブック的な書籍が多数出版されたほか、インターネットの普及につれインターネットサイトでも手順が無料で掲載されるようになり、ユーザー車検の受検者が増加。規制緩和の流れも追い風となって車検場側の受け入れ態勢も整備されたことから、受検手段の一つとして定着することとなった。
手順
標準的な流れは次による。省略しても構わないものもある。私設検査場(テスター屋)は検査場周辺に多く、看板を出してユーザー車検の客を呼び込む店も多い。
- 検査場を選ぶ(国土交通省の「全国運輸支局等のご案内」に所在地と地図がある)。
- 検査場に予約を入れる(数週間前から前日までに行うが、いっぱいで予約できない事もある)。予約はテレホンサービスまたはインターネットで24時間可能。
- 当日ないし数日前に下回り洗浄を行い(ピットからテストハンマーなどを使って検査を行う係員に対する配慮)、所要の定期点検(記録簿の作成)を行う。
- 一回で通したければ事前にテスター屋に持ち込み、必要な調整・補修等を行う。
- 自動車損害賠償責任保険の継続手続、書類(OCR書式)の作成を行う。書類作成は行政書士に依頼することもできる。
- 車検場の窓口で受検申請、自動車重量税の納付。
- 窓口の係官の指示に従い検査ラインに車両を持ち込み保安基準適合性の審査を受ける。検査ラインでやるべきことを説明したビデオがあり、ユーザー車検の受付カウンターの脇などでエンドレス再生されていることもあるので、それを参考にする。
- 窓口に検査済書類を持ち込み、車検証とステッカーの交付を受ける。
新規検査、構造等変更検査の場合は、使用の本拠を管轄する運輸支局・自動車検査登録事務所でのみ受検可能であるが、予備検査、継続検査は日本全国どこでも受検可能である。
主な不合格項目
検査ラインで不合格となった箇所は修理・交換すれば、当日内3回に限り受検可能である。 3回までに合格しなかった場合の後日検査は、再度検査法人に支払う手数料として普通車1,800円、小型車1,700円がかかる。 翌日以降に再検査を受けるなら窓口で1,100円を払って限定検査証の交付を受けた方が有利(不合格となった箇所のみの再検査で済む)。
- 車両の改造(保安部品を規格外品に交換等)を行っている車両は不合格となる。
- 事故等でライト回りを破損・交換している車両は、光軸が狂っていることが多い。
- オートバイは、灯火類(接触不良が多い)を指摘され不合格となることが多い。
- 灯色関連(前照灯の色、番号灯の色等)の再検査も多い。
- 排気音規制・排ガス規制によってマフラー交換で不合格も多い(特に二輪)
- ブレーキは制動検査が前後で行われるので、タイヤ残溝の確認、空気圧調整と併せて確認する。
- 最近の保安基準改正ではハイリフト車の排除、装飾板の排除を目的とした改正があった。
ユーザー車検のメリット・デメリット
- 車両構造に関する知識の修得機会になるとともに、日頃の安全点検の意識向上につながる[1]。
- メンテナンスが不十分となるおそれがある。
- ユーザーの定期的な維持管理次第で、車検時に必要な整備点検費用を減らすことができる[2]。
- ユーザー自身で車検ステッカーを当然ながら剥がし、貼りを行う必要がある。剥がしは非常に面倒な作業でありスクレーパー、ヘアドライヤー、シール剥がしスプレー、粘着物を極力取り去るのに効果的な布ガムテープがあると作業しやすい。以前の定期点検ステッカーも他の整備工場で受けないのであれば剥がす必要がある。
脚注
- ↑ コストで決める?品質で決まる? 車検サービスの違い - Goo-net Voice
- ↑ 国土交通省 自動車検査・登録ガイド - milt jidousha