イエロー・マジック・オーケストラ (アルバム)
テンプレート:Infobox イエロー・マジック・オーケストラ (YELLOW MAGIC ORCHESTRA) は、イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)のデビューアルバム[注釈 1]。
目次
背景
アルバムには収録されなかった楽曲に、「インド」(仮タイトル)がある(後にPre-YMO名義で発表)。
録音
細野晴臣によるプロデュースで、坂本龍一と高橋幸宏と3人で楽曲を提供した。このとき高橋は作曲経験が浅かったため、坂本から作曲の方法を聞いたり、鼻歌を坂本が書き留めて譜面化するなどしていたという。 また、当時細野は本名ではなく「ハリー細野」と名乗っており、プロデューサー名のクレジットも「HARRY HOSONO」となっている。
アルバム制作費は当時の一般的な制作費の倍に当たる800万円をかけていた[1]。
「東風」以降(LPレコードのB面)のノンストップ構成は、当時ディスコ向けメドレーアルバムをリリースしていたミーコの影響によるもの。また、ジョルジオ・モロダーのアルバム『永遠の願い』からも影響を受けたと細野はコメントしている。[1]。またドラム・トラックは、高橋がテープによるループでなく、全編にわたり演奏している。
「東風」「中国女」「マッド・ピエロ」の名称は、ジャン=リュック・ゴダールの『ゴダール3部作』と称される映画タイトルから取られている[2][1](「マッド・ピエロ」は邦題「気狂いピエロ」)。映画には関係なく、ゴダール好きの坂本がタイトルを引用したもの[1]。
リリース
1978年11月25日にアルファレコードからLPレコード、カセットテープの2形態でリリースされた。
また、1979年にアルファレコードがアメリカのA&Mレコードと契約。本アルバムをリミックスした『イエロー・マジック・オーケストラ (US版)』がホライズン・レーベルからリリースされる。アメリカでのリミックス版を「米国版」(またはUS版)、オリジナルを「日本版」と呼ぶこともある。アメリカのリミックスは、トミー・リュピーマの長年のコンビのエンジニア、アル・シュミットがキャピタル・スタジオで行っている。「日本版」「米国版」の他、解説などを省略した廉価版として両方が入った2枚1組のCDも発売されたことがある。
2005年1月26日にバンド、といぼっくすがアコースティック楽器で本アルバムを完全カバーしたアルバム『アコースティックYMO』をリリース。「シムーン」と「マッド・ピエロ」ではヴォーカルに細野が参加。「コンピューター・ゲーム」の電子音までも生楽器で再現している。
アートワーク
ジャケットデザインは脇田愛二郎が制作した。
収録曲
テンプレート:Tracklist テンプレート:Tracklist
曲解説
A面
- コンピューター・ゲーム “サーカスのテーマ” - COMPUTER GAME "Theme From The Circus"
- ファイアークラッカー - FIRECRACKER
- 原曲はマーティン・デニーのアルバム『クワイエット・ヴィレッジ』に収録されているもの。YMOデビュー戦略として、「チャンキー・ミュージック」と銘打ち、この曲のカヴァーを売り出そうと、細野が構想したことが細野のメモに書かれている。本アルバムで最初に録音された。当初クリック音を頼りに3人で人力で録音したが、細野いわく「その出来があまりにも当たり前で、今までと変わらないものになってしまって」、その場で消去してしまった。しかし、そのテイクで「コンピューターの要素をもっと強く出していかないと面白くない」ことがわかったという。印象的なイントロ(ベースとフルート風のシンセサイザー)はシーケンサーによる演奏である。間奏のピアノは坂本による即興で、マリンバは細野が演奏している[注釈 2]。パーカッションのほとんどはシーケンサーによるものであるが、クラップはPollard SYNDRUMを使って高橋が叩いたものである。エンディングの爆竹風の音はシンセサイザーではなく、効果音を用いている[3]。アメリカでヒットした際には、デニーから自分の曲をカヴァーしてくれたお礼と、ヒットを祝福する電報が届いた[1]。2001年にはジェニファー・ロペスのシングル「I'm Real」でYMOバージョンがサンプリングされたが、2000年に制作され、ジェニファーと同時期にリリースされたマライア・キャリーの楽曲「Loverboy」においても本曲のサンプリングを使う予定だったため、論議を呼んだ[4]。なお、この曲は1980年にリリースされた増殖に登場したスネークマンショーの伊武雅刀が声の出演をしている「空から日本を見てみよう」(テレビ東京系)で、空から何かを見つけた時の音楽に使われていた。
- シムーン - SIMOON
- 詳細は「シムーン (曲)」を参照。
- コズミック・サーフィン - COSMIC SURFIN'
- 細野の作品。元々は鈴木茂、山下達郎とのアルバム『パシフィック』に収録されていた[注釈 3]。細野は『パシフィック』制作時点で、既にテクノへの路線を目指す意思があったと回想している[1]。更に、インストと言えばベンチャーズということから「テクノとベンチャーズを掛け合わせて作ったんだと思う」とも語っている。松武秀樹のコメントによると、坂本と高橋が要望してアルバムに入れ、坂本が原曲を分析してアレンジしている[3]。メロディーはPS-3100、シンセ・ベースやサウンドエフェクトはMoogIII-Cを使っている[5]。高中正義がギターで参加している。アメリカでのシングル「FIRECRACKER」のB面に収録されたバージョンは、オリジナルよりもテンポが遅い上、、早くフェイドアウトしている。
- コンピューター・ゲーム “インベーダーのテーマ” - COMPUTER GAME "Theme From The Invader"
- アーケードゲーム「スペースインベーダー」の音をシンセサイザーで表現。バックでは「サーカス」の音が流れている。この曲も松武は不参加である[3]。
B面
- 東風 - TONG POO
- 詳細は「東風 (曲)」を参照。
- 中国女 - LA FEMME CHINOISE
- 詳細は「中国女 (曲)」を参照。
- ブリッジ・オーバー・トラブルド・ミュージック - BRIDGE OVER TROUBLED MUSIC
- タイトルは細野によるもの。エンジニアが曲名を尋ねたところ、困ってサイモン&ガーファンクルの『明日に架ける橋 (Bridge Over Troubled Water)』の駄洒落になったテンプレート:要出典。この曲に松武は関与していない。[3]
- マッド・ピエロ - MAD PIERROT
- 詳細は「マッドピエロ」を参照。
- アクロバット - ACROBAT
- ゲーム音と葬送行進曲が交互に流れる小品。「コンピューター・ゲーム」の音が背景音として使われている他、構成やメロディーの類似から「曲の終了とともにアルバムの頭に戻る」という意匠が施されている。米国版では削除された。
スタッフ・クレジット
イエロー・マジック・オーケストラ
- 坂本龍一 - キーボード、エレクトロニクス、パーカッション、オーケストレーション
- 高橋ユキヒロ - ドラムス、パーカッション、エレクトロニクス、ボーカル
- 細野晴臣 - ベース、エレクトロニクス、キーボード、アレンジメント
参加ミュージシャン
- 松武秀樹 - マイクロ・コンポーザー・プログラミング
- 橋本俊一 - ボーカル(「シムーン」)
- 高中正義 - エレクトリック・ギター(「コズミック・サーフィン」、「中国女」)
- 布井智子(旧姓:江部) - セクシー・ボイス(「中国女」[注釈 4])
スタッフ
- 吉沢典夫 - レコーディング・エンジニア
- 斉藤篤 - レコーディング・エンジニア
- 日笠雅子 - マネージマント
- 生田朗 - マネージメント
- 宮住俊介 - レコーディング・コーディネーター
- 脇田愛二郎 - デザイン、アート・ディレクション
- 袴田和夫 - イラストレーション
- ハリー細野 - プロデューサー、ミックス・エンジニア
- 村井邦彦 - エグゼクティブ・プロデューサー
リリース履歴
No. | 日付 | レーベル | 規格 | 規格品番 | 最高順位 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1978年11月25日 | アルファレコード | LP・CT | ALR-6012 (LP)・ALC-1511 (CT) | - | |
2 | 1992年3月21日 | アルファレコード | CD | ALCA-286 | - | |
3 | 1994年6月29日 | アルファレコード | CD | ALCA-9037 | - | |
4 | 1998年1月15日 | アルファレコード | CD | ALCA-5214 | - | |
5 | 1999年9月22日 | 東芝EMI | CD | TOCT-24233 | - | 細野晴臣監修、リマスタリング盤、ライナーノーツ:江口寿史 |
6 | 2003年1月22日 | ソニー・ミュージックハウス | CD | MHCL-203 | 69位 | 坂本龍一監修、紙ジャケット仕様 |
7 | 2004年 | エピック・レコード | CD | 513445 2 | - | US版との2枚組 |
8 | 2010年9月29日 | ソニー・ミュージックダイレクト | ブルースペックCD | MHCL-20101 | 226位 | 1999年リマスタリング音源、紙ジャケット仕様、スーパーピクチャーCD |
脚注
注釈
出典
外部リンク
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