ラシュモア山
ラシュモア山国立記念公園(ラシュモアさんこくりつきねんこうえん、The Mount Rushmore National Memorial Park)は、サウスダコタ州キーストーンに所在し、アメリカ合衆国の成立、発展、開発を記念する建造物である。同公園の面積は1,278エーカー(5.17km2)である。1925年3月3日に国定記念建造物に指定された。
概要
政府から委託されたガットスン・ボーグラムは400人の作業員とともに、標高1745メートルのラシュモア山の白い花崗岩の露頭に、1927年から1941年10月31日まで14年間をかけて、60フィート (18m) にも及ぶ巨大な胸像を彫った。彫られているのは、アメリカ合衆国建国から150年間の歴史に名を残す4人の大統領(ジョージ・ワシントン、トーマス・ジェファーソン、セオドア・ルーズベルトとエイブラハム・リンカーン)である。ラシュモア山の岩盤は非常に硬質で、彫刻作業は困難を極め、ダイナマイトで砕きながらの作業となった。硬質な岩盤が選ばれた理由は、アメリカの象徴ともいえるこのモニュメントが長期にわたって風化しないようにという配慮からである。
ここ10年間で広範な再開発事業がおこなわれ、新ビジターセンターおよび博物館、プレジデンタル・トレイル(彫刻を至近距離で見学できる遊歩道)などが整備された。
なお、完成後しばらくの間は、このモニュメントに一般人がロッククライミングすることも可能だった。しかし、現在ではメンテナンスのため特別な許可を受けた者以外のモニュメントへのロッククライミングは禁止されている。
インディアンとラシュモア山
このあたりはゴールドラッシュ期に白人とアメリカ・インディアンとの激しい抗争が繰り返された地で、大統領の彫刻が彫られたラシュモア山を含むブラックヒルズは、古くよりアメリカ・インディアンの聖地とされていた。
1868年、ララミー砦で、アメリカ政府は一帯を「グレート・スー・ネイション(偉大なるスーの国)」、「スー族固有の土地」として条約で確約した。しかし、数年後には条約は一方的に破棄され、この土地もアメリカ政府によって没収されていった。(→ララミー条約裁判)
また、この山に大統領の彫刻が彫られると、これに対抗するかのように、この聖地を守るために白人と戦った、リトルビッグホーンの戦いで知られるラコタ・スー族の英雄・クレイジー・ホースの巨大な彫刻が、民間の白人家族の手によって、同じブラックヒルズの岩盤に彫られている。1948年より製作中であるが、スー族伝統派はこの像について、「クレイジーホースの精神を汚すものだ」として猛反発している[1]。
1971年、ラッセル・ミーンズら「アメリカインディアン運動(American Indian Movement)」の運動家と支援白人たちが大統領像の頂上に登り、条約の有効とこの山の占有権の確認を求め座り込みを行った。その際、彼らはジョージ・ワシントンの頭の上に小便をかけてみせた。
ラシュモア山を舞台にした作品
- アルフレッド・ヒッチコックの『北北西に進路を取れ』のクライマックスシーンでは同記念公園の彫刻(大統領の頭部)が舞台となった。ロケーション撮影ではなく、スタジオに巨大なセットが組まれた。
- また、2004年公開の映画『チーム★アメリカ/ワールドポリス』では、チーム・アメリカの秘密基地として登場し、ワシントンの口からは空飛ぶリムジン、ジェファーソンの顔からはヘリコプター、ルーズベルトの頭からは戦闘機、リンカーンの口からはジャイロジェットが発進した。
- 2007年公開の映画『ナショナル・トレジャー リンカーン暗殺者の日記』では、インディアンによって築かれた黄金都市が眠る場所として、ラシュモア山が登場した。
- ディープ・パープルのアルバム「ディープ・パープル・イン・ロック」や、『NARUTO -ナルト-』の火影岩はこの彫刻をモチーフにしている[2]。
脚注
- ↑ Lame Deer, John (Fire) and Richard Erdoes. 『Lame Deer Seeker of Visions. Simon and Schuster』, New York, New York, 1972. Paperback
- ↑ テンプレート:Cite web