ヘロンの公式
ヘロンの公式(ヘロンのこうしき)は任意の三角形の3辺a, b, c の長さから面積 T を求める公式。アレクサンドリアのヘロンが彼の著書『Metrica』の中で証明を与えていることから彼に帰せられる[1]。
3辺の長さがa, b, c である三角形の面積 T は
- <math>T = \sqrt{s(s-a)(s-b)(s-c)}</math>
ただし、
- <math>s=\frac{a+b+c}{2}.</math>
また、このようにも書ける。
- <math>T={\ \sqrt{(a+b+c)(-a+b+c)(a-b+c)(a+b-c)\ \over 16}\,}</math>
- <math>T={\ \sqrt{2(a^2 b^2+a^2c^2+b^2c^2)-(a^4+b^4+c^4)\ \over 16}\,}</math>
- <math>T=\frac{1}{4}\sqrt{(a^2 + b^2 + c^2)^2 - 2(a^4 + b^4 + c^4)}.</math>
歴史
この公式はアレクサンドリアのヘロンが彼の著書『Metrica』の中で証明を与えていることから彼に帰せられるが、現代ではこれ自体はアルキメデスにも既知であったと考えられていて、さらにそれ以前から知られていた可能性もある。
証明
△ABC において、A, B, C の対辺 BC, CA, AB の長さをそれぞれ a, b, c とし、A から辺BC に下ろした垂線の長さを h とする。
このとき△ABCの面積を T とすると、
- <math>\begin{align}
T&=\frac{1}{2}ah=\frac{1}{2}ab\sin C=\frac{1}{2}ab\sqrt{1-\cos^2C}\\ &=\frac{1}{2}ab\sqrt{(1+\cos C)(1-\cos C)}\\ &=\frac{1}{2}ab\sqrt{\left(1+\frac{a^2+b^2-c^2}{2ab}\right)\left(1-\frac{a^2+b^2-c^2}{2ab}\right)}\\ &=\frac{1}{2}ab\sqrt{\frac{a^2+2ab+b^2-c^2}{2ab}\times\frac{-(a^2-2ab+b^2-c^2)}{2ab}}\\ &=\frac{1}{2}ab\sqrt{\frac{(a+b)^2-c^2}{2ab}\times\frac{-\{(a-b)^2-c^2\}}{2ab}}\\ &=\frac{1}{2}ab\sqrt{\frac{(a+b+c)(a+b-c)}{2ab}\times\frac{-(a-b+c)(a-b-c)}{2ab}}\\ &=\frac{1}{2}ab\sqrt{\frac{(a+b+c)(a+b-c)}{2ab}\times\frac{(a-b+c)(-a+b+c)}{2ab}}\\ &=\frac{1}{2}ab\sqrt{\frac{(a+b+c)\{(a+b+c)-2c\}\{(a+b+c)-2b\}\{(a+b+c)-2a\}}{4a^2b^2}}\\ &=\sqrt{\frac{1}{4}a^2b^2\times\frac{(a+b+c)\{(a+b+c)-2a\}\{(a+b+c)-2b\}\{(a+b+c)-2c\}}{4a^2b^2}}\\ &=\sqrt{\frac{(a+b+c)\{(a+b+c)-2a\}\{(a+b+c)-2b\}\{(a+b+c)-2c\}}{16}}\\ &=\sqrt{\frac{a+b+c}{2}\times\frac{(a+b+c)-2a}{2}\times\frac{(a+b+c)-2b}{2}\times\frac{(a+b+c)-2c}{2}}\\ &=\sqrt{\frac{1}{2}(a+b+c)\left\{\frac{1}{2}(a+b+c)-a\right\}\left\{\frac{1}{2}(a+b+c)-b\right\}\left\{\frac{1}{2}(a+b+c)-c\right\}}\\ \end{align}</math> となる。ここで、
- <math>s=\frac{1}{2}(a+b+c)</math>
とすると、
- <math>T=\sqrt{s(s-a)(s-b)(s-c)}</math>
が得られる。