ポアソン多様体
ポアソン多様体(-たようたい、Poisson Manifold)
<math> M </math> を多様体とする。 また、<math> M </math> 上の <math> C^{\infty} </math> 級関数全体のなすベクトル空間を <math> C^{\infty}(M) </math> と表すことにする。
<math> M </math> がポアソン多様体であるとは、次の性質を満たす 写像<math> \{ \cdot, \cdot \} : C^{\infty}(M) \times C^{\infty}(M) \to C^{\infty}(M) </math> が存在することをいう。
(1) <math> \{ \cdot,\cdot\} </math>は<math>\mathbb{R}</math>-双線形形式である。
(2) <math>\, \{ f,g \} = -\{ g,f \} \,</math>
(3) <math>\, \{ \{ f,g \} , h\} + \{ \{ g,h \} , f\} + \{ \{ h,f \} , g\} = 0 \,</math> :ヤコビ律
(4) <math>\, \{ f, gh \} = g\{ f,h \} + h\{ f,g \} \,</math>
このとき、写像<math> \{ \cdot, \cdot \} : C^{\infty}(M) \times C^{\infty}(M) \to C^{\infty}(M) </math> を <math> M </math> 上のポアソン構造、もしくはポアソン括弧と呼ぶ。
例
<math>\, (M,\omega) \,</math> をシンプレクティック多様体とする。 このとき、<math> M </math>上にポアソン構造が次のようにして定義できる。
<math>\, \{ f,g \} = \omega( X_{f}, X_{g}) \,</math>
ここで、<math>\, X_{f}, X_{g} \,</math> はそれぞれ <math>\, f,g \,</math> から定まる ハミルトンベクトル場である。 従って、シンプレクティック多様体はポアソン多様体でもある。 しかしながら、ポアソン多様体がシンプレクティック多様体であるとは限らない。
<math>(q_{1},\cdots,q_{n},p_{1},\cdots,p_{n})</math>をダルブー座標とすると、 シンプレクティック多様体上のポアソン構造は、
<math> \{ f,g \} = \sum_{i=1}^{n}\left( \frac{\partial f}{\partial p_{i}}\frac{\partial g}{\partial q_{i}} -\frac{\partial f}{\partial q_{i}}\frac{\partial g}{\partial p_{i}} \right) </math>
と書ける。