内定
内定(ないてい)
- 内々で決まることの意。
- 就職活動における始期付解約権留保付労働契約の通称。本項で詳述する。
就職活動において内定(ないてい)とは、始期付解約権留保付労働契約と呼ばれる一種の労働契約のことである。一般的な意味と異なり、この場合は正式に労働契約が成立している。
多くの場合、一般に学生が卒業する(新卒)にあたって在学中に締結される、卒業後を始期とした労働契約のことである。つまり「卒業後は御社で働く」「卒業後は貴君を我が社で雇用する」という契約である。また、いわゆる中途採用などにおいては始期の決まっていない採用通知のこと。労働契約の成立には双方の承諾が必要であるため、一般には採用通知後にそれを受け取った労働者側(あるいは学生側)が契約を承諾することが必要となる。新卒就職における協定上、内定式以前であれば「内々定」であり、内定式以後であれば「内定」となる。
法的な解釈
内定すなわち始期付解約権留保付労働契約における解約権とは、雇う側による内定取り消しの権利であると解される。内定に関する重要事件の一つである大日本印刷事件に対し最高裁判所によって1979年(昭和54年)7月20日に発表された判決文[1]において、「採用内定取消事由に基づく解約権を留保した労働契約が…」という表現が見られ、また同様に内定に関する重要事件の一つであるインフォミックス事件に対し東京地方裁判所によって1997年(平成9年)10月31日によって発表された判決文[2]において「留保解約権の行使(採用内定取消)」という表現が見られる。
すなわち、始期付解約権留保付労働契約とは「勤務開始時期を明示し、企業にそれを取り消す権利を保留させる労働契約」のことである。
この場合、解約、すなわち内定の取消は一般にある解雇と同程度のものであると解され、内定者が犯罪その他の著しい非行などを犯した場合は内定の取り消しが認められる、とも解される。