私製手形
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私製手形(しせいてがた)とは、金融機関(銀行および小切手法により銀行と同視される金融機関をいう、以下本項において同じ)発行の統一手形用紙を用いない商業手形のこと。金融機関では全く効力を持たない事からおもちゃ手形とも言われる。
効力
私製手形も、手形法上の要件を満たしていれば、有効な手形である。なぜなら、手形法には統一用紙でなくてはいけないとは規定されていないからで、便箋などに書かれたものでも、金額、支払日など手形の必要事項が書き込まれたものならは、法律上は「手形」である。
但し、銀行約定および手形交換所規則により、統一用紙を使用していない手形は、手形交換所では取り扱わない。よって、金融機関に持ち込んでも換金できない。そのため、私製手形は流通が不可能であり、流通が予定されていない手形である。
また、私製手形は金融機関で扱われるものではないため、私製手形が不渡になっても銀行取引停止処分を受ける事は無い。
事業者金融による濫用
一部の事業者金融業者が、返済が滞ったり、債務に対して異議を申し立てた途端、主債務者と連帯根保証人から共同振出させた私製手形を不渡処分にして、その手形の債権について手形訴訟を行い、確定判決を得た上で強制執行する手段を用いていた。これは、手形訴訟が、手形の書面審理のみという、通常の訴訟よりも簡易・迅速な手続で判決を得ることができることを利用するために、手形訴訟を利用する目的だけで私製手形を発行させていたものである。
しかし、この手形訴訟の利用方法については、2002年に東京地裁が、一部事業者金融会社に対し、手形訴訟を起こさないように要請するという異例の事態まで発生した。また、2003年に東京地裁は、手形訴訟の目的には沿わないとして、申立を棄却している。