アンドロメダ銀河
テンプレート:天体 基本 テンプレート:天体 位置 テンプレート:天体 物理 テンプレート:天体 別名称 テンプレート:天体 終了
アンドロメダ銀河[1](Andromeda Galaxy 、M31またはNGC224として知られる)は、アンドロメダ座に位置する目視可能な渦巻銀河である。さんかく座銀河、銀河系(天の川銀河)、大マゼラン銀河、小マゼラン銀河などとともに局部銀河群を構成する。銀河系外の天体でありながら、ケフェイド変光星を利用して距離が測定されたことでも知られる。
概要
地球から約239万光年の距離に位置し、およそ1兆個[2]の恒星から成る渦巻銀河である。直径22~26万光年[3][4]で、直径8~10万光年である銀河系(天の川銀河)よりも大きく、局部銀河群で最大の銀河。また、M33と共に、肉眼で見える最も遠い物体である(M33の距離に幅があるので、どちらが遠いかはわかっていない)。
かつて、系外銀河の事が良く知られていなかった時代に銀河は星雲と混同されてきた、その名残として現在でも「アンドロメダ星雲」[5]、「アンドロメダ大星雲」[6]、などと呼ばれる事もある。
一時期、見かけは銀河系である天の川銀河と似ていると言われていたが、アンドロメダ銀河のバルジは2つの巨大ブラックホールが存在し、連星系を成していることが観測より明らかになり[2]、天の川銀河のバルジと比較してガスや暗黒物質が非常に少ないことや、そのガスが銀河面に直角な渦巻き構造を持つこと[7]なども判明し[8]、さらに、天の川銀河の方のバルジに棒構造が発見されたことにより、ハッブル分類上でも両者は渦巻銀河のアンドロメダ銀河と棒渦巻銀河の天の川銀河に区別されるなど違いがはっきりしてきている。
アンドロメダ銀河のスペクトルは青方偏移を持ち、銀河系に対して秒速約122kmで接近している(太陽系自体が銀河系の中を高速で公転しているため、見かけの接近速度は秒速約300km)[9]。約40億年後には銀河系 (Milky Way) とアンドロメダ銀河 (Andromeda) は衝突し[10]、それから約20億年かけて[11]1つの巨大な楕円銀河「ミルコメダ (Milkomeda)」を形成すると予想されている[12]。
観測
M31は肉眼で見ることができ、大きさは満月の約5倍である[4]。双眼鏡では、長い楕円形のはっきりした光芒に映る。大口径の望遠鏡でも意外に見え方は良くならず中心部分の明るいところしか見えない。条件の良い場所で口径20cmの望遠鏡でやっと渦巻き構造が見え始める。
964年には既にアブド・アル・ラフマン・アル・スーフィーによって"小さな雲"と記述されている。望遠鏡による観測はドイツの天文学者シモン・マリウスが1612年12月15日に行ない「角を溶かして輝くロウソクの光」のように見えたと記述したのが初めてとされる[13]。ウィリアム・ハーシェルは「核は星雲状。星に分かれそうだ」と記している。ウィリアム・クランチ・ボンドは1847年に暗黒帯がある詳しいスケッチを残した。1864年にウィリアム・ハギンズはスペクトルを観測し、連続スペクトルであることを発見した。1885年にエルンスト・ハルトヴィッヒは新星、ケフェイド変光星、散開星団、球状星団を発見し、さらに自転速度を測定した。1887年10月10日にアイザック・ロバーツが初めて写真を撮影した。ロバーツは翌1888年に3時間にもおよぶ撮影を行い、渦状構造を確認した。1899年にユリウス・シャイナーが初めてスペクトル写真を撮影した。初めてM31までの距離を測定したのはアメリカのエドウィン・ハッブルである。ハッブルは1923年にM31の中にあるケフェイド変光星を利用して距離を90万光年と見積もり1929年に発表、その結果M31は銀河系の外にある天体であることが分かった。ウォルター・バーデは第二次世界大戦によるロサンゼルスの灯火管制の中、パロマー山天文台の200インチ望遠鏡で星の種族を確認している。
ギャラリー
- Pic iroberts1.jpg
撮影: Isaac Roberts
- WISE- Andromeda.jpg
撮影: WISE
- Andromeda galaxy Ssc2005-20a1.jpg
24μm線画像。
撮影: SST - Andromeda galaxy 2.jpg
撮影: GALEX
- Double Nucleus of the Andromeda Galaxy (M31).tif
銀河の中心部。
撮影: HST
アンドロメダ銀河の伴銀河
テンプレート:Main アンドロメダ銀河の周囲には伴銀河としてM32、M110 (NGC205) が観測できる(図1)。これらの伴銀河はいずれアンドロメダ銀河と衝突し吸収されてしまうと考えられている。
球状星団G1
アンドロメダの近傍には銀河の他にも多数の星団も観測され、その中で最大のものはアンドロメダ銀河の周囲を巡っている球状星団G1である(図1右下、図2)。メイオールII (Mayall II) の名称でも知られるG1は、アンドロメダ銀河の中心から13万光年の距離にあり、宇宙の始まりから比較的早い時期に誕生した古い星々が数十万個以上集まって構成されていると考えられている。局部銀河群の中ではおそらく最も明るい球状星団であり、地球から観測した見かけの等級は13等級である。絶対等級としては天の川銀河で最も明るいオメガ星団(NGC 5139、視等級3.7)よりも明るい。
2002年のハッブル宇宙望遠鏡の観測では、太陽の約2万倍の質量を持つブラックホールがG1とM15の中心に存在している可能性が示唆された(参考:HubbleSite)。
脚注
外部リンク
フィクション
- 銀河系に最も近い銀河で知名度も高いことから、多くのSF作品で異星人の故郷や宇宙旅行の目的地として登場している。
- ↑ [1]宇宙科学研究所
- ↑ 2.0 2.1 アンドロメダ座大銀河の最新研究成果 -その構造と歴史アストロアーツ、2006年6月8日
- ↑ 従来は直径13万光年程度と見なされていたが、21世紀初頭の観測結果[2]によって、アンドロメダ銀河のハロー部分(銀河周辺領域)と思われていた領域の星々が、実はアンドロメダ銀河のディスク(銀河の円盤部分)の一部であると判明し、アンドロメダ銀河本体がより大きく拡がっていることが判った。
- ↑ 4.0 4.1 実は3倍の大きさだった、M31アンドロメダ座大銀河アストロアーツ、2005年6月7日
- ↑ [3]すばる望遠鏡
- ↑ [4]国立科学博物館
- ↑ JAXA 宇宙情報センター
- ↑ これらは、伴銀河が数十億年前にアンドロメダ銀河に飲み込まれ、巨大ブラックホールの連星系が誕生して以降、その連星系にバルジ周辺のガスや暗黒物質が喰らい尽くされたことによると推測されている。
- ↑ Redshift data for Messier Galaxies SEDS
- ↑ 銀河×アンドロメダ星雲衝突は約40億年後。その時地球の空はこんなすごいことになっている GIZMODO JAPAN、2012年6月3日
- ↑ 銀河系とアンドロメダ星雲、40億年後衝突か朝日新聞、2012年6月3日
- ↑ 宇宙100兆年の未来日経サイエンス、2012年6月号
- ↑ しばしば誤ってアンドロメダ銀河の発見者として紹介されることがある。