手形法
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手形法(てがたほう)とは、約束手形及び為替手形に関する法律関係について規定した日本の法律である。小切手法とともに有価証券法を構成し、広義の商法に含まれる。
制定の経緯
現在の手形法は、1930年に成立した手形法制に関する三つの条約を批准したことに伴い制定されたものである。
それ以前は、各国の手形法制がフランス法・ドイツ法・英米法の三法系に分かれており、同じ法系内であっても各国の手形法の内容に差異があった。国際的な手形取引の見地から手形法の統一が唱えられ、ジュネーヴにおいて以下の三つの条約が成立した。
- 為替手形及約束手形ニ関シ統一法ヲ制定スル条約
- 為替手形及約束手形ニ関シ法律ノ或牴触ヲ解決スル為ノ条約
- 為替手形及約束手形ニ付テノ印紙法ニ関スル条約
これらの条約が成立したことによりフランス法系及びドイツ法系に属する国の手形法は(条約に留保事項があるため完全ではないものの)統一された。しかし、英米法系の国については、手形法制の基盤が全く異なっていたこともあり最初から条約に参加しておらず、統一されなかった。
日本は、これらの条約を批准したことにより、商法(明治32年法律第48号)中の「手形」の規定を廃止して現行の手形法を制定した。
法体系上の位置付け
商法から分離され制定された法律であること、手形に関する行為が絶対的商行為とされている(b:商法第501条4号)ことなどから、伝統的に商法学の対象として扱われている。
しかし、商法の実質的意義につき「企業に関する法」と理解する現在の通説的立場(商法企業法論)からは、企業でない経済主体も手形を利用できる制度の建前上、手形法は商法に属さないのではないかという疑問が提示されている。もっとも、商法企業法論を採用する立場の者すべてがこのような疑問を提示しているわけではない。
構成
- 第1編 為替手形
- 第2編 約束手形